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ある日突然、店長になったら? 駆け出しプレイング・マネージャーの心得/倉下忠憲

プレイング・マネージャーになったら、プレイヤーとマネージャーの仕事の両方を任されていると捉えましょう。そこで必要なのは、「仕事頭の切り替え」。著者の体験談をもとに、切り替え方をお伝えします。

この記事では、これまでプレイヤーの立場で仕事をしてきた人向けに、プレイング・マネージャーとして活躍するためのノウハウを紹介していきます。

仕事の内容が切り替わるので、それまでとは違った考え方が必要になります。その点こそが一番のポイントでもあり、プレイヤーとして有能な人がはまるトラップでもあります。

「考え方」をスイッチできるかどうか。それが鍵を握ります。

ある日突然、店長の名札を手渡されたら

皆さんは、どうしますか。ある日突然、店長の名札を手渡されたら。

たしか23歳の頃だったと思います。働いていたコンビニで、突然そのお店のオーナーさんから左上に小さく店長と書かれた名札を手渡され、「じゃあ、よろしく」と言われたのは。

23歳と言えば、入社一年目の新人さんと同じくらいの年齢で、もちろん右も左もわかっていません。幸い私は、18歳からコンビニでアルバイトをしており、業界での経験は5年ほどになっていましたが、そうは言っても若造であることは間違いありません。大丈夫かな、と疑心暗鬼にかられてしまったとしても仕方がないでしょう。

さらに厄介だったのは、そのお店にはもともと「店長」と呼べる人がいなかったことです。それまではオーナーが店長を兼任していたので、専属の店長の存在は私が初めてでした。それはつまり、先輩がいない、ということです。仕事習得の黄金パターン「見よう見まね」すらできません。

困りました。しかし、困っていても仕事は始まります。

結局、試行錯誤を重ねながら、「どんなことをすれば、自分は店長の仕事をしたと言えるのか」を考え続けることになりました。いろいろな本を読み漁りましたし、自分なりに工夫もたくさん加えました。もちろん、数え切れないほど壁にもぶつかりました。決してまっすぐな一本道ではなかったと思います。

でも、おそらくそれは良いことでもあったのでしょう。なぜなら、店長の仕事には「自分がやるべきことは何か」を考えることが含まれているからです。その仕事は、マネージャーの仕事の骨子とすら言えるかもしれません。

プレイヤーからマネージャーへ

日本の場合、優れたプレイヤーの中から、次のマネージャー候補が選抜される方式が一般的です。私の場合は、単なる人手不足が理由だったと思いますが、それはそれとして優秀なプレイヤーを抜擢したいと思うのは自然な判断でしょう。

しかし、それがなかなかうまくいきません。私も店長となり、たくさんのスタッフに「リーダー」の仕事を任せてきましたが、優秀なプレイヤーであっても、マネージャーとしての役割がはたせない事例をいくつもみてきました。むしろ、プレイヤーとして有能であるがゆえに、マネージャーとしての役割がはたせないという皮肉な状況があるのかもしれません。なにしろその二つはぜんぜん別の仕事なのです。

特に、完全にマネージャーになるのではなく、現場に残りつつマネジメントをまかされるプレイング・マネージャーであれば、なおさら困難は大きいでしょう。片方で、現場の仕事を日々要求されながら、もう片方ではマネジメントの仕事も要求される。考えてみると、なかなかハードな状況です。しかし、20代も後半になると、あるいは30代が迫ってくると、何かしらの形でこのような仕事が任される場面が増えてきます。

いったいどうしたらよいのでしょうか。

二つのスイッチング

道しるべは、二つあります。

一つは、仕事頭を切り換えることです。そのためには、プレイング・マネージャーを一つの大きな仕事として捉えるのではなく、プレイヤーの仕事とマネージャーの仕事の両方を任されていると捉えます。そのように捉えれば、これまでとは別種の仕事が必要になることがみえてくるでしょう。言い換えれば、そこで起きているのはステップアップではなく、ジョブチェンジなのです。

また、二つの仕事があると捉えることで、「これはプレイヤーとしての仕事だ」「これはマネージャーとしての仕事だ」と切り分けられるようになります。そうすると、どうしても手が回らないときなどは、一時的にマネージャーの仕事を捨ててプレイヤーに専念する選択もできるようになります。むろん、そうした判断もまたマネージャーの仕事です。

道しるべのもう一つは、仕事のやり方を切り替えることです。なにしろ仕事そのものが切り替わるのですから、仕事のやり方も切り替えなければなりません。

さらに言えば、これまでの仕事も残っているので、仕事量は単純に増加します。これまでの進め方に固執していたのでは、対応は難しいでしょう。新しい仕事に応じた新しいやり方が必要です。それを考えるためには、そもそもの「新しい仕事とは何か?」を見極める必要もあります。それもまたマネージャーの仕事です。

まとめ

今回は、単なる理論ではなく、私が長年考え、実践してきたことをお話ししてきました。

個々の状況において細かい差異はあるでしょうが、基本的な考え方はどのようなプレイング・マネージャーにおいても通用するはずです。

仕事量の増大や、これまでのやり方が通用しない苦しさなど、プレイング・マネージャーの皆さんが抱えている苦悩はたくさんあるでしょう。少しでもそれが軽減できるように、実践的なノウハウを紹介していきます。

倉下 忠憲

【著者紹介】倉下 忠憲(くらした・ただのり)
1980年、京都生まれ。ブログ「R-style」主宰。コンビニ業界で働きながら、マネジメントや時間・タスク管理についての研究を実地的に進める。その後、執筆業に転身。現在は書籍執筆やメルマガ運営を主とする物書き。著書に『EVERNOTE「超」仕事術』『Scrap box情報整理術』(C&R研究所)、『ハイブリッド発想術』(技術評論社)などがある。自分で出版を行うセルフパブリッシングも意欲的に取り組んでいる。
カテゴリ:スキルUP

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