英語学習

「会話偏重主義」をやめれば英語力は伸びる/黒坂岳央

社会人が英語を学ぶというと、英会話スクールのイメージが先行します。しかし、これは失敗の元かもしれません。英会話より先に行うべき英語学習について、英語の著作もあるビジネスジャーナリストの黒坂岳央さんが解説します。

日本人の「英会話偏重主義」は根強いものがあります。「英語といえば会話が重要」、そんなイメージを持っている人も少なくありません。

しかし、こうした「英語は会話こそが重要だ」というイメージは、作られたものに過ぎないのです。

英会話偏重主義は業者が作り出したもの

日本人の多くの人が「英語=英会話」と思っているのは、業者が作り出した幻想です。業者というのは、留学エージェントや英会話スクールのことです。

なぜ、彼らが英会話こそ重要だと主張しているのかというと、ズバリ英会話は”儲かる”ビジネスだからです。

スクールの形態や講師のフィーによっても異なりますが、英会話業界の粗利はざっくり「4割」と主張するスクールもあります。

英会話はたいてい、まとめてチケットを購入することになりますから、数十万円、時には100万円以上の費用を払うことになります。仮に生徒が100万円をスクールに支払えば、スクールの取り分は4割で、そこから経費を支払うことになります。

この経費を広告宣伝費に当てており、TV・ラジオ・雑誌などで広告を打って集客をしているというわけです。

生徒が納付する金額の規模が大きい英会話は、粗利が大きなビジネスモデルであり、それだけ手元に残るお金も大きいのです。

生徒を集めるほど手元に残る利益は大きくなりますから、「英会話こそ重要!」とあちこちのメディアで声高に叫ばれているので、「英会話こそ、英語の本質なんだ」というイメージを多くの人が持っているわけです。

英語多読メソッドが主流でない理由

ではここで、「英語多読」を考えてみてください。

私の提唱する英語多読メソッドであれば、英語上達のために必要なコストはわずか1万円です。

1万円投資して1年間独学で頑張れば、ビジネスで通用するレベルの英語力が身につきますから、これほどコスパの良い方法もないのです。

世の中に英語多読メソッドが主流でないのは、「ビジネスにならないから」です。

英会話のほうが儲かるビジネスモデルで、英語多読は業者がお金を取れず、ビジネスにしていたとしても広告宣伝に使えるほど儲からないので、結果的に英会話メソッド勢に押し負けてしまうわけです。

言語能力は読解力がその源泉である

英語に限らず、言語そのものの能力は大量の読解に裏打ちされています。

例えば、私達の母国語である日本語でも、個人間で大きな力の差があります。何を見ても「スゲー」しか言えない人と、読書家で日頃から文章を書く習慣のある人とでは、歴然たる言語の運用能力に違いが現れるのは明白です。

言語の運用能力を鍛えるためには、たくさん話すというより、「どれだけ知的で語彙の豊富な読解素材を読み・書くか」ということで決まります。

英語も同じです。何を見ても「Wow!」「Great!」しか言えないのでは、表面上は英会話が成立していますが、役に立つ英語力が身についているとは言えません。

ネイティブスピーカーに一目置かれ、高い英語力を身につけるためには、やはり英語を大量に読みこなす、スラスラと主張したいことを書く力が必要なのです。

会話は最後の総仕上げで取りかかる

誤解のないように言っておきたいのですが、私は「英会話は全くやる必要がない」といっているわけではありません。そうではなく、「初心者がいきなり会話をやるのではなく、会話は最後の総仕上げにしよう」と主張したいのです。

私は英語を身につける際、十分に英語の読解力を身につけてから着手しました。

英会話の練習をスタートさせた時には、日頃から読んでいる文章のフレーズをそのまま使ったり、一部変えたりして取り出すだけで、文法上、表現上も自然で完璧な英文なので、相手も一回でスッとこちらの会話を理解してくれます。

あとは何度もそのフレーズを取り出す経験を積むだけで、どんどん英語がスムーズに、きれいな発音で取り出すことができるようになります。

私は英会話の練習を部屋で独学でやり始めて、わずかな期間を経て、英語でプレゼンテーションやディスカッションができる水準に到達しました。

それができたのも、英会話をする前に十分英語を読み込む、という読解をしていたからなのです。

初心者は英会話の練習に飛びつくな

英会話偏重主義を捨てて、英文を大量に読解する学習法に取り組めば、極めて効率的に学習が進んでいきます。

英会話は確かに必要なスキルで、練習をしなければ頭に入っているフレーズもスムーズにはできてません。しかし、実りある英会話の練習にするためには、会話の練習は一番最後に持ってくるべきなのです。

初心者がいきなり英会話の練習に飛びついても、成長の手応えを感じることができず、時間が経過すると挫折してしまいます。このことを忘れず、日々の学習に取り組んでください。


黒坂 岳央

カテゴリ:英語学習

【著者紹介】黒坂 岳央(くろさか・たけお)
1981年、大阪府生まれ。「水菓子 肥後庵」代表。ビジネスジャーナリスト。高校卒業後、5年間のニート&フリーター生活の後、関西外国語大学短期大学部に入学。在学中にシカゴの大学へ留学し、会計学を学ぶ。卒業後は、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て、高級果物ギフト専門店「水菓子 肥後庵」を設立。
■Blog:黒坂岳央の超公式ブログ
■Twitter:@takeokurosaka

【著書紹介】『1年でTOEIC985点&英検1級! 中学レベルの僕が「読むだけ勉強法」で英語をペラペラ話せるようになった! 』(大和書房)

★英語力を高めるヒントが満載「英語学習」記事一覧は こちら

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