資格取得

中小企業診断士の資格は役に立つ? 有利なポイントや問題点を解説

中小企業診断士は難易度の高い国家資格のひとつで、取得者はそれだけ高いスキルをもっていることを証明します。しかし、中小企業診断士の資格取得を検討している人の中には、本当に役立つ資格なのかわからず、取得を迷っている人もいるのではないでしょうか。

この記事では中小企業診断士になることで有利になるポイントや、資格の取得や維持にまつわる問題点などについて解説します。

1.中小企業診断士とは

「中小企業診断士」は、主に中小企業の経営者から依頼を受け、経営診断や提案、助言などを行うことができる国家資格です。中小企業診断士は経営コンサルタント業務に必要な能力を証明する唯一の国家資格で、業務独占資格ではありませんが、その知識や能力の高さを証明します。

有資格者は全国で2万4000人程度であり、独立開業したコンサルタントや企業勤務など、その活躍の場はさまざまです。2016年の日本経済新聞社の調査では「取得したいビジネス関連資格」ランキングで1位を獲得しており、人気の高さがうかがえます。

中小企業向けのコンサルティングに必要な知識が学習によって身につきますが、最近は独立や副業のためにビジネススキルを磨く目的で資格取得を目指す人も多くなっています。

2.中小企業診断士試験の内容

中小企業診断士の資格試験では、毎年1回、8月に1次試験が行われ、その合格者は10月に記述試験、12月に口述試験を2次試験として受けることになります。1次試験は記述式の試験で、企業経営や財務・会計、法務分野などについて7科目の受験が必要です。試験は科目数が多いこともあり、土曜日と日曜日に2日かけて行われます。

1次試験には年齢・学歴などの受験資格の制限はありませんが、受験者に学生はほとんどおらず、中堅の社会人が多いです。2次試験では1次試験の内容を踏まえて実際の企業の診断や評価などに関する問題が出題され、さまざまな知識を動員して正解を導き出すことが求められます。

3.中小企業診断士の有利なポイント

難関であるにもかかわらず、中小企業診断士が人気資格なのは、ビジネスパーソンにとって多くのメリットがあるからです。そのメリットについてさまざまな角度から紹介します。


【3-1. 社内評価が上がる】

中小企業診断士の資格を取得すると、自分の社内での評価を高めることができます。大企業になるほど、管理職に対して、マーケティングや財務、人事管理、法律など、経営に役立つ包括的な知識と思考力を求める傾向が強いです。そのため、有資格者は社内で評価され、キャリアアップにつながる可能性が高まります。

中小企業診断士の資格取得者の多くが大企業に勤めているのは、こうした社内の人事評価への対応が理由にあります。そして、大企業で勤めていない人も、資格保有によって待遇の良い大企業に転職しやすいからです。

実際、企業で働く中小企業診断士のおよそ半分の人は管理職に就いており、資格取得者の社内における評価の高さを表しています。


【3-2. 起業に役立つ知識が得られる】

中小企業診断士の資格取得のための勉強は、事業を経営していくにあたって必要な多くの知識の修得に効果的です。普通の企業勤めのサラリーマンでは、自分に割り当てられた専門分野以外の知識はなかなか身に付けることはできません。

しかし、中小企業診断士の資格取得を目指すことで、経営に関する総合的な知識を身に付けることが可能です。

いざ独立したいと思った時にも、経済学・経営学や、財務・会計、中小企業支援策などの学習した知識が役立ちます。また、中小企業診断士になるためには資格取得後に実務補習が必要ですが、この実習を通して他の中小企業診断士との人的ネットワークを作れることも起業に役立つといえる理由です。


【3-3. 他の資格とも相性が良い】

中小企業診断士はビジネスにおいて汎用性が高い資格であり、他の専門性の高い資格との相性も非常に良いという特徴をもちます。たとえば、行政書士や社会保険労務士、簿記などの資格と併せて取得することで、専門的スキルと、経営全般を見渡すスキルの両方を修得することが可能です。

こうした人材は企業規模を問わず活躍できるため、複数の資格を併せ持つことがビジネスパーソンとして強力な武器となります。

また、現代の経営はIT技術なしでは経営分析や業務改善も難しいため、基本情報技術者などIT系の資格と併せて活用するのも効果的です。中小企業診断士の各教科のレベルはさまざまな資格の中級レベルの難易度があり、中小企業診断士だけでも多くの分野の知識をカバーできます。

しかし、中小企業診断士の資格だけだと、客観的な専門性が見えにくいため、他の資格を併せて取得するようにするとスキルの証明により効果的です。

4. 中小企業診断士の問題点

人気の高い中小企業診断士の資格ですが、全国で2万4000人ほどとそれほど多くないのは、資格を取得・維持するにあたって問題となる点もあるからです。中小企業診断士の問題点について3つ紹介します。


【4-1. そもそも取得するのが大変】

中小企業診断士の問題点は、試験の難易度が高いために、そもそも資格取得が難しいということです。その合格率は、1次試験、2次試験ともに例年20%前後で推移しており、両方を通しての合格率は4%程度となっています。

また、合格するためには試験勉強に最低でも1000時間は費やさなければならないといわれており、働きながら資格取得を目指す人にとって非常にハードルが高いです。

試験の開催も毎年1回だけであり、働きながら学習する場合は、資格取得までに3~5年ほどかかる場合も少なくありません。ほとんどの人にとっては全く知識のない科目が多くなりますし、さらに各科目の試験問題のレベルは専門資格の中級レベルとなっています。

そのため、科目数と同じ数の資格を取得するつもりで試験対策を行うことが必要です。


【4-2. 5年ごとの更新が面倒】

中小企業診断士の資格は一度取得して終わりではありません。ビジネス環境の変化に対応するために、定期的に更新手続きをしなければならないルールがあり、これを面倒に感じる人も多いです。

医師免許のように1度取れば一生安泰ではなく、定期的に研修を受けたり論文を提出したりといった所定の手続きを経て更新しないと資格が失効してしまいます。

更新のための研修は4時間の研修を5回受ける必要があり、受講料は1回6000円となっていて、タイミングや場所によっては仕事を休む必要が生じる場合もあり、これを負担と感じる人も多いです。こうした事情もあり、資格取得者2万4000人のうち、3000~4000人は更新せずに資格が失行してしまっているといわれています。


【4-3. 転職や独立に役立てるには実務経験が必要】

中小企業診断士の問題点として、資格を取得することによって転職や起業に直接的に役立つわけではないという点があります。中小企業診断士は経営に関する幅広い知識を有していることを証明しますが、転職では実務経験が伴っていない場合はそれほど評価されない可能性も高いです。

専門性の高い人材のほうが評価しやすいこともあり、中小企業診断士のようなゼネラリスト資格はアピールに欠ける部分があります。

ただ、難関資格であることは知られているため、「努力ができる」という資質を評価してもらえることは多いです。中小企業向けのコンサルタントはチームを組まずに1人で案件を担当するのが一般的であるため、実務経験なしに独立することは、実績や能力の面から見ても現実的とはいえません。

将来を見据えて中小企業診断士を目指すかどうかを検討しよう

中小企業診断士の資格は、キャリアアップを狙うことができ、他の資格と併せて活用できるなど多くのメリットをもちます。しかし、転職などに役立てるためには実務経験が必要で、かつ取得のための学習コストが高く、多くの勉強時間を必要とします。

魅力的な資格ではありますが、自分の目的に役立つ資格なのかどうかをしっかり検討することが大切です。

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