英語学習

英語を使った仕事に就いて初めてわかった「役に立たないTOEIC(R)学習」/セレン

TOEICの学習を始める際、勉強した成果が仕事の現場で実感できるのかどうかは不安になるものです。「English Hangout 」を運営するセレンさんが、役に立つTOEIC学習法のコツを伝授します。

英語を使った仕事に就きたい、その準備としてTOEICの学習をしている方は多いと思います。

しかし目標のスコアを取得し、いざ面接をクリアし実務開始となった時に、「学んできた英語では全然歯が立たない」「スコアから期待されている英語力とは程遠い」という現実にぶつかる人も少なくありません。

TOEICという試験はあくまでリスニングとリーディングの試験、スコアアップだけに注力した学習です。目標スコアに到達してしまうと、実際のビジネスの場面では全く役に立たず悔しい思いをする、ということにもなりかねません。

かくいう私自身も英語で日々業務を行なうまでは、「実際にはどんなスキルがいるのだろうか?」「TOEICのスコアアップは本当に役に立つのだろうか?」など様々な疑問がありました。

今回は就職、転職を機に英語を使った仕事に就くためにTOEICの学習をしている方向けに、TOEIC学習の時点でしっかり意識しておいていただきたい3つのポイントをまとめさせていただきました。

TOEICは役立つ、しかしスコアアップのプロセスによってはその価値は薄らぐ

TOEICという試験の中で使われている英語は、毎日目にする英語ばかりです。

〜に関して、という意味の前置詞 regarding ~, concerning ~は毎日目にしますし、日々多くの representatives (担当者)に会い、会議は adjourn したり postpone したりをするのです。

試験の中で起こっていることは、現実世界のシミュレーションのようなもの。その英語の理解度を問われる試験の勉強をして無駄になるわけがありません。TOEICの学習は英語で仕事をするためにとても役立つのです。

ただその反面、試験で問われるスキルだけで仕事で使う英語に十分か、というと決してそうではないという側面もあります。つまりはスコアが上がれば万事オッケーというわけではないということなのです。

絶対に押さえておきたいポイントを2つにまとめると、

1、アウトプットの意識
2、解法テクニックに頼らない正解プロセス

この2つに絞られると思います。

TOEICは読む力・聞く力が問われる試験なので、読む力や聞く力はTOEIC学習のプロセスの中で自然に養われていきますが、それだけでは話す力や書く力はほとんど育ちません。

また、

・リスニングのパート2で問題文に出てくる単語と音が近い単語が含まれる選択肢は正解にならない、
・パート5の空欄穴埋め問題で空欄の前後だけを見て答える、

というような、TOEICという試験でしか役に立たないテクニックも、仕事ではプラスにならないスキルです。

スコアを獲得するためには必要なテクニックではあるが、実際の英語使用の場面ではもっと実用的なスキルが問われることになる、という認識は常に必要です。

それではここからは、学習の時点から意識できる3つの学習法を具体的に紹介します。

1.リスニングセクションの音読は、未来の事前リハーサル

TOEICという試験は全問マークシートの選択式の回答方式になっています。パート2は3択で、それ以外は4択です。選択肢自体も本文の内容の言い換え表現をそこまでしないこともあり、なんとなく聞ければそれなりに答えられてしまう問題もあります。

このため、勘が当たってグンとリスニングスコアだけが伸びる、なんてこともよくあります。

設問に対して正しい選択肢を選べるようになることも大事なのですが、実際に英語を使う場面を想定したときに大事な点は、本当に本文がしっかり理解できているかということと、その文を声に出して読んでみるアウトプットの意識です。

前者は音声だけを聞いてみて自分の言葉で要約(日英どちらでも)してみるとその理解度がわかります。ノートに書き落とし、その情報量をスクリプトと比べてみるとどのくらいの内容が理解し、また記憶に残せているかを確認することができます。

またスクリプトの音読は自分がその話し手になってみて、役者さんが台本で読み合わせをするような意識で自分がその状況で英語を話していることを意識して読んでみることが大切です。

実際の英語使用の場面を想定し、自分にはこんな状況がありそうだな、と思うものを選んでみるとより臨場感を感じられるかもしれません。

音読はこれから起こる実際の英語使用の場面の事前リハーサルです。すべての音読は将来への準備です。備えあれば憂いなし、学習の時点から音読でしっかり「英語を話す」準備をしておきましょう。

2.リーディングパートの本文の飛ばし読みは果実の美味しいところを捨てている?

パート5の品詞問題を空欄の前後だけを読んで答える、パート7で設問に関係しそうな箇所だけを内容を理解せずに飛ばし読みする。こういった、問題に答えられればプロセスは問わない、という解き方はTOEICという試験という枠組みを外してしまえば役に立たないスキルになってしまいます。

膨大なビジネス文書に目を通し、メールの海の中から必要な情報を探すスキルは大切です。英語を使った仕事をしている方なら毎日していることだと思います。

ただそれより、TOEIC学習のプロセスで身につけなければならないスキルは「英文を正しく、齟齬なく理解する力」ではないでしょうか。

そのためにはパート5も問題文はすべて読み、ロジックを理解できたうえで答えられる力、またパート7では文書そのものの内容を理解した上で何を聞かれても答えられる本文の理解度が大切になってきます。

・「結局、このメールの送り手は何を言いたかったのか?」
・「この広告は何をどのくらいの価格で売ろうとしているか?」

このように、そもそもの骨子を英語を通して理解していく力は、ビジネスではとても問われます。これは、4択で近いものを選ぶスキルよりも思考を伴うプロセスです。パート6や7で出てくる文書はすべて自分あてに書かれている、くらいの意識で読むことがより理解度に緊張感をプラスしてくれるのではないでしょうか。

読む時には、

・本当に意味がわかっているか?
・わかったふりでごまかしていないか?

といった視点を失わず、常に「自分事」として全ての問題に挑むことで、深い理解をしようとする意識が生まれます。これこそが復習の精度、定着度をグンとあげてくれる大切な要素で、それができればスコアは自然と結果となって表れてくるのだと思います。

3.アウトプットの意識でリーディングパートに触れてみよう

英語を使う仕事と聞くと「話す・聞く」をコミュニケーションの主軸と考える方も多いとは思いますが、実はライティングのスキルも大事です。

多くの方にとってライティングはメールになってくるかと思いますが、実際に海外の方とのやりとり、また同じ社内でも別の部署の人とのやり取りなどはメールが中心です。

TOEICにもよく出てくるメール文を読む練習はとても実践にも効いてきますが、読めるだけでは不十分。実際にメールを書いてみるとわかるのですが、慣れないうちはどう書けばいいのか、普通どう言うのかなどわからないことだらけで、とても時間がかかります。

結果、たかだか十数行のメールに何時間もかけてしまった……なんて経験をしたことがある方もいるかもしれません。それでは仕事になりません。

大事な点はパート6や7の自分が使いそうな英文をただ読むだけではなく、自分ならこれが書けるかという視点で読んでみることです。

これが書けるかという視点で読むことで、単に意味がわかればいいという理解よりも、ずっと深い理解と定着が求められます。こうして、しっかり読む意識が養われると思います。

この学習法は少し時間がかかるかもしれませんが、一度参考になりそうなメール文書を宛先や送り主の名前を変えてタイプしてみるだけでも英文に対する意識に変化が加わると思います。使うことを意識した読み方が、英語の精度をグンとあげてくれるのです。

スピーキング力よりもリスニング力がより必要となる

最後に、上記以外でもう一つ大事な点をお伝えさせていただきます。それは、英語を仕事で使う場面では「スピーキングよりもリスニングができないとどうにもならない」ということです。

会話一つとっても、まずは相手が何を言っているのかが聞き取れなければ、そもそも何を言うべきかもわからないのです。また英語でのミーティング、プレゼンテーションの聴講、カンファレンスへの参加などでは発言よりも内容理解が問われます。

何を言うか、ではなく何が話されているかの理解だけが問われる場面も多くあります。何よりもまずリスニング力をしっかり育てていくことが大事です。

リスニング力の向上には時間がかかるので、仕事を始めてからヤバイと思っていては遅いのです。今の時点からしっかり意識を高め、可能な限りリスニング力を高めるようにしましょう。

TOEICのリスニング素材だけでなく日常英語からビジネス英語を取り扱う教材で聞く力を高め、必要なジャンルの語彙をしっかり習得しておくことが大事になってきます。

「TOEIC学習をしていてよかった!」そう思えるように、今日から少し、意識を変えて学習をしてみましょう。

セレン

カテゴリ:英語学習
【著者紹介】セレン
英語キュレーター。2011年より国内独学にて英語学習をスタート。2014年東証一部上場企業GMOインターネットグループ内にて独自英語研修プログラムを実施。同年E-ラーニング基調講演に登壇。2015年7月に初の著作となる「英語のあたらしい読みかた」を出版。2015年10月より社内公用語英語化大手IT企業内にて英語研修講師、プログラム作成、個人カウンセリング担当。その他多くの企業、で英語事業の開発、コンサルタントとして関わる。TOEIC990点。

■HP:English Hangout
■Twitter:@cellen0

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