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ロシアのサウナ外交に学べ!? 裸の密室コミュニケーション効果/人生を変えるサウナ術(8)

疲労回復、リフレッシュ効果、自律神経が鍛えられる……これからの時代を勝ち抜く最強のソリューション! ビジネスパーソンにこそ知ってほしいサウナの魅力を『人生を変えるサウナ術 なぜ、一流の経営者はサウナに行くのか?』(本田直之・松尾大著)よりご紹介します(第8回)。

ソーシャル的効用(1)心と身体の距離がゼロになる

バーで横並びになって飲んでいると、対面で向かい合っているときにはできないような本音の話をしてしまう。誰かとぱちぱちと音を立てるたき火を眺めていると、普段はしないような赤裸々な話をしてしまう。そんな経験はないだろうか。

サウナ室内での会話というのは、こうした会話の感覚に少し似ている。

一人でゆっくりサウナを嗜(たしな)むのも良いが、たまには誰かと一緒にサウナに行くのもいい。その他の場所でするのとはまた別の、新鮮なコミュニケーションがとれるからだ。

なぜサウナがこうしたコミュニケーション空間となり得るのかというと、「裸で入る密室の空間」という要素がやはり大きいだろう。

水着で入れる一部のサウナ施設を除いて、基本的にサウナに服を着たまま入ることは許されない。バスタオルやサウナパンツといった多少の逃げ場はあるにせよ、基本的には裸にならざるを得ないのだ。

人間の通常のコミュニケーションでは、まず相手の容姿や身なりから、目の前にいる人がどういう人なのかを無意識のうちに想像し、瞬時に判断している。

高級そうな衣服に身を包んでいれば「お金持ちで社会的にしっかりしていそうな人」という印象を持つし、逆にボロボロの身なりをしていたら「お金がないだけではなく何かヤバい、ちょっと危ない人なのかな?」という印象を持って自然と距離を取るかもしれない。

従って我々が、相手からそうした悪い印象を持たれないために、きちんとした衣服を着て身だしなみを整えたり、好きな異性にアピールするために少しばかり見栄を張るのは、ごくごく自然なことだろう。


しかしサウナの中ではそういうわけにはいかない。例えば、普段はかなり高級な衣服を身にまとっている社長の男性だって、一度サウナに入ってしまえば、すっぽんぽんのおじさんだ。いくら取り繕おうとしたって仕方が無い。

このようにしてサウナの中では、物理的にも文脈的にも自分を守っていた衣服という鎧が取り払われ、先入観や偏見を持たずにまっすぐ相手と向き合えるようになる。サウナ室内では誰もが平等で、いきなり親密なコミュニケーションをとることが可能になるのだ。


こうした感覚を知っている身からすると、サウナでのビジネスミーティングは究極の時短(時間短縮)になる。普通だったら何度も取引先の元に足を運んで相手の真意を徐々に探るところが、たった1回のサウナミーティングで相手の本音の一番近いところにたどり着ける、ということがあるからだ。

だから僕らは「初めて会う相手とまずサウナで出会う」ということも多い。サウナで裸の状態で出会って、サウナから出て服を着たときにもう一度会うと、「ああ、こういう感じの人だったの!?」と全く印象が変わって面白かったりもする。


日本ではこれまで、腹を割って話す場としては酒の席が重宝されてきた。

僕らも楽しく酒を飲むのは好きだし、仲良くなりたいなと想う人を誘うことはもちろんある。そして盛り上がってとても楽しいこともある。

しかし、誰かに寄り添いたいとき、仲良くなりたいときが、必ずしも盛り上がりたいときとは限らない。

落ち込んでいる仲間を勇気づけたい、励ましたい、などというときの酒は、しんみりしたりやけくそになったりで、その瞬間はまだいいとしても、翌日もバッチリ体に酒が残り、つらい思いをすることもある。

その点、サウナは健康的で、後に残るのは爽快感だけだ。

サウナに入って隣に座り、どちらからともなく思いついた話をしていると、それだけで心の距離は一足飛びにゼロになる。同じサウナで同じサウナストーブを見つめ、じゅーっと音をたてるロウリュの音に隣でじっと耳を傾ければ、一気に親しくなれるのだ。


ちなみに、ビジネスにおけるコミュニケーション空間としてサウナを積極的に活用したのが、ロシアという国だ。評論家の佐藤優氏の著書『知の教室 教養は最強の武器である』(文藝春秋)によれば、ロシアの大統領だったエリツィン氏は大のサウナ好きで、サウナ外交を盛んに行っていたという。

ロシアでは、真の信頼を得ると互いのプライベートサウナに呼ばれる。ウォッカで酔って一緒にサウナに入り、そこに置いてある白樺の枝で互いの身体を叩き合って親交を深める。

サウナに共に入るということは「丸腰の私はあなたを攻撃しません、あなたも私を攻撃しませんよね」という"和平条約"を結ぶことであり、裸と裸の対等な関係で強い絆をつくることであるのだ。


女性の社会参画にともなって少し下火にはなってきているものの、フィンランドでもビジネスの接待やミーティングの場所としてもサウナが利用されてきた。企業のオフィスのみならず国会議事堂や世界各国のフィンランド大使館にもサウナがあり、サウナで賓客がもてなされる(もちろん東京・南麻布にあるフィンランド大使館にもサウナがあり、イベントの際には一般来訪者に解放されることもある)。

また、重要な決断をするミーティングがサウナ室内で行われたり「ちょっと議論が煮詰まってきたな」という場面の気分転換としてサウナが利用されることもある。


もちろん、ビジネスの現場から女性を排除しようというつもりは全くないが、やはり同性間でのコミュニケーションには特別なものがあり、そのための空間としてもサウナは最適なのだ。


著=本田 直之、松尾 大

カテゴリ:スキルUP

【著者紹介】本田 直之(ほんだ・なおゆき)
レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役。ハワイ、東京に拠点を構え、日米のベンチャー企業への投資育成事業を行いながら、ハワイ、東京、日本の地域、ヨーロッパを中心にオセアニア・アジア等の国々を食とサウナを巡る旅をしている。

【著者紹介】松尾 大(まつお・だい)
サウナー専門ブランド・TTNE株式会社代表。世界各地のサウナを渡り歩き、サウナに関する執筆、TV、ラジオ、CM、イベント、デザイン性豊かなサウナ室のプロデュース等に関わっている。“ととのえ親方”の愛称で親しまれる。

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