スキルUP

成長企業の共通項「デザイン」「BTC型人材」って何だ?

名だたるグローバル企業が経営陣にデザイナーを加えはじめた現在、ビジネスの世界では「デザイン」がホットワードに。そして、イノベーションを起こす従来のビジネス・テクノロジーにクリエイティブを加えた「BTC型人材」に注目が集まっている。「デザイン」と「BTC型人材」について学んでおこう。

2018年、経産省と特許庁が「『デザイン経営』宣言」を発表した。ビジネスマンにとって「デザイン」は、これまで以上に理解しておくべきキーワードとなっている。

そんな中、「『デザイン経営』宣言」策定のコアメンバーであるテクノロジーデザイナー・田川欣哉氏のセミナーが、グロービス経営大学院の主催で行われた。田川氏は、日本政府の地域経済分析システムのプロトタイピング、メルカリのデザインアドバイザリなどのプロジェクトなども手掛けてきた人物である。

田川氏の著書『イノベーション・スキルセット~世界が求めるBTC型人材とその手引き』(大和書房)の解説と、同大学院の経営研究科研究科長・田久保善彦氏のディスカッションにて構成されたそのセミナーから、「デザイン」「BTC型人材」というホットワードについて学んでみよう。

セミナーの様子


デザインの歴史は産業革命とともに

デザインの歴史は、18世紀に起きた第1次産業革命までさかのぼる。

それまで手工業で作られていた製品が大量生産されるようになったこの時代、粗悪な製品があふれたため、品質や使い勝手、見栄えの悪さを改良する必要が出てきた。

こうして生まれたのが「デザイン」という考え方である。

以降、現在の第4次まで続く産業革命が起こるたび、デザインという言葉の意味、あり方も変わってきた。

デザインの意味が特に大きく変わったのが、第3次以降。それまでは椅子なら椅子、テレビならテレビといった具合に、一つの製品に求められる機能は基本ひとつであり、デザインはハードに限られた。

しかし、コンビューターの時代以降は多機能製品が当たり前。代表製品であるスマホを見ればわかるように、ハードに加えてアプリなどのソフトウェアデザイン、そして機械と人をつなげるインターフェースのデザインが重要になってきたのだ。

「デザイン」とは何か?

Takram代表取締役/英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート名誉フェローの田川欣哉氏
Takram代表取締役/英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート名誉フェローの田川欣哉氏

「デザイン」という言葉を田川流に定義すると、「人工のモノが人間の生活空間に入っていく。それを実現するために生み出されたもの」。

また、デザインと聞けば工業製品など形ある「モノ」のデザインがイメージされがちだが、実は体験やサービスまで、とにかくこれから新しく作られるすべてを含むという。

このように、デザインという言葉が持つ意味はあまりに広く、どこかつかみどころのないものとなっているのが実際のところだ。

そこで、「デザインという言葉は課題解決のためのデザインと、スタイルやブランドを作るデザインに分けて考えるべき」ということを覚えておいて欲しい。

イノベーションを起こしていく「BTC型人材」とは?

企業は成長するほどにルール、仕組みを守り、与えられた仕事を効率よくこなすオペレーション人材が増えるもの。

そうした人材も、会社を回していくのに大事な存在であることは間違いない。しかし、企業が時代の変化に対応し発展を続けるには、新しい価値を創造する原動力となるイノベーション人材が必要となる。

これまでは、ビジネスとテクノロジーそれぞれの領域を高解像度で理解し、結合させるスキルや経験、裁量をもったB(ビジネス)T(テクノロジー)型人材がエリートスキルとみなされ、イノベーターとして企業を牽引してきた。

しかし、これからはビジネステクノロジーをおさえているだけでは足りない、そこにクリエティビティを加えたトライアングルで考えるべきなのだ。

BTC型人材の図

このBUSINESSTECHNOROGY、そしてデザインを内包するCREATIVITYの3つが有機的に結合した姿が、第4次産業革命以降にイノベーションを起こすBTC型組織であり、その人物像が「BTC型人材」である。

ただし、これはすべての頂点を完璧にこなすような個人を目指せ、という話ではない。

これからは、デザイン・クリエティビティを軽視する企業、それぞれの部門に溝がある企業は立ち行かなくなる。デザインを専門に担う人材への注目が高まるとともに、ビジネスとクリエティビティの間の橋渡しとなる「ビジネスデザイン」、テクノロジーとクリエイティブの間の橋渡しとなる「デザインエンジニアリング」を担う人材が、注目を浴びるということである。

◇ ◇ ◇

グロービス経営大学院 経営研究科研究科長の田久保善彦氏
グロービス経営大学院 経営研究科研究科長の田久保善彦氏

田川氏と田久保氏の対談の中で、「ひと昔前まで『ビジネスパーソンにいま必要なのはITリテラシーだ』と盛んに言われていたように、デザインリテラシーも、近い将来、ビジネスパーソンにとっての必須スキルになる」と語られていたのが印象に残った。

ビジネス型、テクノロジー型の人間がデザインリテラシーを身につける方法、クリエイティブと関係を深める方法については、田川氏の著書で詳しく解説されているので、興味があれば一度読んでみることをおすすめする。


取材・構成=のび@びた

カテゴリ:スキルUP

【プロフィール】田川 欣哉(たがわ・きんや)
東京、ロンドン、ニューヨークをベースにさまざまなプロジェクトに取り組むデザイン・イノベーション・ファーム「Takram」代表取締役。グッドデザイン金賞、ニューヨーク近代美術館パーマネントコレクションなど受賞多数。英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート修士課程修了。同校では客員教授を務め、2018年には名誉フェローを授与された。

【著書紹介】『イノベーション・スキルセット~世界が求めるBTC型人材とその手引き』(大和書房)

【取材協力】グロービス経営大学院 東京校

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