マネーテク

3分でざっくりわかる! 仮想通貨の超重要システム「ブロックチェーン」/みらいのお金②

仮想通貨やブロックチェーンで、私たちの暮らしは何が変わるのか? 松田政策研究所代表である松田学著『いま知っておきたい「みらいのお金」の話』から、これからやってくる「仮想通貨」社会で上手にお金を稼ぎ、使うための知識をご紹介します(第2回)。

3分でざっくりわかるブロックチェーン

【マツダ先生】:仮想通貨とは何かを定義するために、技術的な特徴についても話していこうか。専門的な部分はなるべくはしょっていくよ。大切なのは「みらいのお金」とどう向き合うかを考えられるようになることだからね。まず、仮想通貨がスゴいっていうのは、もっと正確には「仮想通貨を実現するための技術がスゴい」という話なんだ。


【カナちゃん】:インターネットのことではなくて?


【マツダ先生】:それも前提として大事なものだね。だけど、最近になってビットコインをはじめとした仮想通貨が出てきたのは、「ブロックチェーン」という技術のおかげなんだ。聞いたことがあるかい?


【カナちゃん】:あ! 聞いたことあります! なんのことだかさっぱりですけど。


【マツダ先生】:ブロックチェーンは、いわゆるデータベースなんだ。しかも、改ざんが不可能な電子データと定義されている。もっとかみ砕いて言うと、いろんなことを記録して保管しておくためのデジタル台帳かな。日本語ではブロックチェーンを「分散型台帳技術」と訳したりする。


【カナちゃん】:台帳、と言われても、なんかうまくイメージできないなあ。


【マツダ先生】:カナちゃんも家計簿なら知っているだろう? いつ、誰に、いくら払って、何を買ったかを書いておくよね。そのデジタル版がネットワーク上にあるようなものだ。


【カナちゃん】:なるほど。でもそれが仮想通貨の発行とどう関係しているんですか?


【マツダ先生】:そこだね。なぜブロックチェーンがあれば仮想通貨を作れるのか。それは、ブロックチェーンが「ほぼ絶対に、記録が不正に書き換えられたり、なくなったり、盗まれてしまったりしない」台帳だからだ。家計簿が誰かに勝手に書き換えられたり、すぐ盗まれちゃったりしたら、困るよね?


【カナちゃん】:当たり前ですよ! スケジュール帳ならまだしも、 お金の管理はちゃんとしないと!


【マツダ先生】:そこなんだ。デジタルな通貨の構想自体は昔からあったけど、不正や間違いが絶対に起こらないようにする技術がなかった。そこに現れたのがブロックチェーンだ。


【カナちゃん】:たしかに、クレジットカードの会員情報が流出したとか、年金の記録が間違っていたとか、ニュースでも聞きますよね。そういう怖いことが起こらないなんてスゴいですね。でも、どうして? 今までのやり方と何が違うんですか?


【マツダ先生】:そのキーワードが「分散型」だ。


【カナちゃん】:分散型の何がポイントなんですか?


【マツダ先生】:どうして分散型の台帳システムが誕生したのか、順を追って説明していこう。そもそもデータベースというのは、常に最新情報に書き換えておかなければいけないものだから、普通は一つしかない。カナちゃんの家計簿が2冊あったら、混乱するよね?


【カナちゃん】:はい。どっちが新しいのかわかんないし、間違えちゃいそう。


【マツダ先生】:でも家計簿が一つしかなかったら、それをなくしたらおしまいだ。それはそれで怖くないかい?


【カナちゃん】:うーん、新しく書き込むたびに、コピーをとっておくとか。でもそれも面倒ですね。


【マツダ先生】:コピーがあればちょっとだけ安心だけど、大変だよね。それに、どんなにきちょうめんな人でも、うっかり忘れることがある。


【カナちゃん】:そうですね。私は自信ないです。


【マツダ先生】:コピーがもっと楽にできたらいいのに、というところで出てきたのがコンピュータだ。今は一般の家庭でも、パソコンを使って、ペーパーレスで記録を保管できるよね。こうして電子データで台帳がつけられるようになると、コピーが格段に楽になった。コンピュータにコピーを命令して別の場所に保存するだけでよくなったんだ。いわゆる「バックアップ」というやつだね。


【カナちゃん】:なるほど! 最近は自動でバックアップをとってくれるから安心です。うっかりデータを消しちゃっても、すぐ元通りにできますもんね。


【マツダ先生】:そうだよね。でも実は、技術的にはそれでも安心とは言えないんだ。カナちゃんは安心しているかもしれないけど、もしバックアップのデータに誤りがあったらどうする?


【カナちゃん】:そんなことを言ったらキリがないですよ! バックアップのバックアップの、そのまたバックアップがないとダメになっちゃうじゃないですか!


【マツダ先生】:まったくカナちゃんの言う通りだ。でも現実には、バックアップが行われる前に元のデータが損なわれたり、改ざんされたりする危険性はある。


【カナちゃん】:えー……そこまでいったら諦めますよ……。


【マツダ先生】:カナちゃんの家計簿だったらいいかもしれないけど、会社のお金とか、みんなのお金となると、そうはいかない。そこで考え出されたのが分散型だ。


【カナちゃん】:山ほどバックアップをとっておくってことですか?


【マツダ先生】:近いけど、ちょっと違う。分散型では、新しく書き込む時点で、同時に複数のデータベースに記録するんだ。カナちゃんがつけた家計簿をコピーするのではなくて、最初からいくつもの家計簿に、いっぺんに書き込むってこと。


【カナちゃん】:なるほど! って、そんなことできるんですか?


【マツダ先生】:もちろん人の手では不可能だ。だけどITが進歩して、遠く離れた場所にある複数のデータベースに同時に書き込むことが可能になった。ビットコインの場合、台帳を記録するサーバの数は1万台以上(Bitnodes調べ、2019年1月現在)あると言われている。個々のサーバーのことをノード(結節点)と呼ぶ。それぞれのサーバはもちろんインターネット回線を通じてつながっている。


【カナちゃん】:1万台! それだけ多く記録しているから、事故や間違いが起きないんですか。


【マツダ先生】:それがバックアップではなく分散型が安心なところだ。たとえば1台の記録が「B」になっていたとしても、他の9999台が「A」と記録していたら、どちらが正しい記録かは明らかだよね。


【カナちゃん】:Aが正しいですね。

【マツダ先生】:しかも、それらのサーバは、ビットコインが誕生してから現在までの約10年間の取引すべてを記録しているんだ。そして台帳自体へのハッキングは過去に一度もなされていない。


【カナちゃん】:ブロックチェーンのすごさが少しわかってきました。


【マツダ先生】:ブロックチェーンが画期的なのは、それだけじゃない。従来の台帳は、政府や銀行などの中央集権システムが厳重に保管しておくものだった。分散するにしても、結局は銀行や政府の中だけで管理していたわけだ。ところがブロックチェーンにおける台帳は、お互いにまったく無関係な人たちが、サーバを提供し合って「みんなで監視する」ことで成り立っているんだ。


【カナちゃん】:知らない人たちにバラまかれているなんて、ちょっと怖くないですか? すごく悪い人がその中にいるかもしれないですよ。


【マツダ先生】:その心配は無用なんだ。さっきも言ったように、何か悪いことをしてもすぐにバレる。たとえばきみがネットで何かを買って、1BTCを誰かに送るとしよう。このとき、大切なのはなんだと思う?


【カナちゃん】:私の送った1BTCが、お店にちゃんと渡されることです。


【マツダ先生】:そうだね。もしきみが悪い人だったら、その記録を改ざんするかもしれない。たとえば、「お店は1BTC増えた」としておきながら、「カナちゃんの1BTCは減っていない」ことにできるかもしれない。それができたら、別のお店に1BTCをもう一度払うことができてしまう。いわゆる「二重払い」というやつだ。


【カナちゃん】:タダで無限に買い物ができちゃいますね。


【マツダ先生】:そうだ。電子データである限り、いくらでも書き換えは可能だ。どんなに暗号などで守ろうとしても、いつかどこかでそれが破られて、いきなり何千億ものビットコインを持つハッカーが現れないとも限らない。


【カナちゃん】:でもそれってビットコインだけじゃなくて、Suicaとかの電子マネーにも同じ危険がありませんか? もし私がSuicaのデータを好き放題に変えられたら、いつでも無料でチャージできて、お金が使い放題になるってことですもんね。


【マツダ先生】:もちろん犯罪対策が施されているから、そんなに単純な話ではないだろうが、理論的にはそうだね。だからSuicaのチャージ金額の上限は2万円と少額に設定されている。


【カナちゃん】:1回で2万円が上限だとしても、何回も繰り返せば実質、無限ですよね。


【マツダ先生】:何回も繰り返しているうちに、お金の使い方が怪しいとバレてつかまるようになっているが、根本的な対策はできていない。では不正利用を根本から防ぐためにはどうすればいいか。簡単なのは、すべての取引履歴をずーっと記録して管理することだ。


【カナちゃん】:どうしてそれで不正がわかるのか、いまいち理解できないんですけど。


【マツダ先生】:じゃあ現金にたとえようか。カナちゃんの持っている千円札をマツダが受け取って、次にトシくんに渡す、という取引があったとするよね。この正当な履歴は一つしかない。ところがマツダが千円札をコピーして、トシくん以外にも渡していたら、どうだろう? 精巧にできたコピーだったら、受け取ったほうも気がつかないよね。


【カナちゃん】:私も気づかないと思います。そもそも、疑うことがないですし。


【マツダ先生】:だけど、取引履歴をカナちゃんのところまでさかのぼれば、どれが不正なコピーなのかがわかる。「カナちゃんからマツダが受け取った千円札」は世の中に1枚しかないんだから。


【カナちゃん】:なるほど。同じ見た目の千円札が複数あったとしても、不正なコピーは私から先生に渡したものじゃなくて、突然マツダ先生の手元に現れたようなものですよね。

【マツダ先生】:そういうこと。だからビットコインが受け渡されてきた履歴をシステム全体で把握していれば、そのお金が正当なものかそうでないかはすぐにわかる。出所不明の怪しいデータがもし発見されたら、使えなくしてしまえばいい。


【カナちゃん】:そう考えると、むしろ現金のほうが偽造しやすいかもしれませんね。千円札がどこからどこを渡ってきたのかなんて、どこにも記録されていないですもんね。ビットコインは、どうやってみんなの履歴を管理しているんですか。


【マツダ先生】:そこがブロックチェーンの肝だ。まず、きみがお店に1BTCを送ったという情報が、1万台以上あるノードの一つに知らされる。このノードが、また別のノードに同じ情報を伝える。こうして順番に情報が伝達されて、最終的に1万台以上のノードがすべて、その事実を確認する。

【カナちゃん】:なるほど。でも、通信のエラーみたいなことって絶対にないんですか? それにお店の人が悪い人で、「2BTCを受け取った」ってウソの情報を流したらどうなるんですか?


【マツダ先生】:さっき言った通り、ノードの1台が2BTCと記録していても、残りのノードが1BTCと記録していれば、1BTCのほうがたしかということになる。


【カナちゃん】:あ、そうか。でもそれって多数決ってことですよね。ノードの人たちが協力し合ったら、どんなウソでも「正しい」ってことになるんじゃ?


【マツダ先生】:そこで「ブロック」が必要になってくる。ビットコインのブロックチェーン上には、毎分、何百件もの送金記録が流れている。これを1000件くらい集めて混ぜてひとかたまりの暗号化したブロックにするんだ。新しいブロックは10分ごとに作られるんだけど、その間に、取引内容が正しいかどうかを各ノードが確認している。そのわずか10分の間に、過半数を超える5000台以上のノードの記録をすべて改変するのは事実上不可能に近いだろう。


【カナちゃん】:あとからブロックの中身を書き換えられることはないんですか?


【マツダ先生】:大丈夫。それを防ぐ仕組みが「チェーン」にある。ブロックチェーンに作られた各ブロックは、1本の鎖(チェーン)のようにつながっている。そして新しいブロックの中には、前のブロックの取引内容を簡単にまとめた情報(ハッシュ)も含まれる。だからチェーンの途中のブロックを書き換えると前後のブロックの内容と一致しなくなってしまうんだ。

【カナちゃん】:つじつまが合うように書き換えようとしたら、そのあとの全部のブロックを書き換えないといけないんですね。10年分の記録なんて、とても書き換えられないわけだ。


【マツダ先生】:とはいえ、注意しないといけないこともある。改ざんが難しいのは、ビットコインのように大規模なチェーンだからだ。発行されたばかりの通貨などは、過半数のノードのデータをコントロールされてしまう危険がある。1万台のうちの5000台は無理でも、100台のうちの50台なら、できるかもしれないよね。というか実際に、過半数を押さえられて不正に盗まれたりした仮想通貨の例がいくつか報告されている。これらを「51%攻撃」とか言うんだけどね。

松田 学

カテゴリ:マネーテク
【著者紹介】松田 学(まつだ・まなぶ)
松田政策研究所代表、バサルト株式会社社長、社団法人ドローンシティ協会理事長などを務める。2018年まで、東京大学大学院客員教授としてサイバーセキュリティの研究に従事。ブロックチェーンなどの情報技術や暗号通貨を活用した新しい日本の社会を構想し、様々な立場で情報発信や政策提言活動を展開している。
■Twitter:@matsudamanabu

【書籍紹介】『いま知っておきたい「みらいのお金」の話』(アスコム)

あなたへのオススメ記事

  • 仮想通貨が盗まれた! 絶対安全なはずの仕組みが破られたのはなぜ?/みらいのお金⑤
  • 仮想通貨の運営に協力すると報酬がもらえる!「マイニング」とは?/みらいのお金④
  • 取引履歴が誰でも見られる!「仮想通貨」は安心して使えるクリーンなお金/みらいのお金③
  • 「仮想通貨」と「電子マネー」の違い、説明できる? ポイントは「暗号化」/みらいのお金①
  • 「電験三種」ってどんな資格? 仕事内容・試験概要・合格率・攻略法を徹底解説!

    「電験三種」ってどんな資格? 仕事内容・試験概要・合格率・攻略法を徹底解説!

  • 言われてみると…どっちがどっち?? 違いがわかる雑学クイズ

    言われてみると…どっちがどっち?? 違いがわかる雑学クイズ

  • あの英語にそんな意味が! 色・天気の英語雑学クイズ

    あの英語にそんな意味が! 色・天気の英語雑学クイズ

  • そうだったのか! 知って驚く 人体にまつわる雑学クイズ

    そうだったのか! 知って驚く 人体にまつわる雑学クイズ

  • パパ、ママ、すごい!って言われる 子どもに話したくなる雑学クイズ

    パパ、ママ、すごい!って言われる 子どもに話したくなる雑学クイズ

  • オンライン英会話と英会話スクール、比較するとどっちがおすすめ?

    オンライン英会話と英会話スクール、比較するとどっちがおすすめ?

マネーテクの人気記事ランキング

  • ビジネスジェットも貸し切れる! マイルを貯めるとできる贅沢とは

  • こんなにあった! 新幹線に安くのる9つの方法/節約ハック大百科③

  • 給料から何でこんなに毎月引かれるの?/給料のカラクリ①

  • 独身だと手取りがずいぶん減るって聞いたんだけど?/給料のカラクリ③

  • 年金を払うのをやめることはできないの?/給料のカラクリ⑦

{ カテゴリ別ランキングを見る }

ページトップに戻る