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取引履歴が誰でも見られる!「仮想通貨」は安心して使えるクリーンなお金/みらいのお金③

仮想通貨やブロックチェーンで、私たちの暮らしは何が変わるのか? 松田政策研究所代表である松田学著『いま知っておきたい「みらいのお金」の話』から、これからやってくる「仮想通貨」社会で上手にお金を稼ぎ、使うための知識をご紹介します(第3回)。

取引履歴が全世界に丸見え

【マツダ先生】:ブロックチェーンは、理論的にはとても優れた技術だけれども、まだまだ運用の面で課題があることもたしかだ。ただ、私が本当に革命的だと思うのは、「みんなで管理しよう」という設計思想のほうだ。


【カナちゃん】:分散型っていうことですか?


【マツダ先生】:それも含めて、すべての記録を公開していることだ。ビットコインは取引が全部記録されていると話したけど、その履歴は誰でも見ることができる。


【カナちゃん】:取引した人だけじゃなくて?


【マツダ先生】:そうだよ。まったくの第三者でも見られる。ビットコインの取引を専門用語では「トランザクション」と言うんだけど、トランザクションを閲覧できるウェブサイトが公開されているんだ。どんどん履歴が更新されていくから、ビットコインが流通している様子がよくわかるよ。


【カナちゃん】:でも、自分の買い物の履歴とか値段が公開されたら、私はちょっと嫌だな。


【マツダ先生】:普通はお金のやりとりというのは、あまり人に知られたくないよね。安心していいよ。個人情報までは公開されていないから。


【カナちゃん】:すごい技術者みたいな人が調べたらバレたりしない?


【マツダ先生】:ビットコインの取引をする場合、「ビットコインアドレス」というものが発行される。アカウントみたいなものと思えばいいかな。そのアドレスは、名前や住所や連絡先など入力せずに手に入る。つまりビットコインのブロックチェーンには、ユーザーの個人情報はそもそも一切含まれていないわけ。公開されているのは、あくまでもビットコインが移動した履歴なんだ。


【カナちゃん】:名前や住所を登録しなくても使えるってことですね。それなら安心かな。


【マツダ先生】:話を戻そう。こうしてみんなが自由に使うことができて、履歴もみんなで見ることができるところが、ビットコインのオープンな考え方をよく表している。仮想通貨は「非中央集権型」の仕組みだね。


【カナちゃん】:はい。反対に、法定通貨が「中央集権型」です。


【マツダ先生】:中央集権というのは権力が一極に集中することだ。政府がしっかりと国を管理統制しようとすれば、当然、権力が強くなる。もちろん、多くの国々が民主主義なので、独裁政治のようにはならない。でも、よく考えてみると、民主主義で実際に国民が政治や政府に対してできるのは選挙で投票することくらいだ。


【カナちゃん】:選挙で選んでいるんだから、公平なのかなとは思うんですけど。


【マツダ先生】:国民の意思が選挙で示され、政府を監視できるという建前なんだが、実は、ここに大きな限界があるんだ。民主主義は要するに多数決で物事を決める仕組みなんだけど、裏を返せば、少数派には諦めてもらう仕組みだ。乱暴な言い方だけど、多数派の意見だけが国民に押し付けられてしまうとも言える。


【カナちゃん】:そう言われれば、そうですね。でも全員の思うようにはできないので、仕方ないような気もします。


【マツダ先生】:その限界を、情報技術の力で突破できる可能性を秘めているのが、まさにブロックチェーンであり、仮想通貨なんだ。SNSを見ればわかるように、今は個人が組織や国の垣根を越えてつながり、情報を交換して、多様な価値観を持つようになっている。たとえ少数でも多様な意見があり、多数決で一律には決められない世の中だ。「多数決の横暴」という言葉だってある。


【カナちゃん】:たしかに。たとえば全国民で多数決をとったら少数支持の歌手は廃業だとしても、一部のファンがいるのだとしたら、「残念だけど我慢してね」というのも、なんか違う気がします。


【マツダ先生】:そういう時代になったからには、社会全体が次のステップに進む必要があると思うよ。中央集権型の仕組みの他に、もう一つ、一人ひとりが自由に価値を追求できるような、分散型で分権型の仕組みも用意されているべきだ。


【カナちゃん】:役割分担のようなことですか?


【マツダ先生】:そうだね。政府が中央集権の仕組みでやるべきことはたくさんある。たとえば、国民の安全を守ること。防衛とか防災とか治安の維持とかがそうだ。仮想通貨との関係でいえば、サイバー攻撃から国民を守ることも国の役割だ。日本の場合、そういった、本来は国が担うべき大事な機能を政府が十分に果たしていないのではないかという議論がある。その点は、民主主義の監視のもとで国の機能を強くすればいい。

でも、私たちの日常生活とか経済活動なんかは、国民がもっと創意工夫して、自分のやりたいことを自分で決めていく自由な仕組みに任せたほうが、多様な価値が生まれて国全体が豊かになるはずだ。「みらいのお金」というのは、そうした分散型の仕組みを支えるものなんだ。


【カナちゃん】:なんとなくわかります。もっと自由に伸び伸びと好きなことができる世の中になるっていうことですよね。何もかも中央集権だと、偉い人がこっそり悪いことをして、もみ消しちゃうっていうこともあるんじゃないですか。


【マツダ先生】:その面はしっかりと監視しなくてはならないけれど、全部を一人に任せてしまえば、その人の悪いところを誰も監視できないということはある。私が家の収入から支出まで全部一人で管理していたら、いくら収入があって、何にいくら使ったのかをどうとでもごまかせる。家族にはマツダ家のトランザクションがまったく公開されていないので、絶対にバレない。


【カナちゃん】:それでいて家族には「食費は月3万円までだ」とかルールを決めるんでしょ? とんでもない人ですね。見損ないました。


【マツダ先生】:いや、その……たとえ話なんだけどね……。でもまあ、そういうことは会社などでもありがちな話だ。とはいえ、無法地帯のままでは社会は成り立たないから、基本的には民主主義に沿う形で中央集権化してきたわけだ。


【カナちゃん】:仮想通貨というか、ブロックチェーンはそれとは真逆ですけど、管理者がいなくても無法地帯にはならないんですか?


【マツダ先生】:それは、瞬時に世界中で情報共有ができるITのなせる業だね。高速通信や大容量の記録媒体がなければ、ブロックチェーンは機能しないからね。そんな技術を使って、みんなが平等の権限を持ち、みんなで監視し合って、それぞれの価値を追求しようというのが「みらいのお金」の発想なんだよ。

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ブロックチェーンは正直者のシステム

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カテゴリ:マネーテク

【著者紹介】松田 学(まつだ・まなぶ)
松田政策研究所代表、バサルト株式会社社長、社団法人ドローンシティ協会理事長などを務める。2018年まで、東京大学大学院客員教授としてサイバーセキュリティの研究に従事。ブロックチェーンなどの情報技術や暗号通貨を活用した新しい日本の社会を構想し、様々な立場で情報発信や政策提言活動を展開している。
■Twitter:@matsudamanabu

【書籍紹介】『いま知っておきたい「みらいのお金」の話』(アスコム)

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