「ペイペイドーム」誕生に賛否両論。一方、絶賛の声が相次いだのは?

「ネーミングライツ(命名権)」とは、スポンサー契約を結んだ企業が公共施設に対して新たな“愛称”を付与できる権利のこと。近年ではネーミングライツによって様々な施設の名称が変更され、大きな議論を呼んでいるようです。
「ヤフオクドーム」から「ペイペイドーム」へ
日本では2003年に「東京スタジアム」が「味の素スタジアム」という通称を獲得したことを皮切りに、数多くのスポーツ施設においてネーミングライツが行使されています。とくに野球場では2011年に「グリーンスタジアム神戸」が「ほっともっとフィールド神戸」に、2016年には「千葉マリンスタジアム」が「ZOZOマリンスタジアム」に変更されるなど、有名企業やブランドの名前が次々と導入されてきました。
そして11月1日には、福岡ソフトバンクホークスのホームである「福岡ヤフオク!ドーム」が来季から「福岡ペイペイドーム」へと改称されることに決定。ドームの設立以来、3度目となる名前の変更で、スマホ決済サービス「PayPay」の知名度をアップさせる狙いがあるといいます。
通称“ペイペイドーム”の誕生に対して複雑な心境を抱く野球ファンは多いようで、ネット上では「やっぱり球場名は所在地+ドームの組み合わせが一番しっくりくる」「ドームのことを街頭広告くらいにしか思ってないようで嫌だ」「もう少し地元やファンがどう受け取るかの目線があっても良い」といった声が続出。
また擁護する人からは「今は騒がれてるけど、どうせ何か月かしたらみんな慣れるでしょ」「ヤフオクドームだって最初は違和感があったし聞き慣れるかどうかの問題」などの意見が上がっていました。
ネーミングライツの成功と失敗
スポーツ施設に限らず、ネーミングライツ契約は賛否両論の反応を呼んでしまうケースが多いようです。たとえば「京都市美術館」のネーミングライツは電子機器メーカー「京セラ」に売却され、2020年3月のリニューアルオープンを目途に「京都市京セラ美術館」へと改称される予定。1933年に開設された歴史ある美術館の改名に、一部では「美術館に企業名が入るのは違和感がある」「やっぱり公立美術館にネーミングライツは似合わない」といった反応も上がっています。
その一方で絶賛の声が相次いだのは、「鳩サブレー」の販売で知られる企業・豊島屋がネーミングライツを取得した事例。豊島屋は2014年、神奈川県鎌倉市にある3つの海水浴場についてネーミングライツ契約を結びました。しかし公募の結果、名称を変えないでほしいという要望が多く寄せられたことを受けて、「由比ガ浜」「材木座」「腰越」と各海水浴場の名前を維持することに決定。ネーミングライツを取得してもその権利を行使しない、という異例の決定に驚きと称賛の声が殺到していました。
地域の人々によって愛されている公共施設だからこそ、名前を変更する際には慎重な判断が求められるのかもしれません。
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