スキルUP

必要なのは「第三者の目」。「自分」を捨てて冷静に状況分析を!/ミスしても評価(4)

「やばい!」「しまった!」が最高のチャンスに変わる! 分析力、計画力、学習力、伝達力を上げる「ミス・失敗」の扱い方を、『ミスしても評価が高い人は、何をしているのか?』(飯野謙次著)よりご紹介します(第4回)。

(2)「自分が」という気持ちを捨てる
――ひとりでできることは少ない

状況を冷静に分析し対応するためには、第三者の目を持つことが大切です。ここでは、

「私は取り返しがつかないことをしてしまった」

という一人称の反省を抑え込んでください。


このタイミングで「自分が」「私は」という反省を抑え込んだほうがいいのには、2つの理由があります。

まず1点目は、「自分が」という自責の念に駆られていると、対応の適切なタイミングを逃してしまう場合があることです。不祥事の記者会見も、タイミングが遅れてしまえば、世間からの風当たりが強くなります。反省はもう少しあとでも遅くはありません。まずは状況の判断です。

2点目は、ビジネスの場面で起こるミスや失敗は、多くの場合、自分ひとりでは拾いきれないからです。

会社員の場合、ひとつのプロジェクトに対しても、多くの人が関わっています。そのため、自分のミスの影響が、社内の会ったこともない部署にまで伝播(でんぱ)している可能性もあります。その場合、手の届く範囲だけを自分で修復しても、そのミスの影響を拭い去ることはできません。あるいは、人の助けを得たほうが、よりよい結果に結び付くものもあります。

たとえば、社内のサーバーにあるエクセルやスプレッドシートの操作をしていたとします。「保存」と押した瞬間に、そのブックを参照していた他のブックのデータが壊れてしまうこともあります。その場合、自分の管理下にあるデータを修正するだけでは不十分で、参照しているすべてのデータを修正しなければいけません。そうなれば、参照しているファイルの管理者に対応を依頼するしかありません。


仕事上のミスは、自分のものではありません。グループのもの、部署のもの、組織のものです。

ひとりで抱え込んで考え出した対処法は、その場は無事に収まったように見えても、組織にとっては望ましくない方向を向いているかもしれません。

また別の人、とくに上司が対応したほうが、全体としてのコスト、つまり人件費が下がることは当然考えられます。会社員であるならば、あなたの作業にも人件費が伴うことを、忘れてはなりません。

「自分ひとりで対応できても、しないほうがいい」という場合も往々にしてあるのが、社会人のミス・失敗なのです。自分のミスや失敗は自分で何とかしなければ、という思い込みは捨てましょう。

「所要時間1分」――咄嗟の反応は「心の中」の問題

この2つ――冷静になり、「自分が」という気持ちを手放すこと――でステップ1は完了ですが、この2つは、失敗した人の「心の中」の問題です。ここでむやみに時間をかけてはいけません。


理想をいえば、ミスや失敗に気付いた瞬間にかえって冷静になり、ごく自然に「チームのもの」ととらえていただきたいところではありますが、その考え方を身につけるにもやはり、ある程度の慣れが必要です。

慣れるまでは、「ミスや失敗に気付いたらまず、ひと口水を飲む」など、その場の勢いだけで行動しないための自分流のルールをつくって、実践してみましょう。

私の知り合いは、ミスや失敗を発見し、焦ってしまうと、デスクのいすからガバッと立ち上がってしまう癖があるそうです。それに気づいてからは、「ガバッと立ち上がってしまったら、とりあえず座る」と意識することで、ミスや失敗が引き起こす強烈な焦りを受け流していると言っていました。


どんな対策をしていても、結局、ミスや失敗をしたときには、誰もが焦ってしまいますし、余計なことをしがちです。その現実に気付くだけでも、その後のミスの対応がしやすくなるはずです。


著=飯野 謙次

カテゴリ:スキルUP

【著者紹介】飯野 謙次(いいの・けんじ)
スタンフォード大学工学博士。東京大学特任研究員。失敗学会事務局長。スタンフォード大で機械工学・情報工学博士号を取得し、Ricoh Corp.へ入社。2000年、SYDROSE LPを設立、ゼネラルパートナーに就任 (現職)。2002年、特定非営利活動法人 失敗学会副会長となる。

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