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“ペイ”がありすぎて選べない! 規格乱立のQRコード決済に未来はあるか/黒坂岳央

スマホで支払いができる「QRコード決済」が注目されるなか、国内規格が乱立し「ガラパゴス化」の様相を呈しています。国内規格に必要な視点について、ビジネスジャーナリストの黒坂岳央さんが指摘します。

日本はビジネスの上で、国内の独自規格が乱立するという特徴があります。

過去、独自規格が乱立したものを挙げてみると、

・デジカメのメモリカード
・携帯電話
・ゲームソフト
・ギフト文化

など、キリがないほどです。

これが日本独自の文化として良くもあり、逆に国際競争力を落としてしまうデメリットでもあります。

しかし「支払い方法」についていえば、独自路線を走るメリットは薄いと言わざるをえません。

日本人は現金主義

日本人は、現金払いが好きな国民と言われます。

経産省が発表した「キャッシュレス・ビジョン」(平成30年4月)によると、日本の現金主義が突出していることがデータから明らかになっています。

<各国のキャッシュレス比率(2015年時点)>
アメリカ…45.0%
中国…60.0%
韓国…89.1%
日本…18.4%

その理由には「日本では偽札が出回ることがほとんどない」というポジティブな理由と、「電子マネーの規格が多すぎて使いにくい」というネガティブな理由が挙げられます。

マクロで見ると、日本の現金主義はいいことばかりではありません。

現金の管理コストはかなり大きく、国内におけるATMの年間維持コストは「2兆円」という試算があります。

現金支払いは手間や管理コストが大きいため、労働生産性向上の一環として政府主導でキャッシュレスを推進します。

現在、脚光を浴びているのが、スマホで支払いができる「QRコード決済」です。

しかし、このQRコード決済でまた独自規格が乱立し、「ガラパゴス化」の様相を呈しています。

日本で使用されているQRコード決済

MMD研究所が2019年1月に実施した調査によると、もっとも使用されているQRコード決済は

・PayPay
・楽天ペイ
・LINE Pay

の3つです。これに続く規格として、「d払い」があげられます。

また、これらのQRコード決済に加えて、最近になって

・au PAY(KDDI)
・メルペイ(メルカリ)
・Jコインペイ(みずほFG)
・ヨドペイ(ヨドバシカメラ)
・ファミペイ(ファミリーマート)

といった新たな規格が次々と誕生しつつあります。

キャッシュレスの決済方法で独自の規格がどんどん立ち上がる様は、かつてガラパゴスケータイが日本を席巻し、日本で進化し、そしてスマホによって時代が終わりを迎えた時の既視感があります。

QRコード決済が乱立する理由

QRコード決済が乱立する理由は、「消費者のデータ」です。

QRコード決済をすると店舗側に購買データが残り、そこから企業や店舗が消費者にマーケティングできることがあげられます。

これにより、サービスの数だけ独自のQRコード決済が誕生しているというわけです。

2強で便利な中国国内事情

日本でQRコード決済が乱立する中、中国ではアリペイとウィーチャットの2強が市場を席巻しています。Analysys易观(2017年)によれば、

・アリペイ(53.7%)
・WeChat Pay(39.1%)

となっており、2社を合わせると92.8%とほぼ独占状態となっています。

中国ではこの2社のQRコード決済アプリを入れておけば、ほとんどのキャッシュレスの支払いに対応できるというわけです。

QRコード決済に必要なのは「提携」

対して日本では規格の分だけ、アプリのインストールやチャージが必要となります。

そのため、利便性より煩雑さが勝ることになり、回り回って現金支払いがラクでQコード決済が面倒という、皮肉な結果になっているのです。

そこで、QRコード決済に必要なのは「提携(アライアンス)」という概念と考えます。

日本で独自規格が次々と生まれる中、PayPayについてはこの提携(アライアンス)の機能をもたせています。

これにより、中国を訪れる日本人がアリペイ対応店舗でPayPay決済が可能となり、逆に日本を訪れる中国人がPayPay決済対応店舗でアリペイの支払いができます。

結果として、海外の行き来をする時に現金の両替をする手間が省け、相互メリットが生まれます。

これこそが現金支払いにはない、キャッシュレス決済のメリットに他なりません。

QRコード決済最大のメリットである利便性を担保するための「使いやすさ」を、ガラパゴス化と非提携が阻んでいるというわけです。

◇ ◇ ◇

これまで日本のガラパゴス化を破壊したのは、海外からの黒船です。

ガラケーもかつては日本の半数以上が保有していましたが、スマホの席巻でガラケーは終わります。ドコモのガラケーであるFOMAは3Gの停波により、2020年代半ばに終了する見込みです。

国内で規格の乱立、シェアの奪い合いに奔走するのは賢明ではありません。

ガラケーの時と同じように、海外からの黒船にすべてのシェアを奪われてしまう可能性があります。

企画の提携を推進し、逆に海外のQRコード決済シェアを取りにいくようにしてもらいたいものです。

黒坂 岳央

カテゴリ:マネーテク
【著者紹介】黒坂 岳央(くろさか・たけお)
1981年、大阪府生まれ。「水菓子 肥後庵」代表。ビジネスジャーナリスト。高校卒業後、5年間のニート&フリーター生活の後、関西外国語大学短期大学部に入学。在学中にシカゴの大学へ留学し、会計学を学ぶ。卒業後は、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て、高級果物ギフト専門店「水菓子 肥後庵」を設立。
■Blog:黒坂岳央の超公式ブログ
■Twitter:@takeokurosaka

※参考リンク
「キャッシュレス・ビジョン」(経済産業省)

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