マネーテク

不動産ビジネスが人気の3つの理由と、不動産との3つの関わり方/お金の教科書(14)

大富豪が多い欧米諸国では、早期から子どもへの金融教育が導入されています。海外で学生時代に叩き込まれる基礎教養「一生モノのお金の基礎知識」を、『アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書』(アンドリュー・O・スミス著)よりご紹介します(第14回)。

不動産

不動産は昔から、ひとつのビジネスとして人気を保っている。その理由は3つある。入手しやすいこと、理解しやすいこと、そして資金調達の方法がいろいろあることだ。

ここで言う不動産ビジネスとは、よく広告で見る「不動産で一攫千金」というような怪しい話ではない。不動産をひとつのビジネスと考え(本業でも、副業でも)、長い時間をかけて富を築くことを目指している。

不動産業界は大きく3つに分けられる。住居用不動産、事業用不動産、そして産業用不動産だ。住居用の不動産は一戸建てと集合住宅があり、そこに住むことになる個人や家族に売却するか、あるいは賃貸に出す。事業用の不動産は、オフィスビル、ホテル、ショッピングセンターなどがある。そして産業用の不動産は、工場、倉庫、物流センターなどだ。

不動産業界で働く人は、たいていこのうちのどれかひとつを専門にしている。たとえば、住宅の専門家であれば、事業用や産業用の不動産についてはほとんど知らないのが一般的だ。

お金の面で不動産に関わる場合も、3つの方法がある。デベロッパーになるか、オーナーになるか、あるいは管理者になるかだ。デベロッパーは土地開発のアイデアから資金の調達、実際の建設までを行う存在だ。たいていの場合、できあがった物件は売却する。

オーナーは投資家であることが多く、所有する不動産の運営で限られた役割を担うことになる。管理者は人間の場合もあれば、不動産を賃貸に出す事業体の場合もある。不動産の維持管理や運営をする存在だ。ひとつの組織が、これらの中から複数の役割を果たすこともある。

不動産が個人の副業として魅力的なのは、最初の物件選びだけに労力を注げば、あとは基本的にそれほど手間がかからないからだ。たとえばあなたが、中古のデュープレックスハウス(二世帯が住める家)を買うと決めたとしよう。ある程度の修繕を行い、そしてひとつは自分たち家族が住み、もうひとつは賃貸に出す。

まず住みたい場所に物件を探し、現在の収入と家賃収入の見込みからローンに払える金額を決め、リノベーションの計画を立てて業者を探す。この時点で、あなたはデベロッパーのような役割を果たしていると言えるだろう。そして物件を購入してからはオーナーであり、さらにすべてが計画通りに運び、空いているほうの入居者も決まったら、今度は管理者の役割も果たすことになる。

資金調達のやり方

どのビジネスもお金が必要だ。非営利の組織も例外ではない。開業するにもお金がかかり、オフィスの賃貸料や従業員の給料といった経費の支払いにもお金がかかる。

ビジネスで使うお金は「資本」と呼ばれる。資本を手に入れる手段のひとつが「デットファイナンス」だ。これは借金(デット)で資金を調達する(ファイナイス)という意味であり、たいていは債券を発行し、決められた期日までに決められた利息をつけて返済する。

どんな人物でも、あるいは会社などの事業体や組織でも、お金があればお金を貸すことができる。とはいえ、ビジネスのお金は専門の金融機関から借りるのが一般的だ。金融機関には、貸出先のリスクを計算したり(借金を踏み倒されるリスクなど)、ローンの実務を行ったりするノウハウが蓄積されている。

ビジネスへの融資を行う金融機関は、銀行、金融会社、保険会社などだ。大きなビジネスであれば、社債を発行して市場から直接資金を調達することもできる。一般的に、購入した社債は市場で自由に取引することができる。

もうひとつの資金調達の方法として、「エクイティファイナンス」があげられる。エクイティとは会社の自己資本という意味であり、この方法で集めたお金はすべて会社のものになる。出資者がお金を返してもらうことはない。出資者が受け取るのは、会社が利益を出したときの配当金だけだ。

エクイティは、会社では「株式」と呼ばれ、ゼネラル・パートナーシップやLLCでは「持分」と呼ばれる。エクイティに投資した人は、自分のエクイティを第三者に売ることもできる。また公開会社(株式を一般に公開している会社)の株式であれば、市場で自由に売ることができる。

いずれにせよ、エクイティを発行した会社は、最初の投資額をそのまま持っていることができる。公開会社であれば、個人の投資家や、投資銀行、ヘッジファンド、年金基金、保険会社といった金融機関が、その会社の株式を購入する。

非公開企業(株式を公開していない企業)も同じような投資家や金融機関から資金を調達するが、株式市場は通さない。それに加えて、非公開企業のエクイティを専門に扱うプライベートエクイティ・ファンドや投資銀行から資金を調達することもある。

たいていのスタートアップ企業は、開業資金を自己資金でまかなっている。具体的には、自分の貯金や、家族や友人からの個人的な借金だ。エンジェル投資家とは一般的に、スタートアップ企業に投資する裕福な個人だ。最近では、インターネットを使ったクラウドファンディングで資金を集める人も増えている。

エンジェル投資家が開業初期の投資を主に行うのに対して、ベンチャーキャピタル(VC)は会社の発展を通じて投資を行う。VCの出資を受ける企業の平均年齢は4歳だ。VCはまた、お金だけでなく人材やコンサルティングも提供して、小さな企業を大きく育てる働きもする。

その他の資金調達方法は、機関投資家を対象にした「私募」や、さらに会社が大きく成長したときは新規株式公開(IPO)も選択肢になる。



著=アンドリュー・O・スミス

カテゴリ:マネーテク
Amazonで詳細を見る
アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書

アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書

作者: アンドリュー・O・スミス, 桜田直美 (翻訳)
出版社/メーカー: SBクリエイティブ
発売日: 2019-11-20
メディア: 単行本

【著者紹介】アンドリュー・O・スミス
学生時代からお金、投資、財務計画についてのアドバイスを受け、アメリカで最初の大学投資クラブの一つであるペンシルバニア投資連合の設立を支援。受託者、財務顧問、弁護士として、信託基金、不動産、投資パートナーシップ、有限責任会社、保健信託などに助言をしてきた。現在は科学専門メーカーYenkin-Majestic Paint Corporationの最高執行責任者。

あなたへのオススメ記事

  • フランチャイズに副業…一生食いっぱぐれないための働き方いろいろ/お金の教科書(13)
  • 起業に必須の「事業計画」、重要となる9つのポイントはこれだけ!/お金の教科書(12)
  • マックス・ヴェーバー曰く「会計の知識は一生を通じて貴重な財産」/お金の教科書(11)
  • ビジネスと公共事業の違いと、個人とビジネスを分ける「組織」の仕組み/お金の教科書(10)
  • 知っていたら自慢せずにはいられない! マニアックすぎる雑学クイズ

    知っていたら自慢せずにはいられない! マニアックすぎる雑学クイズ

  • 食通だったら全問正解!? 日本ならではの「食べもの」クイズ

    食通だったら全問正解!? 日本ならではの「食べもの」クイズ

  • その言い方、大丈夫? 上司&取引先への言葉遣いのマナー

    その言い方、大丈夫? 上司&取引先への言葉遣いのマナー

  • 知られざるエピソードにびっくり! ネーミングの秘密がわかるクイズ

    知られざるエピソードにびっくり! ネーミングの秘密がわかるクイズ

  • 喪服が黒なのはなぜ? 日本文化を深掘りするクイズ

    喪服が黒なのはなぜ? 日本文化を深掘りするクイズ

  • 観戦がもっと楽しくなる!? スポーツの英語雑学クイズ

    観戦がもっと楽しくなる!? スポーツの英語雑学クイズ

マネーテクの人気記事ランキング

  • こんなにあった! 新幹線に安くのる9つの方法/節約ハック大百科③

  • 給料から何でこんなに毎月引かれるの?/給料のカラクリ①

  • 独身だと手取りがずいぶん減るって聞いたんだけど?/給料のカラクリ③

  • 副業で得た収入はいくらから確定申告しないとダメなの?/給料のカラクリ⑥

  • 知らなきゃ損! 医療費控除の対象はこんなにある/確定申告の書き方③

{ カテゴリ別ランキングを見る }

資格・スクール情報

  • 中小企業診断士とは? 試験&仕事内容を解説

    中小企業診断士の仕事内容は? 養成課程って何? 中小企業診断士について知っておきたいことを詳しく解説します。

    中小企業診断士とは? 試験&仕事内容を解説
  • 行政書士とは? 試験&仕事内容を詳しく解説

    行政書士って何? どんな仕事をするの? 試験の難易度は? 行政書士に関する素朴な疑問を解決します。

    行政書士とは? 試験&仕事内容を詳しく解説
ページトップに戻る