スキルUP

意見が異なる相手は「敵」じゃない! 叩き潰さずとも主張はできる/私だけの選択(10)

“自分の意思で選択する”ことが、大きな価値になる! 惑わされずに生きたい人に贈る「自分らしい選択」の方法を、『私だけの選択をする22のルール あふれる情報におぼれる前に今すべきこと』(ハヤカワ五味著)よりご紹介します(最終回)。

フェミニストとフェミニストが対立する日

私はフェミニストです。

そう自己紹介すると、多くの人が一歩引いた目で見てしまうのではないでしょうか。これは日本国内で世間一般的に認識されているフェミニスト像が、一部の過激な発言に引っ張られているのだと思います。

さまざまな解釈や時代性があるものの、そもそもフェミニズムは、女性が参政権を持てないなど、性差別によって起こる格差をなくしていき、平等に権利を行使できる社会の実現を目指すためのものであるはずです。これが日本ではなぜか「男性以上の権利を女性に与えるように要求している」と捉えられてしまっています。

そのような解釈になってしまう根底にも、女性に対するジェンダー・バイアスがあるのではないかと思うのです。

たとえば、女性が怒りを露(あら)わにすると「女性はすぐ感情的になる」とひと括りにラベリングする人がいます。でもよく考えてみると、怒りの感情は男女関係なく存在します。そして、沸点は人それぞれであり、性別で区別できるものではありません。感情的にならない女性もいれば、感情的な男性もいます。


ラベリングといえば、女性が結婚や育児を理由に会社を辞めたり、休暇を取ったりする場合、「もともと子どもができたら辞める気だったんだろう」「女の幸せに目覚めたんだろう」というように、批判的に言う人がいるのもどうなのかなと思います。

残念ながら今の日本社会では、同じ能力であっても女性のほうが男性より給料が低い傾向にあります。ですから女性が家庭に入るという選択をすることには、ある程度の妥当性があるのです。経済合理性の面から家庭に入ることを選んだ人もいるのに、それと女性の感情の面をごちゃ混ぜにして議論するのはいかがなものでしょうか。


「女性=感情的」と捉えられてしまうのは偏見による部分が多くありますが、ただの偏見ではなくそれが学者によって論じられていたという歴史背景も忘れてはなりません。

感情的な葛藤が原因で現れる病的な症状をさす「ヒステリー」は、そもそも「子宮」を意味する古典ギリシア語に由来する言葉です。現代でこそヒステリーは男女共に認められますが、当時は脳や精神の機能について知られていなかったため、婦人科系の病気だということで子宮に関連づけられたそうです。

ちなみにその頃は、宗教上、女性が性行為を望むことは異常だとされたため、そのような欲求不満からくる行動はヒステリーであり病気であるとされていました。逆に性欲がなければないで、それはまた別の病気とされていた説もあります。なんでもありですね。


そのように、ジェンダーギャップには気が遠くなるような歴史があり、ジェンダーによってできないことがあり、選択肢も決められていた過去があるのです。

では現在はどういう状況なのでしょうか。ひとまずは、ルール上で平等性が確保されつつあり、今までのように「女性にも参政権を」とか「人間としての権利を」という共通した大目標は大方達成されています。そして「ジェンダー平等」や「フェミニズム」と一言で表しても、それぞれの思想に合わせた主義主張にかなり細かく分岐してきているように思います。

私はフェミニズムのなかでもリベラル寄り(一般には個人主義的とされている)の主張に共感することが多いのですが、国内の大きなフェミニズムトレンドのなかではリベラル派閥は少ないので、そこから見ると「フェミニストと名乗りづらいな」と思う瞬間もあります。

同じフェミニストであっても考え方が多様化しているので、私のようなリベラル寄りの主張に反対する人ももちろんいます。ですが、大別すれば同じ派閥のなかで、どっちの主張が正しいかを叩き合っても意味がないのではないでしょうか。

途中まで歩む道が同じであれば、そこまでは手を取り合って共にものごとを進めてもいいと思うし、歩んでいくなかでお互いの意見がブレーキになりながらも、より良い最終形態を目指していくのがベストだと思います。

同調する意見はもちろん心地いいですし、たくさん摂取したくなる気持ちもあります。ただ、100%同じ意見は絶対に存在し得ないので、アクセルになる意見と共にブレーキになる反対意見も取り入れられる人が増えたらいいなと最近感じます。


自分と意見が異なる相手は「敵」ではありません。

自分の主張を通すために、異なる意見すべてを叩き潰す必要はないのです。「私はそうじゃないと思う」と発言する、それでいいのだと思います。イ・ミンギョン著『私たちにはことばが必要だ フェミニストは黙らない』(タバブックス)にも「すべての人に説明し説得する必要はない」と書いてありましたが、そういうことだと思っています。


著=ハヤカワ 五味

カテゴリ:スキルUP
Amazonで詳細を見る
私だけの選択をする22のルール あふれる情報におぼれる前に今すべきこと

私だけの選択をする22のルール あふれる情報におぼれる前に今すべきこと

作者: ハヤカワ 五味
出版社/メーカー: KADOKAWA
発売日: 2019-11-28
メディア: 単行本

【著者紹介】ハヤカワ 五味(はやかわ・ごみ)
1995年東京生まれ。株式会社ウツワ代表取締役社長。多摩美術大学入学後にワンピースブランド《GOMI HAYAKAWA》、2014年にランジェリーブランド《feast》、2016年にワンピースブランド《ダブルチャカ》を立ち上げる。2019年からは、生理から選択を考えるプロジェクト《illuminate》をスタート。

あなたへのオススメ記事

  • 事実私たちは飽きっぽくなっている! 多すぎる情報が集中力を奪う/私だけの選択(9)
  • 終身雇用は崩壊! 会社に安定を求めるより危機回避スキルを磨いて/私だけの選択(8)
  • 「マイルド貧困」が日本に定着。国外にもチャンスを求めるべき/私だけの選択(7)
  • 専業主婦は夢物語! 40年以上前の「当たり前」が何より難しい時代/私だけの選択(6)
  • 知っていたら自慢せずにはいられない! マニアックすぎる雑学クイズ

    知っていたら自慢せずにはいられない! マニアックすぎる雑学クイズ

  • 食通だったら全問正解!? 日本ならではの「食べもの」クイズ

    食通だったら全問正解!? 日本ならではの「食べもの」クイズ

  • その言い方、大丈夫? 上司&取引先への言葉遣いのマナー

    その言い方、大丈夫? 上司&取引先への言葉遣いのマナー

  • 知られざるエピソードにびっくり! ネーミングの秘密がわかるクイズ

    知られざるエピソードにびっくり! ネーミングの秘密がわかるクイズ

  • 喪服が黒なのはなぜ? 日本文化を深掘りするクイズ

    喪服が黒なのはなぜ? 日本文化を深掘りするクイズ

  • 観戦がもっと楽しくなる!? スポーツの英語雑学クイズ

    観戦がもっと楽しくなる!? スポーツの英語雑学クイズ

スキルUPの人気記事ランキング

  • 私の東大受験はネタ作りだって? 東大教授の最後の質問/ただの主婦が東大(49)

  • 思ってたのと違う…! 全然ねこじゃれないねこ/黒猫ろんと暮らしたら(2)

  • 天皇や皇族が海外へ行く際、パスポートはいる?/日本文化深堀りクイズ(18)

  • 「えっ、そこで寝るんだ…」はじめて迎えたドキドキの夜/黒猫ろんと暮らしたら(1)

  • 何かがおかしいと思っていたけど…はじめて知った衝撃の事実!/黒猫ろんと暮らしたら(3)

{ カテゴリ別ランキングを見る }

資格・スクール情報

  • 中小企業診断士とは? 試験&仕事内容を解説

    中小企業診断士の仕事内容は? 養成課程って何? 中小企業診断士について知っておきたいことを詳しく解説します。

    中小企業診断士とは? 試験&仕事内容を解説
  • 行政書士とは? 試験&仕事内容を詳しく解説

    行政書士って何? どんな仕事をするの? 試験の難易度は? 行政書士に関する素朴な疑問を解決します。

    行政書士とは? 試験&仕事内容を詳しく解説
ページトップに戻る