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行政書士って何をする人? 仕事内容の変化から将来性について予測

行政書士は、人気のある国家資格です。しかし、行政書士という資格の名前を聞いたことはあっても、どのような仕事をするものなのかよく知らないという人も多いのではないでしょうか。この記事では、行政書士の具体的な仕事内容やどのような方法で行政書士になるのか、そして行政書士という仕事の将来性について解説します。

1.行政書士は何をする人?

行政書士は、具体的にどのような仕事をしているのでしょうか。


【1-1.行政書士は「街の身近な法律家」】

行政書士は、街の身近な法律家と呼ばれています。なぜなら、法務と実務のスペシャリストとして、国民と行政とのパイプ役を担っているからです。1951年に行政書士法が成立し、行政書士という国家資格ができました。行政書士法によって、行政書士の資格を持っていないとできない独占業務が定められています。

主な業務として、官公署に提出するための書類や権利義務などに関する書類の作成業務、許認可申請を依頼人の代わりに行う代理業務、相談を受けて依頼人へのアドバイスなどを行う相談業務があります。


【1-2.「くらし」に関する行政書士の仕事】

日常生活や社会生活に密着した権利義務に関する書類とは、どのようなものがあるでしょうか。1つ目は、相続に関する書類です。多くの人が経験したことのあるまたは経験することになる相続問題について、行政書士は遺言書の作成や遺産分割協議書の作成という形で関わります。

2つ目は、金銭の貸し借りや家を貸すとき借りるときの契約書作成です。家を購入するときにローンを組むことも、金銭を借りている状態に近いといえるでしょう。家を購入しない場合には、賃貸借契約を結んで賃貸住宅に住むことがほとんどです。どちらにしても、契約は必要です。

3つ目は、クーリングオフ手続きや交通事故などの法的問題に関する書類作成や代行です。

4つ目は、帰化申請です。日本国籍の取得を希望する人に対して、申請書類を揃えます。

5つ目は、車庫証明などの運輸に関する許可申請や手続きです。自動車の新規登録や移転登録も含まれます。権利義務に関する書類作成の仕事だけでなく、成年後見制度に関する実務もあります。


【1-3.「ビジネス」に関する行政書士の仕事】

ビジネスに関する行政書士の仕事の1つ目は、会社の設立に関するさまざまな書類の作成と申請、経営や法務問題に関するコンサルティング業務です。書類を作成するだけでなく、法律の専門家として起業家の相談に乗りアドバイスすることも業務に含まれます。

2つ目は、建築業や運輸業などの開業に関する許可申請書類の作成と手続きの代行です。開業するときに許可が必要な業種では、行政書士が許可申請書類を作成し手続きを代行することができます。

3つ目は、内容証明や会計帳簿などの書類作成業務です。会社の設立や開業の準備段階でも書類を作成しますが、開業したあともさまざまな書類の作成が必要になります。

4つ目は、著作権登録申請業務です。新しく発明したものがあれば、著作権登録の申請をします。また、ほかの人の著作権を侵害しそうなものがある場合には、法律に抵触するおそれがあることを指摘するのも行政書士の業務の一環です。

2.行政書士になるには?

行政書士になるためには、年に1回実施される行政書士試験に合格する必要があります。行政書士試験は、年齢や学歴、国籍などに関係なく誰でも受験できるのが特徴です。

試験科目は、行政書士の業務に関し必要な法令等と行政書士の業務に関連する一般知識等の2つです。1つ目の法令等の科目については、憲法、行政法、民法、商法、基礎法学のなかから出題されます。毎年4万人程度が受験し、合格率は6%から15%です。

10代で合格する人もいますし、70代で合格する人もおり、幅広い年齢層の人が受験しています。平均点に関係なく一定の割合の得点を獲得すれば合格となるため、その年の試験問題の難易度によって合格率が変わります。問題が難しすぎた場合には、合格となる点数が引き下げられることもあるとのことです。

行政書士を名乗って仕事を行うには、試験合格後に各都道府県の行政書士会を通じて日本行政書士会連合会に登録する必要があります。

3.行政書士の将来性は?

IT技術の革新が進むなか、行政書士の仕事は今後どのように変化していくと予想されるでしょうか。行政書士という仕事の将来性について紹介します。


【3-1.行政書士の仕事は今後なくなっていくのか?】

法律の知識がさほど必要のない申請書類などは、書き方から申請方法までインターネットですぐに調べることができます。調べて書ける程度の書類であれば、行政書士を介さずに自分で書いて申請する人が多くなってきました。

電子申請制度や会計ソフトなどの普及により、書類の作成や申請が簡単に行える環境が整いつつあります。AIなどのIT技術がさらに進歩すれば、単純な書類作成や申請業務は行政書士の仕事ではなくなる可能性があるでしょう。

しかし、行政書士の仕事は法改正により年々範囲が広がっています。扱える書類は数千種類以上にのぼり、詳しい法律の知識がないと作成するのが難しいものも含まれています。このため、今後しばらく仕事がなくなることは考えにくいのではないでしょうか。


【3-2.超高齢社会で行政書士の出番が増える?】

高齢化にともなって、遺言や相続に関する書類作成の需要増加が見込まれます。成年後見制度に関する手続きなどを必要とする人が増える可能性もあります。成年後見制度とは、認知症などにより判断力が十分でないと思われる人に対して、法的な手続きなどをサポートするための後見人をつける制度です。

認知症の人が増えていくと考えられる超高齢社会では、成年後見制度の利用も増えることが予想されます。介護や医療分野が進展する可能性が高いため、薬局の開設許可や医療系の営業許可に関する業務も増えることが考えられるでしょう。

また、国際化にともなって日本国内での訴訟件数が増え続けています。訴訟の代理は弁護士にしかできませんが、示談交渉の調停は行政書士にもできます。遺産分配の協議や交通事故の示談交渉など、訴訟を起こさずに済ませるケースでは行政書士が調停人を務める機会が増えていくでしょう。


【3-3.今後も必要とされる行政書士とは?】

行政書士の年収は平均すると600万円程度ですが、200万円程度の人から2000万円を超える人までいるのが実情です。つまり、稼げる人と稼げない人との差が激しい仕事だといえます。書類作成や申請の代行だけが行政書士の仕事だと考えていては、IT技術の進歩などにより仕事が減って稼げなくなる可能性が高いでしょう。

依頼人はどのような悩みや問題を抱えているのか、それを解決するためにはどうしたらよいのかを考える力がある人、すなわちコンサルティング能力が高い人が必要とされる時代になると考えられます。幅広い法律の知識を活かして依頼人の抱えている悩みや解決すべき問題に寄り添い、アドバイスができる行政書士が今後はさらに必要とされるようになるでしょう。

これまでの法改正でも行政書士の仕事範囲は広がっていますし、今後の法改正でも司法領域に行政書士の活躍の場が拡大すると予想されます。弁護士事務所などと連携して、円滑に業務を進めていくコミュニケーション能力が必要となってくる可能性が高いです。

調停人として示談交渉にのぞみ訴訟を未然に防ぐ役割、そして訴訟を起こすことになった場合には弁護士にうまく引き継ぐなど、司法領域で連携プレーが取れる行政書士の需要が高まると考えられます。

行政書士は今後も活躍が期待される

行政書士は、街の身近な法律家として幅広い分野で活躍しています。超高齢社会や国際化の流れをくんで、需要が拡大するであろう分野に対しての知識や経験を積んでおきたいところです。しっかりとした法律知識に基づいてコンサルティングなどを含む仕事を行っていけば、今後も活躍の場はますます増えるのではないでしょうか。

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