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業績がいいのにボーナスが増えないのはなんで?/給料のカラクリ②

連載「給料のカラクリ」の第2回です。皆さんの会社の業績はどうでしょう。 業績と昇給やボーナスの関係って、実際のところどうなっているのでしょうか?

「ベースアップ」と「定期昇給」とは?

業績とボーナスの関係の前に、「ベースアップ」と「定期昇給」という用語について説明します。

毎年4月に給料を上げる会社が多いのですが、そのころになると「ベースアップ」と「定期昇給」という言葉を目にします。

「ベースアップ」は略して「ベア」ともいいます。ベースアップとは、社員すべての給料のベース(基準)をアップ(引き上げる)すること。職種や年齢などに応じて決められた「賃金表」そのものを、一斉に増額することをいいます。ベースアップが行われると、社員全員の給料が上がることになります。

一方で、「定期昇給」は、勤続年数に伴う昇給のことをいいます。会社で働いて1年経つと、1年先輩の前年の給料になります。また、勤続年数や業績も考慮されるので、人によって昇給に差が出ます。

この2つは別物なので、「ベースアップ」はなしで、「定期昇給」のみということもよくあります。

給料や賞与(ボーナス)はどのように決まる?

さて、給料や賞与は、どのように決められているのでしょうか?

会社に「賃金表」があれば、それにもとづいて決められるでしょう。賃金表がない会社もありますし、また、賃金表がある会社でも、ベースアップによって給料は毎年変動していきます。さらに、賞与は毎年上下することがありますね。

これは、その人の勤続年数、役位、職種、実績、今後の期待、など様々な要素が絡んでいます。

どんな会社であれ、共通して大きな影響があるのは会社の業績でしょう。会社の業績が特に良ければ、昇給がされやすく、さらにボーナスも例年より多く出る可能性が高いでしょう。

一方で、会社の業績がかなり悪いと、昇給はなかなか難しくなり、ボーナスも例年より少なくなる可能性が高くなります。

会社の業績とは?

会社の業績が「良い」「悪い」とは、どういうことでしょうか?

これは、会計的に言うと、利益がたくさん出ている状態か、利益があまり出ていない(あるいは赤字)状態ということになります。

「利益」が出るか出ないかがポイントですね。

会社は、売上を上げるために、仕入や経費にお金を使って、日々経営活動をしています。利益とは、売上から仕入(※)と経費を引いた残りの金額のことです。

(※)正確には「売上原価」ですが、1年のトータルではほぼ同じ金額となりますので、わかりやすい言葉の「仕入」で説明します。

1年を通してトータルで利益が出ると「黒字」、トータルで損になると「赤字」となります。

「黒字」か「赤字」かは、売上と、仕入・経費のバランスです。売上の方が、仕入・経費より多ければ「黒字」になります。一方で、仕入・経費の方が、売上より多ければ「赤字」になります。当然ですが、会社は「黒字」になるのが良く、さらに「黒字」の金額が大きいほど良いと言えます。

「黒字」が大きいほど、昇給やボーナスの増額が期待できるわけです。

「黒字」か「赤字」かは、何を見ればわかるのか?

会社が「黒字」か「赤字」かは、決算書を見ればわかります。

決算書は「貸借対照表」と「損益計算書」の2つの表がメインとなっています。

そのうち「損益計算書」を見ると利益が計算されています。

実際に見てみると下記の図のようになっています。

「損益計算書(抜粋)」の例
「損益計算書(抜粋)」の例

「販管費及び一般管理費の内訳書」の例
「販管費及び一般管理費の内訳書」の例

損益計算書のうち、経費をまとめた表が「販売費及び一般管理費」です。ここに会社が使った様々な経費が計上されています。

会社はこれらのたくさんの経費を使って売上を上げているのです。皆さんの給料は「給料手当」という項目の中に含まれていますが、それ以外にもたくさんありますね。

従って、会社の売上が上がっても、上がった分がすべて皆さんの給料にはならないわけです。

例えば、営業マン以外にも、間接部門といって、総務、人事、経理などの部門で働く人もいます。いくら個人で売上を上げても、残念ながらそのほんの一部だけが自分の給料に反映するということになります。

会社はどうやって利益を出しているのか

会社の利益を損益計算書でもう少し見てみましょう。

売上から仕入を引いて「売上総利益」となります。これは「粗利益(あらりえき)」または略して「粗利(あらり)」と言うこともあります。

売上総利益の下が、販売費及び一般管理費となり、引いた残りの利益は「営業利益」と言います。

参考までに、その下の支払利息などの経費をマイナスして「経常利益」、さらに特別な利益と損失をプラスマイナスすると、「税引前当期純利益」となります。

営業職であれば、一般的には自分が稼いだ付加価値(小売業、卸売業なら売上総利益)に対して、給料は1/3程度が目安と言われています。

さて、会社全体でたくさん売上が上がり、利益をたくさん稼いだとします。決算をまとめて「税引前当期純利益」がたくさん稼げたら、そのすべてをボーナスで出して欲しいところです。

しかし、ほとんどの会社は銀行からの「借入金」があります。

その借入金を毎月返していく必要があります。さらに、会社には法人税等の税金を支払う義務もあります。これは利益に対して約34%(資本金1億円以下の会社)にもなります。

さらに、将来の設備投資なども考えると、最終的な利益のすべてをボーナスで出してしまっては、その後の資金がショートしてしまいます。

従って、会社は税金を支払って、支払った後の利益(当期純利益)を会社に留保しておく必要があります。これを「内部留保」と言います。

皆さんが会社の業績に興味がわいてきたら、自社の決算書を見てみたらどうでしょうか?

上場会社なら公開されている情報です。非上場会社なら会社の秘密情報となりますが、外部の話さないことを前提に、思い切って上司にお願いをしてみるのもいいでしょう。意外に「会社の決算書に興味を持つとは見込みがある社員だ」と、皆さんの評価が高くなるかもしれませんよ。

(つづく)

落合 孝裕

【著者紹介】落合 孝裕(おちあい・たかひろ)
税理士・CFP。横浜市立大学卒業。大手食品メーカーを退職後、91年税理士登録、96年落合会計事務所を開業。中小企業向けの会計・税務、資産家向けの相続税・贈与税を専門としている。テレビ朝日「グッド!モーニング」、TBSテレビ「Nスタ」、「ひるおび!」、「イブニングワイド」、日本テレビ「ズームイン!!SUPER」、などTVの取材多数。また、読売新聞、産経新聞、週刊ダイヤモンド、週刊東洋経済、PRESIDENT、日経マネー、AERA、サンデー毎日、週刊ポスト、週刊SPA!、など新聞・雑誌への取材・執筆実績は430回(2018年3月現在)。研修講師の実績は、中小企業大学校、東京商工会議所、など。
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