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為替レートが理論通りに動かない「本当の理由」/お金の教養⑧

デフレの長いトンネルから脱け出そうとしている日本経済。変化に適応して資産を殖やすには何が必要か。『知らないと損をする! 株高時代の「お金の教養」』(菅下清廣著)で学びましょう。今回は第8回目です。

株以外の投資法・FXは「丸損OK」な金額で

不動産とは対照的に、もっとも機敏に動けて、かつ気軽に始められるのがFX(Foreign Exchange=外国為替証拠金取引)。

外貨を安いときに買い、高くなったときに売る投資法です。


1ドルが100円のときに、10万円で1000ドルを購入しておき、円安で1ドル120円になったときに売れば12万円。2万円の利益が出せます。

逆に、「売りから入る」という方法もあります。

1ドル100円のときに、1000ドル(10万円分)をFXの取引会社から借り、それを売ります。この方法を、「空売り」といいます。この段階で、手持ちは10万円。その後1ドル80円になれば、1000ドルを買い戻します。1000ドルを8万円で買えます。10万円で売って8万円で買い戻したので、2万円の利益になります。


為替は変動が激しいので、上昇幅が高ければ10万円の元手で、レバレッジ10倍で100万円分ドルを買えば、すぐに110万円に増えることもありえます。そうなると元手10万円が2倍の20万円になる。

ただし、大幅に下がれば元手がゼロになることもあります。ハイリスク・ハイリターンを狙いたい、冒険心のある人向けの投資法といえるでしょう。


興味のある方は、「この金額なら丸々失っても大丈夫」な額で始めましょう。

取引会社によって始められる最少額はまちまちですが、1万円から始められるパターンがよく見られます。この程度なら、少しは気軽にできますね。

逆に、たくさんつぎ込むのは大損のモトなので絶対に控えること。一度うまくいったからと味をしめると足をすくわれることもあります。

始めるのなら、組み合わせもいろいろありますが、円ドルや円ポンドなど、馴染みのあるものにするのがよいでしょう。


ちなみに仮想通貨取引はFX取引とほぼ同じです。

レートの上下で利益が出る点も同じですし、小さな資金で取引できる点も共通しています。仮想通貨、とくにビットコインは、FXに興味をもつような方々にはぜひ挑戦してほしい分野ですが、ハッキングなど何かと不穏な話も後を絶ちません。

「頭でっかち」は相場を読み違う

FXに話を戻しましょう。

「FXは変動の予測が難しい」というイメージがありますね。実は、円高ドル安にせよ、円高ユーロ安にせよ、為替レートの変動条件は意外に単純です。

基本となるのは、両通貨の金利格差と、両国の経済力格差です。

円とドルで言えば、アメリカは金利が高く、日本はほぼ0%。

経済で比べると、アメリカのほうが勢いよく景気回復中。

ということは、ドルにお金が集まってドル高円安になる……はず。

しかし、実際はそうなっていません。

ここからわかるのは、「相場は理論通りには動かない」という事実。

賢い人がロジックに基づいて考えた予測は、たいてい外れるのです。


では、円高になっている本当の理由は何でしょうか。

世界中の投資家が、資産の安全を図っているからです。世界情勢が不穏ななか、一番安全な通貨である円で資産を守ろうとしているのです。

彼らが円を買うのは、利益のためではありません。利益目的なら、こんなに金利の低い通貨など見向きもしないでしょう。

彼らは財産保全のために、円の安全性を買っているのです。

大きなお金を動かしている人ほど、保全の優先順位は高く、利益は二の次。

儲かるに越したことはないけれど、保全はもっと大事だと考えるのです。これが、為替レートが理論通りに動かない理由です。

その観点から言うと、日本円が人気第1位でしょう。

米国ドルは基軸通貨ですから、どの国も、誰でももっています。その意味ではドルが1位ですが、この世界中に行きわたっているドルの保有者がドルを売って他の通貨に乗り換える場合の一番人気が、円というわけです。トランプ政権の安定性にはまだ信頼がもてない人が多いのです。第2位がスイスフラン、第3位がシンガポールドル、第4位あたりにユーロがくるのではないでしょうか。

国際情勢が不安定になると、世界最大の債権国日本の投資家(機関投資家が中心)が、外貨建て(多くはドル)証券を売却して円に戻す(円買)という動きが出るために円高になるという説もあります。

菅下 清廣

カテゴリ:マネーテク
【著者紹介】菅下 清廣(すがした・きよひろ)
スガシタパートナーズ株式会社代表取締役。国際金融コンサルタント。投資家。学校法人立命館 顧問。メリルリンチをはじめとする名門金融機関で活躍後、現職。変化の激しい時代に次々予想を的中させることから「経済の千里眼」の異名をもち、政財界にも多くの信奉者をもつ。『今こそ「お金の教養」を身につけなさい』(PHP ビジネス新書)、『マネーバブルで勝負する「10 倍株」の見つけ方〔2018 年上半期版〕』(実務教育出版)など著書多数。

【書籍紹介】『知らないと損をする! 株高時代の「お金の教養」』(KADOKAWA)

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