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頭がパンクする前に! 駆け出しプレイング・マネージャーの「タスク管理術」/倉下忠憲

プレイング・マネージャーになると、業務を教えたり、他人をフォローすることも仕事になります。そこで活躍するのが、「やること」を管理するツール。今回はツールの3つのポイントをお伝えします。

プレイング・マネージャーになると、とにかく仕事が増えます。もともとのプレイヤーとしての仕事に加え、マネージャーの仕事も乗っかってくるのですから、それも当然でしょう。

しかも、単に統括的な分析作業だけでなく、他人の仕事を管理する、という仕事も増えます。業務を教えたり、他人をフォローすることも仕事の内に入ってきます。こうした仕事は、自身の努力だけでは達成できないので、扱いが簡単ではありません。

さらに、そうした新しい仕事は、たいてい不慣れです。パッとやってサッと終わるような熟練度はまだ得られていません。つまり、時間がかかります。

このような状況において、自分の「やること」すべてを、頭の中だけで管理できるでしょうか。かなり難しいと言わざるを得ません。

そこで、「やること」を管理するツールの出番です。

ツールの3つのポイント

正直に言って、使うツールは何だって構いません。環境によってはツールが選択できない場合もありますし、好みの問題もあります。「これが唯一の正解です」と言い切ったところであまり意味はないでしょう。

そこで、最低限押さえておきたいポイントを紹介しておきます。

・「やること」を一カ所に集められる
・「やること」を性質ごとに分けられる
・中長期以上の「やること」が管理できる

ポイント1:一極集中管理

まず、「やること」の一極集中管理です。

プレイング・マネージャーの「やること」は、さまざまな場所で発生します。作業をしているとき、誰かから相談されたとき、上司との話し合い、取引先からのオファー、エトセトラ、エトセトラ。

指示を待っているだけの頃であれば、タスクの発生源は限定的でしたが、プレイング・マネージャーの仕事には「現状において、何を仕事にするのか」を考えることも含まれるので、目につくもの・気がつくものすべてがタスクの発生源となります。

それらをうまく扱うためには、記録が欠かせません。脳内ですべて覚えておくのはほぼ不可能です。とは言え、気ままにバラバラの場所に記録してしまうと、抜けや漏れが高確率で発生します。それはミスやダンドリ不順を引き起こすので、ぜひとも避けたいところです。

アナログツールであれば、一冊の手帳かノートを決めて、必ずそこに書き込むようにするとよいでしょう。複数のツールを使う場合でも、母艦となる手帳やノートを決め、後からそこに転記する仕組みを作るのが良さそうです。

ともかく、どこかの一冊にすべてのメモが集まっている状況がベストです。

デジタルツールであれば、タスク管理に特化したツール(たとえばTodoist)を使うか、Evernoteなどのデジタルノートツールを使うのがよいでしょう。

場合によっては、WorkFlowyのようなアウトライナーをタスク管理のために使うこともできます。これらのツールは、パソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットからもアクセスできるので、メモが散らばる心配がありません。

ポイント2:作業の分別

そのようにして集めた「やること」は、それぞれに性質が違っています。

・喫緊自分がやるべきこと
・将来的にやっておきたいこと
・誰かに任せたい仕事
・提出したい企画案や改善案

これらを一緒くたにして扱うのは無理があるでしょう。リストを作って管理するにしても、それぞれを別のリストにして管理した方が適切です。

アナログツールであれば「やること」の性質に合わせたページを設定し、デジタルツールであればプロジェクトやノートブック作成して、「やること」のしかるべき居場所を作ってあげます。逆に言うと、そうした機能がないツールでは、なかなかタスク管理は実践しにくいものです。

ポイント3:ロングスパン・プロジェクト

プレイヤーの仕事には、「今日やって、今日成果が出る」タイプのものが多いのですが、マネージャーの仕事には短期では完結しないものがたくさんあります。おそらく、役職が上がれば上がるほど、「やること」が必要とする期間の長さは増えていく傾向があるでしょう。

プレイング・マネージャーにおいても、長いスパンで情報を扱える環境が必要です。手帳のその日のページに「やること」を書き、終わったら消す、というようなタスク管理では、対処できない業務が増えてきます。一ヶ月かそれ以上のスパンで計画を立て、実行を管理する。そのような視点が必要となります。

アナログツールであれば、長期的なプロジェクトに関しては専用のページを作りそこに情報を書き込んでいきましょう。デジタルツールでも同様に、プロジェクトの情報だけを扱う情報単位(ノートブック、フォルダ、プロジェクト)を作り、そこにさまざまな情報を入力していくことです。

これらは、事前の計画を練るためだけのものではありません。途中経過の進捗を管理するものであり、結果を保存するものでもあります。ここを見れば、該当のプロジェクトについては把握できる。そのような環境を目指しましょう。そうでないと、すべての状況を頭にたたき込まなければいけなくなります。あまり現実的とは言えません。

まとめ

おそらくプレイヤーの頃であれば、頭一つで「やること」は管理できていたでしょう。そもそもの「やること」の数が少なく、繰り返しがほとんどであれば、脳は労なくそのような作業を覚えてしまいます。

しかし、その頃と同じ感覚で、プレイング・マネージャーの仕事に取り組むと、間違いなくパンクします。仕事の内容は多岐にわたり、性質も異なり、達成までに要する期間も長くなります。数ヶ月に一回かしか発生しない作業や、特定のクレームが生じたときのみに必要になる手順といったものも出てくるので、脳内だけで対応しようとするのは無謀です。記録の力をうまく使っていきましょう。

また、そうした記録を2年、3年と続けていけば、そこには確かな資産が生まれます。かつての仕事の情報は、これからの仕事の情報として役立てられるのです。

記録の継続は、仕事の資産を生む。そう考えて「やること」をしっかり記録していきましょう。


倉下 忠憲

カテゴリ:スキルUP

【著者紹介】倉下 忠憲(くらした・ただのり)
1980年、京都生まれ。ブログ「R-style」主宰。コンビニ業界で働きながら、マネジメントや時間・タスク管理についての研究を実地的に進める。その後、執筆業に転身。現在は書籍執筆やメルマガ運営を主とする物書き。著書に『EVERNOTE「超」仕事術』『Scrap box情報整理術』(C&R研究所)、『ハイブリッド発想術』(技術評論社)などがある。自分で出版を行うセルフパブリッシングも意欲的に取り組んでいる。

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