英語学習

実際のところ、英検とTOEICはどっちが役に立つの?/黒坂岳央

英語学習者にとって、TOEICと英検はどちらが役に立つのか、どちらが評価されるのか、ということは気になるところ。 黒坂岳央さんが、自身の経験から2つの試験を比較します。

世の中には次のような風潮があります。

・「英検は学生向け試験、就活にはTOEIC」
・「ビジネスの場で英検は役に立たない、TOEICこそ正義」
・「英検は読み書きの能力を証明する資格ではない」

なお、私は英検は1級、TOEICは985点取得とかなりやり込みました。両方頑張った人間から言わせてもらうならば、上記の話をしている人というのは英検準1級以上を取得したことがない「想像の話」だといえます。

なぜ、想像の話だと言い切れるのか? それは、実際に私は英検の勉強をする過程でものすごく英検に助けてもらった経験をしているからです。

英検とTOEICをざっくり比較すると?

細々とした点はさておき、ざっくり英検とTOEICの試験の違いは下記のようなものです。

【英検】
・一度でも合格すると資格は一生有効。
・スコア式ではなく、合否で資格が取得できる。
・「単語」「リスニング」「リーディング」「スピーキング」の配点比重が高い

【TOEIC】
・合否ではなく、スコア式である。
・「リスニング」「文法」「リーディング」の配点比重が高い

読み書きの印象が強い英検ですが、実際には筆記試験だけでなく英語面接も2次試験として用意されており、「読む」「書く」「話す」「聞く」という4技能を備えなければ突破できない試験となっています。

TOEICには「TOEIC Listening & Reading Test」と「TOEIC Speaking & Writing test」の2種類のテストがあり、合わせれば4技能を試される試験ではありますが、後者のテストの知名度・受験者数は高くなく、実際にはほとんどの受験者が「TOEIC Listening & Reading Test」を受験しているというのが現状なのです。

TOEICスコアは英語力を示す指標、というのは間違い

「TOEICスコアほど正確に英語力を示してくれる試験はない」と評する人がいますがそれは正しい認識とは言えません。その理由は次の3つが上げられます。

・TOEICはビジネス英語ではない。
・TOEICは数多くの簡単な問題を短時間で処理する試験である。
・TOEIC対策をしても英語力はまったく身につかない。

もちろん、TOEICは英語を使う職場への転職をする際に、やっぱりスコアをチェックされます。

特に英語を仕事で使った経験がない人にとっては、「経験を積むための経験がない」という状態ですから、面接官に英語力を示すネタが「TOEICスコア」しかないので、「ないよりあったほうがいい」というのは確実でしょう。

かといって、TOEICスコアが高ければ、それだけでハイクラスの仕事へスイスイ転職ができるようなものでもありません。

TOEICは、ビジネス英語ではない

「TOEICの試験はビジネスの場で使われる事を想定している」と考えている人はものすごく多いです。そのため、TOEICでハイスコアを取れた人は、そのまま職場に着任して即戦力でバリバリ働ける、という印象を持ってしまいがちです。しかし、実はそうではありません。

私も数社の外資系企業で働いてきましたが、その経験からいってもビジネス現場で真に必要なのはTOEICではなく、専門英語です。

私は財務・会計や経営企画の仕事をしていましたが、会計の仕事をするならビジネスで使われる英会話などではなく、米国会計基準や英語の会計用語の単語を理解しておくほうが重要です。

TOEICは実際に現場で使用する専門英語とはまったく関係がありません。高スコアが取れてもそれが仕事でそのまま役に立つことはないのです。英語で仕事をするなら、専門分野の内容を英語で理解できる力こそ必要です。

TOEICは短時間で処理する試験だ

TOEICのハイスコア取得者は、難解な試験を突破したエリートのような印象がありますが、実はそうではありません。

簡単な問題がたくさんあって、それを短時間で正確に処理する力が求められる試験になっています。ある程度力をつけることができれば、対策など何もせずにあっさりと高スコアが取れてしまうのです。

確かに、ある程度の英語力を確認できるテストであることは間違いないですが、それはあくまで「ある程度」でしかありません。

母国語が英語であるアメリカ人がTOEIC900点を取るのと、英語の勉強をしてなんとかTOEIC900点を取る日本人の間には、途方もない英語力の差があります。TOEICは、その差を示すことができない試験なのです。

こうした理由から、同じハイスコア取得者の間でも実際の実力にはあまりにも大きな差が存在します。

下記は実際に私が職場で見ていたTOEICハイスコアホルダーたちです。

・アメリカ人と激しいビジネスの議論をしても負けない人。
・「やばい、今の聞き取れなかった。助けて!」と目でヘルプの合図を送ってくる人。
・翻訳をすると間違いだらけで、お願いをしてやってもらうより自分でやった方が早い翻訳家。

全員、TOEICスコアは900点以上取得した人ばかりです。このようにTOEICスコアは万能であるような印象がありますが、実はそうではないことを把握しておく必要はあります。

TOEIC対策をしても、英語力はまったく身につかない

時々、TOEICに並々ならぬ情熱を注ぐ人を見かけることがあります。

貴重な休日に、ガリガリと一生懸命TOEICの問題集を解いて「お勉強」に余念がないという人たちです。彼らはTOEICの勉強をする過程で、当然に英語力も高まると思い込んでいます。

しかし、実際にはそんな事はありません。TOEICはあくまで、「ある程度英語力を持っていることをスコアで示すテスト」でしかありません。テストはテスト、TOEICの対策などをしても出題傾向に慣れる、時間配分の訓練をするという程度でしかなく、対策をしているからといって英語力が付くものではないのです。

試験の意義を考えてみると?

世の中に数多ある試験の意義とは、なんでしょうか? 単なる合格証書をゲットする作業でしょうか?

私はそうではないと思います。試験を受ける過程でその分野で必要とされるノウハウや知識が内在し、実際に現場で役に立つ力を身に付けて、それをスコアや合格証書で証明するものではないでしょうか。

そのため、私は単に合格していることを証明しても肝心の力がつかないものであれば、やる価値はないと思っています。しかし、その点英検は学習過程で本当に英語力が身に付く素晴らしい試験なのです。

英検は勉強の過程で英語力が付く試験

簡単な試験が数多くあるTOEICと異なり、上のレベルへいくとかなり歯ごたえのある長文や単語をこなさなければ決して合格を手にすることができないのです。

まず、単語レベルからしてTOEICと全く違います。

時々、「英検1級レベルとなると、ネイティブが分からないものばかりが並んでいる奇門難問揃いである。こんなものを勉強しても意味がない」という主張を目にします。ですが、そう言っている人のほとんどは実際に英検1級も取っていないでしょうし、英語を運用してビジネスや私生活をしている人たちではありません。

私は英検1級の勉強をする過程で多くの語彙力を身に付け、そこで記憶した単語は今でも頻繁に目にします。特に投資の世界では英語力がある・ないで他者に大きく差をつけることができるのです。

私は株式投資や、仮想通貨投資をしているのですが、投資判断をする上で情報は命、その情報源は海外の経済・金融・企業業績などの情報を英語のWeb情報を見ています。

記事を読む上で、「この単語は英検1級で覚えたものだ」と思うことは日常茶飯事です。英検の教材を使い、集中的にリーディングや単語の暗記を勉強したことで語彙力を高めたのですが、あの頑張りがなければ今ほどスイスイ記事を読むことは絶対にできなかったでしょう。

自分の経験からも、英検は学習過程でものすごく英語力がつくように作られた極めて優れた試験だと本当に思います。英検に出している過去問や問題集を使って学習を進めることで英語力を身に付け、そして試験に合格をしてその実力が本物かどうかを証明することができるのです。

転職で役に立つのは英検ではなくTOEIC。でも…

しかし、英検にも弱点があります。私はTOEICより英検が素晴らしい試験と思っているのですが、世の中はTOEICを信仰する人が多数派で、それで転職市場も回っているという歴然たる事実です。ですので、転職で役に立つのは英検ではなく、TOEICなのです。

ですので、英検は取得したホルダー同士で分かりあえる試験なのです。私は過去、英検1級ホルダーと話をして大いに盛り上がったことがあります。

「どうやって単語覚えました?単語帳は何を使いました?」
「何回目で合格しました??」

といった具合です。

話が少しそれてしまったのですが、英検の合格通知書を持っていっても転職で有利になることはないでしょう。

もしも私が外資系企業の人事部の人間であれば、TOEIC900点より英検1級を取得した人を「高い英語力を持っている」と思ってしまいそうですが、世の中にTOEICを過信する人が多くそれで世の中が回っているなら乗っかるしかないのです。

しかし、英検を頑張って高いレベルを合格できれば、そのままTOEICを受験しても間違いなくハイスコアが取れます。でもその逆はないのです。

以上、英検とTOEICの試験の違いについて解説してきました。英検の素晴らしさに少しでも気づく人が増えてもらえたら、と心から願っています。


黒坂 岳央

カテゴリ:英語学習

【著者紹介】黒坂 岳央(くろさか・たけお)
1981年、大阪府生まれ。「水菓子 肥後庵」代表。ビジネスジャーナリスト。高校卒業後、5年間のニート&フリーター生活の後、関西外国語大学短期大学部に入学。在学中にシカゴの大学へ留学し、会計学を学ぶ。卒業後は、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て、高級果物ギフト専門店「水菓子 肥後庵」を設立。

【書籍紹介】『1年でTOEIC985点&英検1級! 中学レベルの僕が「読むだけ勉強法」で英語をペラペラ話せるようになった! 』(大和出版)

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