英語学習

「pleaseをつければ丁寧になる」はウソ。英語における敬語の仕組みを知ろう!/イングリッシュ・ドクター 西澤ロイ

英語における敬語は、相手との距離感の取り方を含めて、とても難しいもの。イングリッシュ・ドクター西澤ロイさんが、英語の敬語について根本的な考え方を解説します。

「pleaseをつければ丁寧になる」はウソ

命令形で「Go.」は「行け」であり、pleaseをつけて「Please go.」にすると「行ってください」になる……。中学校の英語の授業で、そのように習った人が多いのではないでしょうか?

しかし、これは全くもって正しくありません。命令形が必ずしも「乱暴な命令」になるわけではないのです。実際の会話では例えば「Wait a minute.(ちょっと待って)」と命令形で普通に言います。また逆に、pleaseをつければ必ず丁寧になるわけでもありません。

日本語でも「あいつは敬語が使えない」などと言われる人がいるように、(日本語であれ英語であれ)ネイティブにとっても敬語は非常に難しいものなのです。外国人である私たちが英語でうまく敬語を使えるようになることは、正直に言いまして非常にハードルの高いことです。

ですがせめて、相手に失礼にならないために、英語における「敬語」について、根本的な考え方と、使い方の指針について解説したいと思います。

そもそも「敬語」とは何なのか?

日本語には「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」という3種類の敬語が備わっていますが、実は私たちのほとんどが敬語というものを理解できておりません。きっと多くの方が、「丁寧な言葉」「敬意を表す言葉」だと思っているのではないでしょうか。

しかし、丁寧語がいつも丁寧なわけでも、尊敬語が常に敬意を表すわけでもないのです。例えば、いつも仲良く話をしている気の置けない友人から、ある日いきなり「おはようございます。○○さん」と話しかけられたらどう感じますか?

よそよそしいですよね。「距離」を感じるのではないでしょうか。そう、敬語とは、他人との間に感じている距離を言葉で表現したものなのです。どのような言語であっても、距離を置くべき相手や、距離を置くべき時には、距離を置くための言葉が必要となります。

距離を置くべき時に、適切な距離を言葉でも表現できれば「丁寧」になる、というだけの話です。もし、距離を取りすぎると「よそよそしい」ことになり、逆に近すぎると「無礼」、つまりどちらも「失礼」になってしまうのです。

大切なのは「押しつけ」を避けること

まず気にするべきなのは、「人に何かお願いをする」ような場合です。

(※もし、ただ情報を伝えるだけであれば、英語では「It's hot today.」のような言い方を誰に対して行なえます。日本語であれば「暑いね」なのか「暑いですね」<丁寧語>なのかを気にしなければなりませんが、英語では別に失礼にはなりません)

例えば、相手に待ってもらいたいとします。日本語では以下のような表現を使い、押しつけを避けるのです。

「ちょっと待って」
「ちょっと待てる?」<疑問>
「ちょっと待ってくれない?」<否定疑問>
「少々お待ちいただけませんか?」<謙譲語+否定疑問>

英語では例えば以下のような言い方をします(この他にもいろいろとありますが、否定疑問文は使いません)。

「Wait a minute.」
「Can you wait for a while?」<疑問>
「Could you wait for a while?」<過去+疑問>
「Do you think you could wait for a while?」<間接疑問+過去>

疑問の形を取ると、相手の意向を伺う形になります。また、canを過去形のcouldにすることで、気持ちを一歩引いて、距離を取る形になるのは、日本語の謙譲語とどこか似ているのかもしれません。日本語でも英語でも、そうやって、押しつけを避けることにより、丁寧な言葉遣いとなるのです。

命令形で構わない場合1:小さなお願い

命令形を使って構わないケースはまず、仲が良いなど、距離を取らなくてよい人に対して、小さなお願いをするケースです。先ほど例に出した「Wait a minute.」でいえば、ちょっと待つだけですから命令形で構わないのです。

しかし、例えば何分間も待たせたりする場合や、そもそも上司や見知らぬ人を待たせる場合には、押しつけを避けるための、それなりの言葉遣いが必要になるのです。

命令形で構わない場合2:相手の利益になる場合

例えば、エレベーターで「お先にどうぞ」と言いたい場合に、英語では「Go ahead.」と命令形を使うことがよくあります。見知らぬ相手であってもOKです。その理由は、先に行くことは「相手の利益になる」からです。

(※なお「After you.」という表現もあります。これはgoという動詞を使っていない遠まわしな表現のため、さらに丁寧度が高いです)

道案内で命令形が使われる理由も同様です。相手が望むところに行くための指示ですので、ただ動詞で始めれば良いのです。

Go straight.(まっすぐ行ってください)
Turn left at the next corner.(次の角を左に曲がってください)

正しいpleaseの使い方

冒頭で、pleaseをつけても必ずしも丁寧になるわけではないとお伝えしました。pleaseは「お願い(します)!」や「ぜひどうぞ」のように、むしろ「押しつける」言葉だと言えるからです。

ですので、pleaseという言葉はなかなか難しいのですが、例えば

Please tell me...…(ぜひ教えてください)
Please let me introduce...…(ぜひ紹介させてください)

のような表現はよく使います。相手に対して「ぜひそうして欲しい」という気持ちを表現する場合に使ってください。

また、店員さんに注文する時には、自分の利益になることですから、しっかりとpleaseをつけてお願いしましょう。

A hamburger, please.(ハンバーガーをください)
Can I have a refill, please.(お代わりをください)

「Could you...…?」をつければとりあえず丁寧になる

ある程度大きなお願いをしたい場合や、距離を取るべき人にお願いをする場合には、「Could you...…?」で始めるのは良い心掛けでしょう。距離が近い人にこれをやりすぎると、逆に仲良くなりづらくなる危険性はありますが、それ以外の副作用は比較的出づらいと言えるからです。

ただし、pleaseにはご注意ください。

Could you please...…?

のように言うと、言葉の上では丁寧ですが、ぜひやってほしいという、押しつけるニュアンスが強くなってしまうからです。ですので、基本的にはpleaseはつけないようにしましょう。

参考情報

ビジネス英語における敬語の使い方について、もっと具体的に知りたい方(中級~上級を目指す方)には、以下の書籍をオススメします。

『相手を必ず味方につける英会話のロジック』(アルク、愛場吉子/アーサー・ウィン著)

西澤 ロイ

【著者紹介】西澤ロイ(にしざわ・ろい)
イングリッシュ・ドクター®︎(英語の”お医者さん”)。英語への「苦手意識」や「英語嫌い」を解消し、英語が上達しない原因である「英語病」をなおす専門家。TOEIC満点(990点)、英検4級。
著書に「頑張らない英語」シリーズ(あさ出版)、「TOEIC L&Rテスト最強の根本対策」シリーズ(実務教育出版)など、計9冊で累計15万部を突破。
メディア出演多数。「めざせ!スキ度UP」の他、コミュニティFMにてレギュラー番組・コーナーを4本オンエア中。

■公式HP:English Doctor

【書籍紹介】
相手を必ず味方につける英会話のロジック

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