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仮想通貨の運営に協力すると報酬がもらえる!「マイニング」とは?/みらいのお金④

仮想通貨やブロックチェーンで、私たちの暮らしは何が変わるのか? 松田政策研究所代表である松田学著『いま知っておきたい「みらいのお金」の話』から、これからやってくる「仮想通貨」社会で上手にお金を稼ぎ、使うための知識をご紹介します(第4回)。

「ノード」が一斉にいなくなったらどうするの?

【カナちゃん】:ビットコインのシステムにサーバを提供しているのは、一般の個人や企業で、参加は自由なんですよね? それだと、やりたい人が集まらなかったり、急に減っちゃったりしないんですか?


【マツダ先生】:いい質問だね。たしかに、できたばかりの仮想通貨は、システムの維持運営に参加する人が少ない。だけど、なにもすべての仮想通貨が自前のブロックチェーンシステムを新たに作る必要はないんだ。実際、新しい仮想通貨のほとんどは、既存のブロックチェーンシステムを使って作られる。つまり、すでにたくさんの参加者で成り立っているシステムを一緒に使うってことだ。


【カナちゃん】:それでも、みんなが急に「やめた!」となる可能性はあるんじゃないですか?


【マツダ先生】:たしかにそうだね。それに対する回答の一つは、すべてを自由参加にする必要もないということだ。ビットコインは完全にオープンで特定の管理者もいないけど、これから通貨を発行する組織は、システムの維持運営のために一定数のサーバ用マシンを提供することもできる。


【カナちゃん】:それでも、悪い人たちが、全体の過半数を占める多数のマシンを用意して参加したら、システムを乗っ取ることができませんか?


【マツダ先生】:誰もが参加できる仕組みになっているなら、たしかにそうだ。だから、将来的には、参加資格を制限したり一定の審査を実施したりすることも検討されている。

ビットコインはパブリック精神やオープンさを売りにしているが、すべての仮想通貨がビットコインをまねる必要はない。「リップル」という仮想通貨のように、参加するためには開発会社の承認を必要とするクローズド(閉鎖的)なシステムも出てきている。

将来の仮想通貨は、ビットコインほどの独立性はないけれども、ほどほどの管理者が責任を負う形になるかもしれない。中央集権型と分散型との中間みたいなものだね。

ネットで金の採掘?

【カナちゃん】:ブロックチェーンのシステムに参加する人を管理することも、ある程度まではできるんですね。それでもたくさんの人を集めるのは難しいんじゃないかなあ。ボランティアみたいなものじゃないですか。


【マツダ先生】:たしかに、何も見返りがないのに参加する人は少ないかもしれないね。ただ、仮想通貨のシステムの監視に参加するのは、無償ではないんだ。参加すれば必ず利益が得られるわけではないけど、場合によっては大金が得られる。だから、参加を希望する人は少なくない。


【カナちゃん】:報酬が出るんですか? そのお金はどこから出るんですか?


【マツダ先生】:ビットコインの送金には、わずかとはいえ取引手数料がかかる。まずこの取引手数料が、ブロックを作った人に対して支払われる。それだけじゃない。ビットコインは総量規制が厳しく実施されているが、経済活動が広がれば流通する金額も増やさざるを得ない。

実は、ブロックが作られるたびに、そのブロックを作った人に対して、新しくビットコインが発行されるんだ。そのため、ビットコインの総量は毎日わずかずつ増え続けている。もちろん無限に増え続けると価値が下がってしまうから、発行金額の上限は2100万BTCとあらかじめ決められている。この上限設定はプログラムの中に書き込まれている、誰もが信用できる情報だ。


【カナちゃん】:なるほど。ビットコインのノードが1万台以上もあるのは、そういう理由もあるんですね。


【マツダ先生】:お金だけではないが、何もメリットがなければ人は集まらないよ。ビットコインシステムの維持に参加すると、新しいビットコインを発行してもらえる。この作業は採掘という意味で「マイニング」と呼ばれている。地面から新しい金を掘りだす金の採掘にたとえているわけだ。実際に「採掘」しているのはコンピュータで、その作業の中身も、適合する解を探して延々と計算しているだけなんだけどね。


【カナちゃん】:ふーん。コンピュータに作業させて、金を見つけるわけか。じゃあ、さっき「参加すれば必ず利益が得られるわけではない」と言ったのはなぜですか?


【マツダ先生】:ブロックの生成は競争方式になっていて、適合するブロックを最も早く作れたマシンだけに報酬が与えられる。だから、あまり処理速度の速くないノートパソコンで片手間に参加しても、とても報酬は得られないだろうね。


【カナちゃん】:それじゃあ、結局、お金の力でよりよい設備を揃えられた人ばかり、いつも報酬を奪っていくことになるじゃないですか。


【マツダ先生】:コンピュータのパワーがあれば、それだけで早くブロックを作れるわけじゃない。適合するブロックを作れるかどうかには運も大きくかかわっている。だから、常に同じ組織が報酬を奪っていく結果にはなっていない。新しいブロックの生成は10分ごとに行われるから、チャンスは広く平等に分け与えられているんだ。


【カナちゃん】:でも、ノートパソコンでは無理だって言ったじゃないですか。


【マツダ先生】:ビットコインくらいに有名になって、数多くのライバルがいるとそうなる。専用のマシンを何台も用意して、マイニングのためだけに会社を作って取り組む人もたくさんいるからね。しかし、新しい仮想通貨であればライバルも少ないし、チャンスはあるんじゃないかな。


【カナちゃん】:マイニングのためにそこまでするんですか?


【マツダ先生】:それだけ投資するメリットがあると考えられているんだ。2017年にビットコインの価格が暴騰したのを覚えているかな? 報酬はビットコインで支払われるから、価格の暴騰で大儲けしたマイナー(マイニングをする人)がたくさん現れたんだ。それを見て、自分もマイニングに参加しようとする人が増えた。19世紀のゴールドラッシュのようなことが、21世紀の仮想通貨でも起きたんだ。


【カナちゃん】:たしかにビットコイン価格は暴騰したけど、そのあと暴落もしましたよね。


【マツダ先生】:そうだね。それでも、暴騰前の価格と比べればずいぶん高くなっているし、今後も上昇すると期待する人が多ければ、管理に参加する人の数は減らないだろう。それに、そもそもお金目当てじゃなくて、ビットコインの思想や理念に共感して参加している人だっている。

【カナちゃん】:そうかあ。報酬を出して競わせる仕組みにすることで、放っておいても維持運営が続けられるシステムを考えたってわけか。すごくよくできていますね。


【マツダ先生】:そうだね。既存の技術を上手に組み合わせて、記録の改ざんができず、しかも自律的に動き続けるシステムを作ったのだから、世界中の技術者が驚き、賞賛した。非中央集権的な仮想通貨の構想は、実はビットコインが誕生するずっと前からあったのに、誰も作れなかったんだ。多くの学者が案を発表していたけれども、いずれも机上の構想や研究論文の域を出なかった。

そこに彗星(すいせい)のごとく現れたブロックチェーンとビットコインだけが、現実社会に根付くことができたんだ。ちなみに、そのビットコインの生みの親が、サトシ・ナカモトという日本人ではないか、と言われている。


【カナちゃん】:え? ちょっとうれしいことですね。


【マツダ先生】:そうだね。でも、サトシ・ナカモトが本当に日本人であるかどうかの確証はない。彼の論文もメールもすべて英語で書かれているし、途中で「私の役目は終わった」と行方をくらましてしまった。今も消息不明だ。世界中のメディアが正体を探ろうとしても見つからないから、偽名だったと考えられている。陰謀論が好きな人は、サトシ・ナカモトはどこかの組織が生み出した架空の人物だと考えている。


【カナちゃん】:なんだかミステリアスでロマンがありますね!


【マツダ先生】:そうだね。ビットコインにはロマンがある。ロマンもビットコインの成功要因の一つだ。中でも最も大きなロマンが、国家とは独立した通貨という点だ。法定通貨は、国家の信用を裏付けとしているから、国家が存在する限り、半永久的に価値を持ち続ける。だから国家その他の団体をバックに持たないビットコインは信用できないという人が多い。

だが、逆に考えてみよう。信用を担保する国家等の団体が介在しないことによって、ビットコインは国家から独立した価値を持つことが可能になった。たとえば、仮に日本が破綻して日本円の価値が暴落したとしても、日本国と無関係であるビットコインの価値は下がらない。国家が破綻したりデフォルト(債務不履行)を起こしたりすれば法定通貨の価値は暴落し国民は財産を失ってしまうが、ビットコイン建ての資産は、仮に世界革命が起きてあらゆる既存の国家や団体がなくなっても、独立した価値を保ち続けることができる。

松田 学

カテゴリ:マネーテク
【著者紹介】松田 学(まつだ・まなぶ)
松田政策研究所代表、バサルト株式会社社長、社団法人ドローンシティ協会理事長などを務める。2018年まで、東京大学大学院客員教授としてサイバーセキュリティの研究に従事。ブロックチェーンなどの情報技術や暗号通貨を活用した新しい日本の社会を構想し、様々な立場で情報発信や政策提言活動を展開している。
■Twitter:@matsudamanabu

【書籍紹介】『いま知っておきたい「みらいのお金」の話』(アスコム)

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