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日本人がMBA留学する際につい失敗してしまう2つの落とし穴/川尻秀道

日本人MBA留学生が苦労するのは英語ですが、実は英語以外にも、日本人がつい失敗してしまう落とし穴があります。今回はMBA留学情報サイト「MBALounge」を運営する川尻秀道さんが解説します。

日本人MBA留学生に「MBAで大変なことは?」と質問すると、口を揃えて「現地の英語についていくことが大変だ」と答えます。確かに、多くの留学生が英語で苦労するのはうなずけることです。

では、英語の問題さえクリアできれば大丈夫なのでしょうか? もちろんそんなことはありません。実は英語以外にも、日本人MBA留学生が失敗しがちなポイントがあるのです。

そこで今回は、日本人MBA留学生が“英語以外”で失敗してしまう2つの落とし穴をご紹介します。

1. ストレートに意見を言いすぎて失敗する

きっと多くの人が、どこかしらでこんな言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。

「NOと言えない日本人」
「日本人はハッキリとモノを言わない」
「日本人は自分の意見を主張しない」

確かに政治やビジネスの場では、現在でもこのような傾向が見られます。

しかしながら、個人レベルでは最近、これと違う傾向が出てきているように思います。

つまり「日本人は意見をハッキリと言わない」「欧米人はストレートに意見を言う」ということが頭に中に入りすぎていて、逆にストレートに意見を言いすぎてしまう人が見受けられるのです。

もちろん、ストレートに意見を言うことは大切です。それがなければ海外でビジネスなんてできません。問題は、空気が読めないほど「ストレート過ぎる」ことなんです。

受け手側にしてみれば、ストレート過ぎるが故に相手の意見を尊重したり理解しようとしたりせずに、ただ単に自分の意見を一方的に投げつけているような印象を持ちます。そうすることで、MBAのグループワークなどで、クラスメートとの関係がギクシャクしてしまうことがあります。結果、クラスメートとの関係を悪化させてしまう人がいるということです。

欧米人は意見をストレートに言うとされますが、私自身のもつ約15年におよぶ欧米人とのビジネス経験から言うと、決してそんなことはありません。

欧米人であろうと、スマートなビジネスパーソンは実に相手のことを考え、傷つかない形で相手に伝えます。そして、相手の意見を理解しようと一生懸命コミュニケーションを取ろうと努めます。

「ストレートに意見を言う」というのは、自分の意見を一方的に相手に投げつけることではありません。コミュニケーションの上手い人は、自分の意見を確実に、場合によってはとても遠回しに相手に伝えたうえで、そこから自分の意見と相手の意見とのギャップを埋める作業に入ります。

様々な国籍や文化、バックグランドの学生が集まるMBAプログラムのグループワークなどでは、相手の意見を理解し尊重した上で、自分の意見もハッキリと伝える、ということが大切です。

2. 教科書の内容を暗記しようとする

大学までずっと日本の教育を受けてきた人たちの中には、学校の中間試験、期末試験が近づくと教科書の内容をひたすら暗記した経験がある人も多いのではないでしょうか。

日本の教育では、偏差値はどれだけ教科書の内容を暗記できたかによる場合は多いです。

しかし、海外MBAではその発想は180度変える必要があります。

実はMBAにおいては、教科書に書いている内容を理解しているだけでは最低評価を受け、場合によっては落第してしまうということです。暗記主義の日本人にとっては、驚くべき事実です。

これは私のMBA留学時代の実体験ですが、MBAプログラムを開始した最初の学期のことです。

科目は「Entrepreneurship(起業精神論)」の期末試験。教科書、文献、ノートなどすべて持ち込み可のOpen Book試験でした。まだMBAが始まって最初の学期で勝手がわかっていなかった私は、「試験で教科書を持ち込んでいいなら、楽勝じゃん」と思っていました。

試験の問題は、ある技術をどのように商品化するべきか、というような問題だったと思います。これについて持ち込んだ教科書や文献などを見ながら、2時間ひたすら論文形式で書き続けるというようなものでした。

試験が始まると、私はさっそく教科書や文献に書いてある理論・プロセスをそのまま答案用紙に書いていき、2時間後に試験は終了しました。

「教科書でハッキリと書いてある内容なので間違っている訳がない、もしかしたら、最高グレードの7をもらえるんじゃないか」と考えていました。

Essayの審査が終わり、結果をみたらびっくり! 3のグレードでFail(不可)となりました。単位すらもらえなかったのです。

すぐに担当教授にアポを取り「なぜFailなのか」と抗議をしに行きました。

理由は「自分の書いた提案についてなぜそう思うのか?」という自分の考えが、しっかりと書かれていなかったからとのこと。

担当教授にこう言われました。

「教科書に書いてあることを、わざわざ君から聞く必要はない。君の考えが知りたいんだ」

MBAでは、まず「自分の考え」を持つところからスタートします。要は仮説です。そして、それが正しいことを講義で習った理論を使って論理的に証明していくんです。

MBA試験では、とにかく「自分の考え」を打ち出して「なぜそう思うのか」を論理的に説明しなければならなかったのです。正しい、正しくない、ではなく、自分の考えを論理的に伝えるべき、ということでした。


「異文化間コミュニケーション力」と「自分の意見に根拠をもつこと」が必要

MBA留学はとてもハードですが、その理由が「すべて英語で授業を受けるから」だけではないということが、おわかりいただけましたでしょうか?

必要なのは、自分の意見をハッキリと示しつつ、多国籍のクラスメートと上手く協働する異文化間コミュニケーション力と、自分の意見への根拠です。

英語が堪能であっても、ビジネス科目に高い専門性を持っていても、この2つが欠落している以上、決してMBA留学を成功させることはできないのです。


川尻 秀道

カテゴリ:資格取得

【著者紹介】川尻 秀道(かわじり・ひでみち)
MBA Lounge 代表。
1978年1月生まれ。静岡県出身。少年時代は、勉強「普通」、スポーツ「普通」、顔「普通」。三拍子そろった普通の少年。あまりの「普通」の人生に危機感を感じ、人生最大のリスクを背負って2007年8月よりMBA国際認証トリプルクラウン校であるクイーンズランド工科大学(オーストラリア)のQUT Business SchoolへMBA留学。現在はMBA Loungeを運営。MBAでの経験、海外勤務や海外事業での経験から学んだ事を惜しみなくシェアし、クライアント様が第二のキャリアとして世界で活躍して頂くことに最高の喜びを感じる。

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