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行政書士と社労士では専門分野が違う! 業務内容や必要な資格を比較

行政書士と社会保険労務士は、どちらも法律関係の書類を扱うため、業務内容も似たイメージをもつ人も多いのではないでしょうか。しかし、実際には専門分野が異なり、対応できる業務範囲にも大きな違いがあります。また、それぞれ求められる資格も違うのです。

この記事では、行政書士と社労士の違いを詳しく解説しますので、それぞれの特徴をふまえたうえで、どちらを目指すべきかの参考になるでしょう。

1.行政書士の特徴

まず、行政書士とはどんな業務をしているのか、専門分野やどの資格が必要となるのかを説明します。

【1-1.行政書士の業務内容】

行政書士が行う業務には、まず「官公署への提出書類の作成や相談業務」があります。各省庁や県庁、役所や警察などに提出する書類を作成し、提出代理を行うのです。許認可に関する書類が多く、これらの書類の数は1万種類にもなるといわれ、取り組み方次第では活躍の場を大きく広げることが可能です。

次に「権利義務に関する書類作成や相談業務」ですが、これは権利に関わる書類を扱うものであり、示談書や各契約書、遺言書などのことです。最後に「事実証明に関する書類作成や相談業務」ですが、内容証明や実地調査による配置図面などの作成をします。

行政書士は、文字通り国民と行政を繋ぐ役目があります。そのため、遺言相続や内容証明などの暮らしに役立つものから、許認可申請や中小企業支援といったビジネスで必要となるものまで、幅広い業務を行うのです。


【1-2.行政書士の専門分野】

行政書士には、幅広い専門分野があります。大きく分けると、「許認可申請」「権利関係に関する書類作成」「事実証明に関する書類作成」の3つに分けられます。許認可申請とは、建築業許可をはじめ、営業許可や古物商許可などの申請です。

権利関係に関する書類では、相続や外国人の永住許可申請など、権利に関係する申請の書類作成代理、サポートを行います。事実証明に関する書類では、定款や会計帳簿、各種図面などの書類があります。

行政書士として業務を行うためには、これらの許可や申請に関する深い知識が求められ、学ぶべき法律も多岐にわたるでしょう。しかし、1人ですべてを網羅する必要はありません。どれか1つに絞り専門性を特化することで、自身が活躍する場をある程度選ぶことが可能です。

例えば、建築業許可などは多くの行政書士が手掛けており、この申請をした業者は定期的に更新をしなければなりません。そのため、クライアントから更新の依頼を受けるようになれば、固定収入が期待できるようになります。

【1-3.行政書士になるために必要な資格】

行政書士として仕事をするためには、行政書士試験に合格するか、弁護士、弁理士、公認会計士、税理士といった資格のどれか1つを保有していなければなりません。このいずれかをクリアしていれば、日本行政書士会連合会の行政書士名簿への登録が可能になります。

しかし、これらの資格を有していても、未成年や成年被後見人、破産者など、行政書士になれないケースもあります。詳しくは日本行政書士連合会のホームページで確認してみてください。

2.社労士の特徴

続いて、社労士の業務内容や専門分野、必要な資格について解説します。


【2-1.社労士の業務内容】

社労士の業務内容としては、主に「労働および社会保険などに基づいた申請書等の作成」「労働および社会保険などに基づいた帳簿書類の作成」「労働や社会保険に関する相談や指導」の3つに分けられます。

申請書や帳簿書類の作成・提出は、社内で行うのであれば誰が行っても良いのですが、社外へ依頼する場合は、社労士のみが請け負える独占業務です。また、労働法や社会保険に精通したプロフェッショナルとして、企業の人事、労働条件についての相談・提案をするコンサルティング業務を行うこともあります。

これらの業務は1号業務、2号業務、3号業務と呼ばれ、1・2号業務が社労士の独占業務です。企業などから請け負う場合、社会保険に関係する給与計算なども兼ねた依頼をされることが多いでしょう。また、社労士は勤務先によって業務内容が異なるのも特徴で、一般企業の総務部などに入職した場合、社労士としての業務以外の仕事も行います。


【2-2.社労士の専門分野】

社労士は、社会保険と労働法を専門分野としています。なかには年金関連の知識に特化した社労士もおり、年金事務所などに勤務し、個人の年金問題に関する相談や手続きを行う人もいるのです。また、企業の就業規則や賃金管理、助成金などと言った労働管理や労働問題を扱ったり、新入職員の育成や人事などの幅広い業務を行う人もいます。

こうした業務以外にも、企業と労働者の間にはさまざまな問題が増え続けていることもあり、社労士の需要は高まり続けています。多く求められやすいのは、幅広い知識を持っている社労士であり、年金のみを扱う社労士は活躍の場が狭まりがちといえるでしょう。


【2-3.社労士になるために必要な資格】

社労士として働くためには、年に1回の国家試験に合格し、社会保険労務士資格を取得することが必要です。また、受験するための条件として、「大学や専門職大学などを卒業もしくは修了などの学歴」「社会保険労務士のアシスタントなど実務経験」「行政書士など厚生労働大臣が認める国家試験に合格している」などの3つからなる13コードのうち、どれか1つをクリアしている必要があります。

詳しい受験資格は、社会保険労務士試験オフィシャルサイトに記載されていますので、そちらを参考にしてください。

3.行政書士と社労士の資格はどちらが難しい?

行政書士と社労士の資格試験は、どちらも難易度が高い国家資格です。まず行政書士の試験では、試験合格率は10%弱であり、合否は絶対評価で決められるため、周囲のレベルが高くても関係はありません。これまでの試験では、60%の正答率である180点ほどが合格の目安とされています。

しかし、ここで注意しておきたいのは、各科目でまんべんなく点数を得なければならないという点です。苦手な科目があるなどにより、点数が偏ってしまった場合は合格することができません。試験範囲は民法や憲法、行政法などの法律関係が多くなります。

一方の社労士試験では、まず受験資格が必要となります。合格率は5%前後と難関であり、こちらも合否は絶対評価で決められるため、周囲のレベルに関係なく合格を狙うことが可能です。主な出題範囲は、労働保険と社会保険からなる10項目から出題されるため、勉強するための範囲が広いのも特徴です。

社労士試験の合格ラインもほぼ60%の正答率と言われていますが、やはり各科目でまんべんなく点数を得る必要があります。行政書士と社労士の試験では、出題範囲が異なるため、試験の難易度は一概に比較することはできません。ですが、社労士は受験資格が求められるため、その分ハードルは高くなるでしょう。

4.法律初心者なら行政書士がおすすめ

法律についてあまり詳しくないようであれば、行政書士の受験がおすすめです。行政書士の試験範囲では、民法や憲法など、馴染みのある分野が取り扱われています。反面、社労士の試験範囲では、特別法が取り扱われるため、馴染みも薄く、法律初心者のうちは合格が狙いづらくなります。

特別法とは、民法などの一般法に特別なルールを加えたものです。行政書士の出題範囲には一般法が含まれているため、行政書士を先に目指した方が、効率的に学習を進めることが可能です。

行政書士と社労士の違いを理解して自分に適した士業を選ぼう

似ているように見える行政書士と社労士ですが、業務範囲だけではなく、専門分野や必要とされる資格も異なります。また、資格試験に関して、行政書士よりも社労士の方が、馴染みのない専門分野が出題されます。そのため、法律初学者の場合は、学習効率の面で行政書士から受験するのがおすすめです。

どちらの資格も持っておくことで、取り扱える分野が広がります。学習を進め、ダブルライセンスを目指すのも良いでしょう。

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