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独学が「挫折」しにくくなる目標設定のコツ/野口悠紀雄の「超」独学法

AI時代の新しい働き方を実現するために最も重要なスキルが、「超」独学法です。最先端かつ最強の勉強メソッドを、『「超」独学法 AI時代の新しい働き方へ』(野口悠紀雄著)で学びましょう。今回は第7回目です。

独学を続けるには具体的な目的が必要

【勉強する目的は何か?】

「勉強する」と言うが、その目的は何だろうか?

単に知識を得たいとか、教養を深めたいというだけでは、抽象的であり、漠然としている。それによって勉強を開始することにはなっても、長期にわたって勉強の努力を牽引する力にはなり難い。それだけの目的で、忙しい仕事の中で勉強を続けるのは、難しい。挫折してしまう危険が大きい。

目的は、抽象的ではだめだ。継続のためには、もっと明確な目的を持つ必要がある。何を知りたいのか? どのような知識を身につけたいのか? どのような能力を身につけたいのか? 何をどこまでやるのか?

このように目的をはっきりさせ、そして、それに合わせるように逆向きに勉強するのだ。

勉強する目的は、それによって将来、所得を得ることなのか? 資格を取りたいのか? あるいは、いまの仕事に関する最新の情報を得ることか? それとも、自分の経験を多くの人に知らせることか?

目的は、明確で具体的なほうがよい。イメージとして描けるようなものがよい。

例えば、それを活用して、退職後の収入源を確保する。会社で新しいプロジェクトを提案して、立ち上げる。会社の仕事を続けるかたわらで、副業を始める。うまくいけば、起業する、等々だ。

こうしたインセンティブがあれば、途中で挫折しないだろう。


【「できることと、できないこと」の見極め】

つぎに、「できることと、できないこと」の見極めをつける必要がある。

「ノーベル賞を取れるような能力を獲得すること」を実現するのは、難しいだろう。努力しても、成功しない確率が高い。しかし、資格試験なら、多くの人が合格しているのだから、努力すれば可能だろう。

目標の水準は低すぎても意味がないが、かと言って高すぎても、単に大風呂敷を広げるだけのことになる。

「可能か不可能か」の見極めは大変重要なことである。可能ということが分かっていれば、挫折しない。「具体的にどのような水準か?」は、人によって違う。また、どこが適当な水準かを客観的に判別する方法もない。直観で判断するしかない。ただし、先達や先輩が行ってきたことは大いに参考になるだろう。

なお、どんなことでも独学でできるわけではない。楽器の演奏や踊りなどは、自己流でやっても、たぶんだめだろう。また、規制があるため、独学が不利になっていることもある。典型例が、自動車運転免許のための勉強だ。

日本では、教習所に通わないと運転免許を得にくい状態になっている。独学で運転を覚えても、試験を通るのが難しい。これは、事実上独学を禁止する制度だ。しかし、それに合理的な意味はない。事実アメリカでは、自宅にある車で家族から運転を習うのが普通だ。日本の自動車運転免許制度は、退職後警察官のための雇用創出装置以外の何者でもない。


【長期目標だけでなく、中期目標も決める】

目標について、長期目標と中期目標を区別しよう。

例えば、専門的な技能を身につけて、それで生計を立てることを目的にしたとしよう。これは長期的な目標だ。それを実現するためには、どうしたらよいか?それが中期目標だ。それは、数年間(できれば2〜3年間)で達成できるようなものがよい。

計画が長続きしないのは、長期目標ばかり考えて、中期計画がないからである。資格試験を、中期計画における目標として利用することができる。英語であれば、TOEIC®の試験で一定の点数を取ることを目的にしてもよい。あるいは、フィナンシャルプランナーといったことでもよい。さらに進んで、税理士、公認会計士、司法試験などを目的にしてもよい。

資格は、長期目標ではない。つまり、最終的な目的ではない。

資格そのものが役に立つかどうかは、疑問である場合もある。少なくとも、資格を取得したからと言って、必ずしも職が得られるわけではない。最近では、司法試験を通って弁護士資格を取っても、仕事が得られないこともある。資格取得は、勉強を継続するための中間目標と考えるべきだ。「牛にひかれて善光寺参り」というが、資格試験は、この話における牛のようなものである。

資格は、それ自体に意味があるというよりは、勉強を進めるための目標であり、インセンティブだと考えるべきだ。中期的な目標を設定したら、その実現に向けた勉強のスケジュールを作る。そして、達成度を測る。



野口 悠紀雄

カテゴリ:資格取得

【著者紹介】野口 悠紀雄(のぐち・ゆきお)
1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業。64年大蔵省入省。72年イェール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。一橋大学教授、東京大学教授(先端経済工学研究センター長)、スタンフォード大学客員教授、早稲田大学大学院ファイナンス研究科教授などを経て2017年9月より早稲田大学ビジネスファイナンス研究センター顧問。一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。ベストセラー多数。
■Twitter:@yukionoguchi10
■note:https://note.mu/yukionoguchi/magazines

【書籍紹介】『「超」独学法 AI時代の新しい働き方へ』(KADOKAWA)

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