資格取得

ダライ・ラマ14世は優秀な経営者!?【MBAケーススタディ】/川尻秀道

MBAにおけるケーススタディでは、実在の誰かに成り代わって意思決定をシミュレーションすることができます。今回は「MBA Lounge」の川尻 秀道さんが『ダライ・ラマ自伝』をもとに、経営に生かせる考え方を紹介します。

「ケーススタディ」は、MBA学生にとって重要なワークの一つです。

ケーススタディを通じて、実際の企業や経営者はどのような意思決定をするのか、何をするべきなのか、をクラスメートとシミュレーションするいい機会です。

今回はこうしたケーススタディの一例として、ノーベル平和賞受賞者でチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世法王から学ぶ、経営の基礎をご紹介します。

【企業分析】ライバル企業を観察する

「仮想敵は友人より価値がある。」
(『ダライ・ラマ自伝』ダライ・ラマ14世著、山際素男訳、p.137)

ダライ・ラマ法王にとっての敵とは、チベットへの迫害を続ける中国ですが、その中国との政治的なやり取りを通じて、自制心など友人が教えてくれないことを教えてくれる、という仏陀の教えを彼は強く信じていると言います。

ビジネスの世界では、自社の戦略を策定する際、市場における競合他社分析することは必須です。

競合他社の戦略をベンチマークとして、そこからどのような差別化を図っていくのかを考えるきっかけになるからです。

また、競合他社が仕掛けてくる戦略によっては、自社が大きなダメージを受けることがあります。

困難な状況になればなるほど、自社の市場でのポジションや強み、弱みを知ることができ、それをヒントとして新たなイノベーションを起こすこともあるでしょう。

友人からよりもライバルから学ぶことのほうが多いというのも納得です。

【マーケティング】顧客の声に耳を傾ける

「人々に会うときは、いつもその人々に何が出来るかを知ろうとし、その人たちから何かを学ぼうと心がけてきた。」
(同書p.293)

政治的な意思決定をする際、ダライ・ラマ法王は常に民衆の声を反映させるよう心がけています。

しかしながら、チベットの最高指導者が堂々と街中を歩き回るわけにもいかず、彼はこっそりと宮殿を抜け出してはダライ・ラマの召使と名乗り、民衆と会話をしていたそうです。

マーケティングでは、顧客の声に耳を傾けるのは基本中の基本です。それらの声を的確に掴むために、まず市場調査を実践するノウハウが必要になります。

次に、その結果をマーケティング戦略に反映をさせるスキルが必要になります。優れた戦略は、常に顧客の声から始まっているのです。

【人事戦略】人の適性を見極める

「私はいつも重要な部署の人選は性別によらず、その人物の能力と適性によって決めるべきだ、と人々に言い聞かせた。」
(同書p.241)

ダライ・ラマ法王は、中国からの弾圧を受けながらもチベットがあるべき姿でいるために、チベット政治の体制整備にも尽力してきました。その中で法王が重要視してきたのは、適材適所の人事戦略です。

組織が小さいうちは、どの経営者も売り上げやシェアを伸ばすためにマーケティングに注力しますが、規模が大きくなればなるほど、人の配置や権力の付与、報酬制度などの人事戦略がより重要になってきます。

適所に配置されなかった一人の社員が、間違った行動をひとつとるだけで、今まで作り上げてきた企業の資産や名誉を失ってしまうことも十分にありえます。経営者の人を見る目は、企業を成功させるうえでとても重要な要素です。

【リーダーシップ】組織に最適なリーダーシップをとる

1970年代、チベット独立回復のために、チベットゲリラ軍が中国軍との戦いを繰り返していました。

この戦いに対して、ダライ・ラマ法王はゲリラたちの決意の固さを賞賛してはいましたが、暴力が伴う彼らの行動自体を是認していたわけではありませんでした。

「わたしが彼らに訴えかけられる唯一の方法は、個人的にアピールするよりなかった。」
(同書p.298)

ダライ・ラマ法王は、チベットゲリラ軍に向けて肉声で伝えたメッセージをテープに撮り、ゲリラ軍に渡すため遣いを送りました。そのテープの聞いたゲリラ軍の過半数は、武器を棄てたそうです。

経営者の仕事を一言でいうと、株主や社員とうまくコミュニケーションをとり、会社が望む方向へ舵取りすることです。

株主や社員からの絶対的な信頼がなければ、彼らは組織を離れて行ってしまい、会社を経営することはできません。適切なリーダーシップを発揮することで、組織はより発展していくものです。

◇ ◇ ◇

以上、『ダライ・ラマ自伝』をもとに、経営にも生かせる基本的な考え方をご紹介してきました。

ここで紹介した内容は、経営の大変シンプルな法則ですが、家業のような小さな会社の経営者であっても、チベット仏教最高指導者であっても、その法則は変わりません。

今回紹介した基本的な法則を抑えておくことが、将来のビジネスリーダーとしての第一歩となるでしょう。


川尻 秀道

カテゴリ:資格取得

【著者紹介】川尻 秀道(かわじり・ひでみち)
ラウンジグループ株式会社代表取締役兼CEO 。
1978年1月生まれ。静岡県出身。少年時代は、勉強「普通」、スポーツ「普通」、顔「普通」。三拍子そろった普通の少年。あまりの「普通」の人生に危機感を感じ、人生最大のリスクを背負って2007年8月よりMBA国際認証トリプルクラウン校であるクイーンズランド工科大学(オーストラリア)のQUT Business SchoolへMBA留学。現在は、ラウンジグループ株式会社代表取締役兼CEOとしてMBA・大学院留学支援サイト「MBA Lounge」や留学準備とビジネスの会員制コミュニティ「U29 Lounge」などの事業を展開。「留学支援とビジネス教育を通じて『自ら行動し、自らの人生を豊かにできる』人財を育て社会に貢献する」ことをミッションに掲げ日々奮闘中。

【書籍紹介】『ダライ・ラマ自伝』(文春文庫)

★社会人の学びに役立つ「資格取得」記事一覧はこちら

あなたへのオススメ記事

  • オーストラリアMBAを検討している人が知っておきたい基礎知識/川尻秀道
  • 日本人がMBA留学する際につい失敗してしまう2つの落とし穴/川尻秀道
  • もしFacebook社がMBAを提供するビジネススクールだったら/川尻秀道
  • どうして...? MBA留学を断念してしまう4つの理由/川尻秀道
  • 喪服が黒なのはなぜ? 日本文化を深掘りするクイズ

    喪服が黒なのはなぜ? 日本文化を深掘りするクイズ

  • 観戦がもっと楽しくなる!? スポーツの英語雑学クイズ

    観戦がもっと楽しくなる!? スポーツの英語雑学クイズ

  • 分析力&思考力アップ! 解くだけで頭がよくなるパズル

    分析力&思考力アップ! 解くだけで頭がよくなるパズル

  • 知れば一気に親近感がわく! 歴史人物の「ウラの顔」クイズ

    知れば一気に親近感がわく! 歴史人物の「ウラの顔」クイズ

  • 意外なウラ話にびっくり! スポーツがますます面白くなるクイズ

    意外なウラ話にびっくり! スポーツがますます面白くなるクイズ

  • コレならOK? コレだと失礼? 上司&取引先とのビジネスマナー

    コレならOK? コレだと失礼? 上司&取引先とのビジネスマナー

資格取得の人気記事ランキング

  • 面白いとオカシイは紙一重。おいおい東大教授、どっちやねん!/ただの主婦が東大(25)

  • 東大の願書締め切り直前! 過労で滅亡しそうな主婦/ただの主婦が東大(26)

  • 東大教授は暗に示してる。「おかしい人」って私のこと?/ただの主婦が東大(24)

  • 夫を見送り、二度寝する主婦生活。私、このままでいいの?/ただの主婦が東大(1)

  • 夫にバレるのが怖くて。こんな結婚生活、楽しくない/ただの主婦が東大(6)

{ カテゴリ別ランキングを見る }

資格・スクール情報

  • 中小企業診断士とは? 試験&仕事内容を解説

    中小企業診断士の仕事内容は? 養成課程って何? 中小企業診断士について知っておきたいことを詳しく解説します。

    中小企業診断士とは? 試験&仕事内容を解説
  • 行政書士とは? 試験&仕事内容を詳しく解説

    行政書士って何? どんな仕事をするの? 試験の難易度は? 行政書士に関する素朴な疑問を解決します。

    行政書士とは? 試験&仕事内容を詳しく解説
ページトップに戻る