スキルUP

日本の仕事幸福度は最下位レベル。「いい大学からいい会社」がゴールでいいの!?/大好きなこと(4)

「好き」を仕事にすれば、スキルアップも早くなる! 日本のみんなに伝えたい、好きで得意の見つけ方を『そろそろ、大好きなことで生きていこうよ!』(クリス・モンセン著)よりご紹介します(第4 回)。

ゴールは”いい大学に入って、いい会社に入る”こと

高度経済成長期はモノづくりが日本の産業の中心だったから、もちろん肉体労働など、きつい仕事をしている人たちはいっぱいいた。加えてベビーブームだったから、子ども4人を養いながら働く人たちもいたきつい時代だ。

そういう人たちは自分の子供たちにこんな夢を託したりする。「大人になったらきつい労働をするんじゃなくて、ネクタイをつけて大企業で働くサラリーマンになりなさい」って。それで、子供が「わかった。じゃあ僕、サラリーマンになるよ。どうやったらなれるの?」「うん。そのためにはまず大学を出ないといけないんだ」っていうことで、子供たちは大学に入るために頑張って勉強するようになった。

実際、大手企業は有名な大学から社員をリクルートしてきた。これは今でもずっと続いていて、いい大学を出て、いい会社に就職することが、子供たちの目指す”とりあえずのゴール”になっている。

実際、僕自身がまさにそういう考え方をする子供だったんだ。僕はカナダ人クオーターなんだけど、1980年に日本で生まれて小学校は慶應義塾幼稚舎に入った。

子供の頃は子役の劇団に入っていて「将来は役者になりたいな」となんとなく思っていたんだけど、進学塾に入って劇団は辞めることになった。その通うことになる進学塾というのが、とにかく厳しいところだったんだ。先生の出す課題をいかに早くできるかということがなにより優先されて、ちょっと遅れるだけでものすごく怒られる地獄のような塾だった。

「なんでこんな勉強をしなきゃいけないの?」なんて聞こうものなら、「バカ。そんなこと考えてる暇があったら問題をやれ」っていう感じ。でも、当時は僕もそれが当たり前だと思っていた。いい大学に入って、いい会社に入るためにはね。

それが当時の日本の常識だったし、今の日本でも多くの人は同じように考えている。戦後の高度経済成長期を支えた世代の子供が今の40代、50代くらいのサラリーマンになっていて、日本人はふたつの世代にわたって「いい大学を卒業していい会社に入ってサラリーマンになる」のが世間の当たり前のゴールだった。

それで会社に入ったあとは上司のいうことをちゃんと聞いて、大きなミスをしなければ定年までクビになることもなくて、毎年給料も上がっていくようなシステムができていた。だから、「受験勉強を頑張っていい大学に入って大手企業に就職しよう」っていう考え方は、当時のそういう社会情勢を見れば、ある意味で正しいともいえるんだ。

そういうなかで生きていたら、ほとんどの人は自分の好きで得意なことを仕事にしようなんて、なかなか考えないと思う。サラリーマンをやっている人たちには「自分の好きなことを仕事にする」っていう教育や考え方はほとんどなかった。

そして、現実的な問題として、個人で何か新しいビジネスを始めようとしても、ものすごくハードルが高かったんだ。

まずビジネスを始めるためには、売るものがモノになるにせよ、サービスになるにせよ、土地を買うかレンタルをしてオフィスなり工場なりを設立しなくちゃいけない。

もちろん、そのためにはそれなりのお金が必要だから、自己資金がなければ銀行とか金融機関にお金を借りる必要がある。銀行は信用がなければお金を貸してくれないから、それだけの実績がなければこの段階でもう話は先に進まなくなっちゃうよね。

もし、銀行にお金を借りることができたとしても、人件費のコストはかなり大きい。モノやサービスを開発する人、営業チーム、マネジメント、マーケティング、事務員……それぞれ担当してくれる人を探す必要もある。そして、せっかくいいモノやサービスを開発しても、宣伝をしなかったらお客さんに気づいてもらえない。

だけど、この時代に情報発信をしようとしたら、新聞、テレビ、雑誌、本、ラジオとかのマスメディアに頼るしかなかった。そこで情報を載せようとしたら、その内容をマスメディアに認めてもらわなくちゃいけないし、もちろん広告宣伝費も結構な金額がかかる。

こういういくつもの高いハードルを考えたら、自分の好きなことでビジネスをしようなんて、なかなか思わないだろうし、実際にやる人も少なかったんだ。

そもそも高度経済成長期やバブル時代は、「自分たちが日本経済を背負っている」という意識や誇りを持って仕事をしていた人が多かったと思う。実際、そういう人たちの力で日本経済は大きく成長したんだし、そんな誇りを持っていたら、会社を辞めて「自分の好きなことを仕事にしよう」という意識が生まれることもほとんどなかっただろう。でも、時代はまた大きく変わり続ける。


ちょっと面白いデータを紹介したい。ギャラップっていうアメリカ最大級の調査会社が全世界1300万人を対象に、「仕事に対する熱意」や「仕事の幸福度」を調べた2017年のリポートがある。

この調査で日本企業は139ヶ国中、132位っていう最下位レベルだったんだ。日本企業の「やる気のない社員」の割合は70パーセント、「周囲に不満を撒き散らしている無気力な社員」は24パーセント。そして「熱意あふれる社員」はなんと、たったの6パーセントという結果が出た。ちなみにアメリカ企業の「熱意あふれる社員」の割合は32パーセント。これは結構衝撃的な数字だよね。

なんでこんなことになったのかっていうと、やっぱりバブルが崩壊してから労働環境や条件が大きく変わっていったのに、働いている人たちの意識がついていかなかったからだと思う。

平成になっても昭和の働き方をしていたということ。日本の経済を支えていたモノづくりもコストがもっと安い中国、東南アジアに移っていくなかで、日本はモノづくりを復活させようと頑張っていたけど、経済はバブル前と比べて全然復活しないという状況が今もまだ続いている。


著=クリス・モンセン

カテゴリ:スキルUP
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そろそろ、大好きなことで生きていこうよ!

そろそろ、大好きなことで生きていこうよ!

作者: クリス・モンセン
出版社/メーカー: 宝島社
発売日: 2019-08-21
メディア: 単行本

【著者紹介】クリス・モンセン
1980年生まれのカナダ人クォーターで、現在は株式会社LighthouseのCEO。日本に帰国後、非常に厳しい環境の下で働いた経験を機に、仕事や働き方に対して問題提起をするとともに、グローバルな知識に軸を置いた教育を提供している。

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