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技術革新の「破壊者」が仕事を奪いにやってくる/野口悠紀雄の「超」独学法

AI時代の新しい働き方を実現するために最も重要なスキルが、「超」独学法です。最先端かつ最強の勉強メソッドを、『「超」独学法 AI時代の新しい働き方へ』(野口悠紀雄著)で学びましょう。今回は第2回目です。

時代が急速に変わるので、不断の勉強が必要

【急速な技術進歩でディスラプターが登場する】

なぜ勉強を続ける必要があるのか?それは、世の中が変わるからだ。

しばしば「再教育が必要」と言われる。勉強を続けていなければ、世の中から遅れていくのだ。

『鏡の国のアリス』で、赤の女王は、「あるところに留まるには、走り続けなければならない」と言う。これを聞いたアリスは、「変なことを言う」と思うのだが、いまの世の中は、実際にそのようなものになった。

なぜ世の中が変わるのか?

それは、技術進歩が加速化するからだ。とくに、ITによって、経済社会は大きく変わり、これからも変わり続ける。これまであまり技術進歩の影響を受けなかった金融部門も、フィンテック(ITを応用した金融サービス)によって大きく変わろうとしている。いま、産業革命と似た変化が起ころうとしているのである。

このため、学校時代に習ったことは、あっという間に陳腐化する。新しい技術の中にはディスラプター(破壊者)も多い。これまでやっていた仕事が、技術進歩によって消滅してしまうのである。

こうして、自分自身を教育し直すことが必要になる。社会の変化が急速になると、勉強し続けていないかぎり社会の変化についていくことができなくなる。

そのためには、独学しか方法がない。他方で、情報技術の発展によってさまざまな手段が使えるようになったので、独学のための環境は大きく改善された。技術の進歩は、独学の必要性を高めると同時に、他方において、独学を容易にしているのだ。いま、「学ぶ」ということに関して、条件が大きく転換している。


【変化はチャンスを意味する】

他方において、適切に対処すれば、現在の状況は大きなチャンスに転換しうる。

変化が激しいとは、新しいフロンティアが広がるということだ。そこにはまだ誰も手をつけていないので、思うがままの発展をすることができる。

社会が大きく変われば、新しいチャンスが生じる。それを捉えることができれば、新しい成長ができる。

日本では、第二次世界大戦終戦後に、こうした時代が到来した。ソニーやホンダなどの新しい企業が登場し、目覚ましい成長を実現した。

世界では、いま情報関連の技術によって、新しいフロンティアが開けつつある。それを捉えることが必要だ。

高度サービス産業で重要なのは、個人の独創性を引き出せるような労働環境だ。

それは、創造性から生み出される革新が、きわめて大きな利益と成長をもたらすからである。

アップルは、iPhoneという1つの非常に革新的な製品によって、これだけの成長を遂げた。グーグルの場合も、その成長の基盤にあるのは、優れた検索エンジンだ。フェイスブックでは、新しい形態の社会的な交流の仕組みの創設だ。

ごく少数の人間の革新的なアイデアが、現代のリーディング産業を作っているのである。

このため、アメリカをリードするハイテク企業は、さまざまな工夫をして、個人の創造性を引き出そうとしている。

現代の世界をリードしている企業は、いずれもアイデアとイノベーションによって成長している。それは、GAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)と言われるアメリカの先端企業で顕著だが、それだけではない。例えば、中国のアリババもそうだ。


【組織人でなく、市場価値がある人間に】

多くの日本人は、これまで組織に対する依存心が強かった。できるかぎり大きな企業に入社し、そこで昇進するという生き方だ。それは、必ずしも間違った方向というわけではなかった。むしろ、ある意味で合理的なものだった。

しかし、いまや、1つの組織にすべてをかけてしまうのは、リスクが高い。

組織自体がいつまで続くか分からない。だから、組織に依存すればよいのでなく、一人一人が「個人としての市場価値(マーケットバリュー)を持っているかどうか?」を問われる。「どの組織に所属しているか」でなく、「どれだけの能力を持っているか」が重要なのだ。

逆に言えば、組織にこだわる必要は薄れている。つまり、「組織人から個人の時代へ」という変化が生じようとしている。組織の中で上司の指示どおりに仕事をしていればよい時代は終わった。ましてや、上司の機嫌をとってゴマをすれば出世できる時代は、大昔のものになった。

変化への対応は、個人の立場から必要であるばかりでなく、日本全体としても必要なことだ。日本の産業構造や経済構造を大きく変えなければならない。

野口 悠紀雄

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【著者紹介】野口 悠紀雄(のぐち・ゆきお)
1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業。64年大蔵省入省。72年イェール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て2017年9月より早稲田大学ビジネスファイナンス研究センター顧問。一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。ベストセラー多数。
■Twitter:@yukionoguchi10
■note:https://note.mu/yukionoguchi/magazines

【書籍紹介】『「超」独学法 AI時代の新しい働き方へ』(KADOKAWA)

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