資格取得

“猿マネ”日本企業は、このままでは負け続ける『競争戦略論Ⅰ』/MBA必読書50冊①

グローバルエリートたちは、ビジネスの「セオリー」を知っている! ビジネスマン必読の50冊のエッセンスが1冊で学べる『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』(永井孝尚著)より、「読む」だけで差がつくビジネスマン向けの本をご紹介いたします(第1回)。

まず「何をやらないか」を決めよ

日本の家電メーカーの商品は、ひと目ではどのメーカーのものか分からない。ルンバそっくりの掃除機も多いが売れていない。ダイソンやルンバがひと目で見分けがつくのと比べると大違いだ。多くの日本企業が致命的なミスを犯している。成功するライバルを分析し、同じことをより上手にやろうとするのである。だから単なる模倣品も多い。

こんな日本企業を、本書の冒頭で著者のポーターは手厳しく批判している。

「日本企業は、『すべてのものを、すべての顧客へ』と考えて、お互いに模倣しあい競争して、改善するだけだ。日本企業には戦略がない。日本企業は戦略を学ぶべきだ」

本書は1999年の出版だが、残念ながらこの指摘は、20年が過ぎた今も有効だ。


ポーターによると戦略でまず考えるべきは、「何をやらないか」である。

あなたが女性だとしよう。イケメンの山田君と秀才の鈴木君からプロポーズされた場合、どちらか1人を選ばなければならない。

人生は選択の連続だ。あちらを立てればこちらが立たず。これが「トレードオフ」だ。

戦略も、トレードオフだ。

どのお客様を捨て、どのお客様に対応するのか?

どのニーズを捨て、どのニーズに対応するのか?

トレードオフを究めることで、強い戦略になる。

北海道でセブンを打ち負かす「セイコーマート」

大手コンビニ3社の戦略は、とても似ている。自社PB商品はメーカーに生産委託し、配送は自社商標を付けた外部配送業者に任せ、24時間営業で全国展開している。

一方で、北海道でシェア1位のセイコーマート(以下、セコマ)は、大手コンビニ3社とまったく異なる戦略だ。「何をやらないか」が明確である。

まず全国展開はせずに、創業の地・北海道に特化している。

24時間営業にもこだわらない。北海道に数多い過疎集落に出店するため13時間半営業の直営店もある。ただ過疎地の店が多いと売上が少ないので、利益も減ってしまう。そこで原価が安くておいしい北海道の食材を調達して自社で食品製造し、さらに自社でトラック数百台を用意して店舗に配送することでコストを徹底的に下げている。だからお惣菜を100円で店頭販売しても利益が出せる。売上の50%は自社製造の北海道産食品だ。

大手コンビニでは常識のおでんやドーナツもつくらない。「ほしい人はセブンやローソンで」と勧めている。

トレードオフの観点で考えると、セコマは実に理に適(かな)った戦略を実践している。いまやセコマは北海道では欠かせない生活基盤だ。2018年の北海道地震で道全域が停電し多くの店が休業する中、セコマの95%の店舗は営業を続けた。北海道の地で、暴風雪や災害の対策を見直し続けた結果だ。

セコマは「何をやらないか」を決め、トレードオフを究めた上で、様々な活動を密接に連携させ、北海道で欠かせない存在になった結果、王者セブンにも対抗できるのだ。

圧倒的な強みをつくる「活動システム」

自社独自の様々な活動を連携させれば、圧倒的な強みがつくれる。これが「活動システム」だ。「活動を連携させたシステム」ということだ。

単独活動はすぐライバルに模倣されるが、密接に連携する活動は模倣が難しい。1つの活動を模倣できる可能性が70%ならば、10個の活動を模倣できる可能性は3%以下(0.7の10乗)だ。まさに「トレードオフを究めて、活動システムをつくれ」ということである。

現実には「何をやらないかを決めよう」というと、「できることは全部やるべき」「やらないことを考えるのは弱さの証拠だ」「売上が伸びない」「ネガティブだ」「サボるな」と反論されることも少なくない。

しかし戦略で大切なのはライバルとの違いだ。すべてやろうとするから、ライバルとの違いが打ち出せない。そして顧客に「劣化版コピー」と思われてしまうルンバのコピー商品のように、消耗戦で負ける。勇気を持って、「やらないこと」を決めるべきなのだ。

◇ ◇ ◇

戦略で考えるべきは「何をやらないか」。その相乗効果で強くなる

『競争戦略論Ⅰ』著者:M・E・ポーター

ハーバード・ビジネス・スクール教授。ハーバード大学ユニバーシティ・プロフェッサー。1969年にプリンストン大学航空宇宙機械工学科卒業。1971年ハーバード大学で経営学修士号、1973年に同大学院で経済学博士号を取得。1982年には同学史上最年少の正教授就任。著書に『競争優位の戦略』『国の競争優位』など多数。世界各国の政府幹部や企業経営者のアドバイザーとしても活躍している。



永井 孝尚

カテゴリ:資格取得

【著者紹介】永井 孝尚(ながい・たかひさ)
2013年に日本IBMを退社して独立、ウォンツアンドバリュー株式会社を設立して代表取締役に就任。執筆の傍ら、幅広い企業や団体を対象に新規事業開発支援を行う一方、毎年2000人以上に講演や研修を提供し、マーケティングや経営戦略の面白さを伝え続けている。主な著書にシリーズ60万部『100円のコーラを1000円で売る方法』(KADOKAWA)、10万部『これ、いったいどうやったら売れるんですか?』(SB新書)ほか多数。

【書籍紹介】『世界のエリートが学んでいるMBA必読書50冊を1冊にまとめてみた』(KADOKAWA)

【記事内の書籍紹介】『[新版]競争戦略論I』(ダイヤモンド社)

あなたへのオススメ記事

  • MBA取得後の進路は? ビジネスエリート達のその後/川尻秀道
  • MBA取得後、年収はどれぐらいアップする? グロービス経営大学院がアンケート結果公表
  • MBA取得で人生どう変わった? グロービス卒業生が語る“国内MBA”取得後のリアル
  • 世界で67億本以上販売する「レッドブル」のスゴいマーケティング戦略
  • 知っていたら自慢せずにはいられない! マニアックすぎる雑学クイズ

    知っていたら自慢せずにはいられない! マニアックすぎる雑学クイズ

  • 食通だったら全問正解!? 日本ならではの「食べもの」クイズ

    食通だったら全問正解!? 日本ならではの「食べもの」クイズ

  • その言い方、大丈夫? 上司&取引先への言葉遣いのマナー

    その言い方、大丈夫? 上司&取引先への言葉遣いのマナー

  • 知られざるエピソードにびっくり! ネーミングの秘密がわかるクイズ

    知られざるエピソードにびっくり! ネーミングの秘密がわかるクイズ

  • 喪服が黒なのはなぜ? 日本文化を深掘りするクイズ

    喪服が黒なのはなぜ? 日本文化を深掘りするクイズ

  • 観戦がもっと楽しくなる!? スポーツの英語雑学クイズ

    観戦がもっと楽しくなる!? スポーツの英語雑学クイズ

資格取得の人気記事ランキング

  • さよなら、東大受験。さよなら、東大主婦/ただの主婦が東大(50)

  • 落ちた落ちた絶対落ちた! 東大最終試験会場、BBAの涙/ただの主婦が東大(48)

  • 私の東大受験はネタ作りだって? 東大教授の最後の質問/ただの主婦が東大(49)

  • 夫を見送り、二度寝する主婦生活。私、このままでいいの?/ただの主婦が東大(1)

  • 昼まで寝ている主婦に子育ては無理だって?/ただの主婦が東大(3)

{ カテゴリ別ランキングを見る }

資格・スクール情報

  • 中小企業診断士とは? 試験&仕事内容を解説

    中小企業診断士の仕事内容は? 養成課程って何? 中小企業診断士について知っておきたいことを詳しく解説します。

    中小企業診断士とは? 試験&仕事内容を解説
  • 行政書士とは? 試験&仕事内容を詳しく解説

    行政書士って何? どんな仕事をするの? 試験の難易度は? 行政書士に関する素朴な疑問を解決します。

    行政書士とは? 試験&仕事内容を詳しく解説
ページトップに戻る