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半年で18万部突破のベストセラー! 『1分で話せ』が示す「伝え方」の要点とは?/けいろー

人に話すときには、要点や関連要素を整理して短い時間で話すことで、相手に確実に伝えることができます。ベストセラー『1分で話せ』の要点を、けいろーさんが紹介します。

書店に並ぶ数多くの「コミュニケーション術」の本のなかで、本書のテーマは飛び抜けて簡潔明瞭です。

それは読んで字のごとく、「1分で話せ」というもの。

不要な話をして聞き手の意識を散漫にすることなく、短く適切な伝え方によって相手の記憶に印象づけるための考え方。それが本書『1分で話せ』のテーマです。

「人は、相手の話の80%は聞いていない」

『1分で話せ』が取り扱うのは、大勢の聴衆を前に話すプレゼンテーションの方法に限りません。上司や取引先と1対1で話すとき、会議のファシリテーションを行うときなど、広い意味でのコミュニケーションにおいて必要となる「伝え方」のスキル。本書はその考え方を紐解いた内容となっています。

話が思うように相手に伝わらず、もどかしい気持ちを抱いたことのある人は少なくないはず。仕事にせよ私生活にせよ、コミュニケーションとは得てしてうまくいかないものです。

しかし筆者によれば、そもそも「人は、相手の話の80%は聞いていない」のだそう。相手に話を聞く気がないケースは言うまでもありませんが、たとえ好意的かつ真剣に聞いてくれていたとしても、話した内容を完璧に覚えてもらうことはできないのだと指摘しています。

なぜなら、コミュニケーションとはそういうものだから。だからこそ、あらゆるコミュニケーションにおいてはこの前提を念頭に置きつつ、効果的な「伝え方」を検討しなければなりません。

8割方は聞いておらず、理解もしていない聞き手に対して、それでも伝えるべき事を伝え、相手の記憶に残すためにはどうすればいいのか。そしてそのうえで、相手に行動を起こさせるにはどうすればいいのか。ただ「伝える」だけで満足するのではなく、「コミュニケーションを通じて相手に動いてもらう」ことを目指す。それが、本書の目的のひとつです。

その目的を達成する手段として提示されているのが、タイトルにもある「1分で話す」という考え方。「どんな話でも『1分』で伝えることはできる」と仮定して、話を組み立てること。論理的な説明だけでなく、相手の感情に訴えかけるべく情熱を持って話すことの重要性を説いています。

言い換えれば、相手の「左脳」と「右脳」の両方に働きかけるような話し方。必要なのは人前で発表するスキルではなく、上手に話すスキルでもなく、人に「動いてもらう」ための力です。筆者はその力を「プレゼン力」と定義し、順を追って「伝え方」の本質を紐解いています。

ロジカルシンキングの基本「ピラミッドストラクチャー」

とはいえ、「たった1分で論理的に説明し、しかも感情に訴えかけるようなプレゼンができるの?」と疑問に思う人もいるかもしれません。伝えたい内容や場面によっても変わってくるかと思いますが、現実的に考えれば、何もかもを「1分」で話すのは難しいと言わざるを得ないでしょう。

では、筆者はどのような基準で「1分」という数字を提示しているのか。そこには、「話を『1分』にまとめて組み立てる能力が身につけば、『伝える力』も自然とアップする」という考え方があります。

説明口調で長々と話すのではなく、話の要点と関連する要素をあらかじめ整理したうえで、それを「1分」に落としこむ。もちろん、実際には5分、10分、30分ーーと時間をかけて話すことになるでしょうが、圧縮すれば「1分」でまとまるストーリーを描き出しておく。そうして簡潔明瞭なロジックを組み立てることができるようになれば、自然と「伝える力」も身につくーーというわけです。

そのための具体的な考え方として、前半では「ピラミッドストラクチャー」を紹介。これはロジカルシンキングの基礎とされる手法のひとつです。

ピラミッドの頂点に「主張(結論)」を据えて、その下に複数の「根拠」を並べるイメージ。特にコミュニケーションにおいては、これら「結論」と「根拠」のセットを伝えることの骨組みとして構築しておくことで、話の説得力を高められるーーというメリットがあります。

この考え方は文章術や会話術ともつながるため、なんとなく聞き覚えのある人もいるかもしれません。ですが、本書ではそれを「1分」という短い単位で考えるため、説明もよりわかりやすく、理解しやすいように感じられました。

前半に説明したピラミッドストラクチャーを中核に据えつつ、本書の後半では「1分」で動いてもらうための具体的な方法を紹介していきます。以下、目次に並ぶ小見出しの一部を抜粋させていただきましたので、気になる項目がありましたら、ぜひ実際に手にとって読んでみてください。

・根拠は3つーーピラミッドで「枠組み」を共有しよう
・頑張ったことは話すな!ーー話が伝わらなくなる4つの謎
・正しいことを言うだけでは、人は動かない
・人は、イメージを想像することで、感情が揺さぶられる
・「超一言」で包み込む
・「リトルホンダ」を作るーーいかに「相手の立場」に立って話すか

18万部突破のベストセラー

2018年3月の刊行以来、すでに18万部を突破するベストセラーとなっている本書。テーマがはっきりしており、説明も非常にわかりやすく、しかもビジネスシーンですぐに実践できる方法まで取り上げられているとなれば、その人気ぶりにも納得です。

ただ、あまりに「わかりやすすぎる」ために、読んでいて物足りなさを感じる人もなかにはいるかもしれません。特に後半に向かうほど表面的なテクニックが多くなり、また精神論に過ぎないように感じられる例も散見されるなど、若干の「粗さ」を感じられたのも事実です。

とはいえ、本書ほど簡潔明瞭な「伝え方」の本はほかに多くありません。プレゼンの大前提となるロジカルな考え方と、実際に「伝える」場面で欠かせないマインドの視点。双方をバランスよく取り上げた本としては、近年の新刊では随一と言えるのではないでしょうか。

もしも物足りなさを感じたーー特に「ロジカル」の部分で説明不足に感じたーーのであれば、より具体的な方法を掘り下げて説明したプレゼン術の本も併読することをおすすめします。先日ご紹介した『世界No.1プレゼン術』とも相性が良いと感じましたので、よかったらあわせてどうぞ。

けいろー

【著者紹介】けいろー
フリーライター。ネットカルチャーを愛するゆとり世代。新卒入社したメーカーを退職後、趣味で始めたブログ「ぐるりみち。」経由で仕事をもらえるようになり、ノリと勢いで独立。本、グルメ、街歩き、旅行、ネット、アニメなどに関心あり。執筆実績として『HATSUNE MIKU EXPO 2016 Japan Tour』公式パンフレットなど。バーチャルな存在になりたい。

【書籍紹介】
『1分で話せ 世界のトップが絶賛した大事なことだけシンプルに伝える技術』

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