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多くのMBA受験生が苦労する「GMAT」って? MBA志望者が知っておきたい基礎知識/川尻秀道

多くのMBA受験生が苦労する「GMAT」と呼ばれる試験は、じつは単なる点数を競うものではありません。受験者が知っておきたいGMATスコアの考え方について、川尻秀道さんが解説します。

海外MBAの出願についてリサーチをしている人であれば、GMAT(Graduate Management Admission Test)と呼ばれる試験の存在を知っているかと思います。そして、多くのMBA受験生がこの試験で苦労しているという話もきっとよく聞いていることでしょう。

そこで今回は、GMATという試験についてMBA志望者が知っておきたい基本知識をお伝えいたします。

GMATとは

GMATとは、非営利団体のGMAC(Graduate Management Admission Council)が提供している試験で、受験者の分析的思考力、言語読み書き能力、数学的能力を測定しています。

試験は英語で行なわれ、英語ネイティブ、非ネイティブにかかわらず、ビジネススクールのMBAプログラムに出願する多くの受験生がこの試験を受験することになります。

スコアは800満点で、トップスクール合格者の平均スコアは600点代後半から700点台になることが多いといわれています。

受験回数は12ヶ月で5回まで、一生涯で8回までと限られていますので、受験生は計画的に受験するタイミングを考えていかなければなりません。

GMATはどの程度重要なのか

GMATは、日本の大学受験のセンター試験や偏差値と同じように「数値」で結果が出ますので、MBA出願に必要なその他の項目(たとえば、エッセイやインタビューなど)に比べて他人との比較が容易です。

そのため、スコアが550点しかないから不合格になる、とか、700点あるから合格できる、などまるで「GMAT=MBA入学試験」のように誤解してしまう人も多いですが、それは正しくありません。同じスクールに出願をしても550点で合格する人もいれば、700点でも不合格になる人もいます。

その理由は、ビジネススクールのMBAプログラムへの合格・不合格は、GMATだけではなく、CV(英文履歴書)、エッセイ、インタビュー、推薦状、GPA(大学時代の成績)、英語力などで総合的に決定されるからです。

別の言い方をすれば、ビジネススクールは偏差値が高い学生を求めているのではなく、将来ビジネスパーソンとして成功する可能性の高い学生を求めているということです。

日本の大学受験のように試験のスコアが高ければ合格できるものではなく、どちらかというと、就職試験に近いかもしれませんね。

GMATが効果を発揮するとき

ここではあえて名前を伏せますが、某トップスクールの入学審査官が私にこっそりと教えてくれたことがあります。

それは「5年間に渡る調査で、『MBA学生の入学時のGMATスコア』と『卒業後のキャリアの成功度(年収、役職など)』に相関関係が見られない結果が出た」というものでした。その結果を受けて、そのスクールではGMATスコアの重要度を低く設定している、ということを教えてくれました。

このスクールにかぎらず、私がコンタクトと取っている世界各国の多くのビジネススクールでもGMATは重要視していない、という声もよく聞きます。

それでは、GMATスコアはどのような時にその効果を発揮するのでしょうか。私の経験上、以下のふたつのときに顕著です。

(1)実務経験年数が少ないとき
MBA出願には、最低2年から3年ほどの実務経験年数が求められます。しかしながら、MBAはビジネスリーダーを養成するプログラムであるため、社会人経験が長ければ長いほどクラスにも貢献ができるとも考えられ、出願にも有利になることがあります。

フルタイムMBA課程の合格者の平均実務経験年数は6年から7年ほどであることが多く、実務経験年数がスクールが定める年数ギリギリだったりすると、やはり出願には不利になることも否定できません。そんなときにGMATで他の出願者よりも高いスコアを取っていれば、短い実務経験年数をカバーでき、合格する確率も上がる可能性があります。

(2)スカラーシップを獲得するとき
多くのビジネススクールでは、優秀な学生には返済不要のスカラーシップ制度を用意しており、それぞれスクールの基準によって学費の何パーセントかがスカラーシップとして付与されます。

「優秀な学生」の定義はスクールによって様々ですが、スカラーシップに関しては、私がヒアリングした多くのスクールでは、どうやらGMATスコアが大きな比重を占めているようです。

GMAT受験が不要な場合

MBA出願にはGMAT受験が必須というイメージを持っていらっしゃる方も多いかもしれませんが、決してそんなことはありません。スクールによってはGMAT受験が免除になったり、そもそもGMAT受験を不要としているスクールも多くあります。

GMATが免除になるケースとして考えられるのは、「実務経験が10年以上ある」「修士号を取得している」などです。これらの情報はスクール側で公にしていないケースがほとんどですので、個別に問い合わせて確認する必要があります。

GMATが出願要項としてもともと設定されていないスクールは、特にイギリスとオーストラリアのビジネススクールには多い傾向があります。

ただし、このようなスクールは決して出願がラクになるというわけではなく、そのぶん「CV、エッセイ、インタビューへの比重が高い」ということの裏返しであるため、これらの準備にはより入念に取り組む必要があると言えるでしょう。

「GMAT=MBA入学試験」ではない

以上から私が強調したいのは、「GMAT=MBA入学試験」ではないということです。

GMATはスコアという分かりやすい形で結果が出るため、どうしても数字に目が行きがちですが、MBAプログラムの合格・不合格は、CV、エッセイ、インタビュー、推薦状、GPA、英語力などから総合的に判定されることを知っておきましょう。

川尻 秀道

カテゴリ:資格取得
【著者紹介】川尻 秀道(かわじり・ひでみち)
MBA Lounge 代表。
1978年1月生まれ。静岡県出身。少年時代は、勉強「普通」、スポーツ「普通」、顔「普通」。三拍子そろった普通の少年。あまりの「普通」の人生に危機感を感じ、人生最大のリスクを背負って2007年8月よりMBA国際認証トリプルクラウン校であるクイーンズランド工科大学(オーストラリア)のQUT Business SchoolへMBA留学。現在はMBA Loungeを運営。MBAでの経験、海外勤務や海外事業での経験から学んだ事を惜しみなくシェアし、クライアント様が第二のキャリアとして世界で活躍して頂くことに最高の喜びを感じる。

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