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もはやAI活用は必要不可欠―優秀なビジネスマンは英語の前にAIプログラミングを学べ!/石川聡彦【後編】

エンジニア向けAIプログラミング学習サービス「Aidemy」を提供するアイデミーのCEO・石川聡彦さんが、「データの活用」という視点から、プログラミングを学ぶ必要性を語ります。

人工知能時代のデータ活用方法

前編では、21世紀のスタンダードをつくる産業として「ソフトウェア産業」について触れました。後編では、ソフトウェアのなかでも「人工知能」に特化して、なぜ皆さんに接して欲しいのか紹介したいと思います。

さて、「人工知能」とは何でしょうか? さまざまな言葉の定義がありますが、「人間らしい振る舞いをするソフトウェア」のことを人工知能と呼ぶことが多いです。人工知能という言葉は多義なので、今回は人工知能の一分野「機械学習」について考えてみたいと思います。

「機械学習」とは、大量のデータをベースに、コンピュータが自動的にルールを学習して、判断を行う技術です。Alpha GOが囲碁で人間に勝利したのは記憶に新しいでしょう。ここで使われている同じ「深層強化学習」というアルゴリズムは、自動運転などで応用されています。

2018年現在の「人工知能ブーム」は、ディープラーニングというアルゴリズムによって大きく発展しました。このブームが始まったきっかけは、アルゴリズムの存在だけではなく、データに大量アクセスが可能になった背景があります。

2009年には0.8兆GBしかアクセスできなかったデータが、2013年には4.4兆GB、2020年には44兆GBものデータが扱えるのです。

さて、この膨大なデータはどのように活用されるのでしょうか? 私は、この10年で新たに無形固定資産としての「データ」の活用が生まれたと考えています。

無形固定資産としての「データ」

前編で、サンフランシスコで、タクシー会社が破綻したニュースについて触れました。この要因としては、ユーザーがUber(ウーバー)を使うようになり、タクシーの利用者数が減少したことが指摘されています。

タクシー業界を破壊したUberの強みは何でしょうか? 多くの人は「C2Cによるマッチング」を挙げます。

つまり、いままでタクシーを運転するには特別なライセンスと車両が必要だったのに、Uberの登場によって、自家用車を持つ誰しもがタクシーの運転手と同じ仕事ができるようになったのです。さらに、レーティング評価によって安心・安全まで担保されるようになった、という指摘です。

もちろん、そういった側面もありますが、それだけではありません。Uberには、膨大なデータを活用して、他社には真似できないソリューションがあるのです。

まず「ダイナミックプライシング」が挙げられるでしょう。これは、需要と供給によってUberの利用料金が変化するシステムです。

例えば、空港からシティまで、通常40ドル程度で移動できる場合でも、需要が高いか供給が少ない場合、その10%増しの44ドル、50%増しの60ドル、と価格が変わることがあるのです。

次に「需要予測によるUber運転手の誘導」があるのでしょう。これは、車の需要を予測し、運転手にどのエリアに行くと稼ぎやすいのか指示する機能を指します。

例えば、スタジアムで野球の試合が終了する直後には配車需要が増えます。このような需要予測をベースに、事前にどの地域に行くべきか指示するのです。

最後に「Uber Pool」です。これは、Uberの相乗りサービスです。

例えば、通常、移動に40ドルで移動できる距離も、3人で相乗りできれば、空港からシティまで約20ドルで移動できる仕組みがあるのです。ユーザーは半額の価格で移動できますし、運転手は20×3=60ドル、1.5倍の収益を得ることが可能になるのです。

このようなシステムを可能にしているのは、データです。

Uberの膨大な注文(乗車)ログ、人々のモビリティログ、さらに注文しなかったケースやキャンセルした場合のデータを分析し、このような新規事業を生み出し、ユーザーにメリットがある形でサービスに落とし込んでいます。

これは、データがないとできないことで、一朝一夕にはサービスを真似できません。これが本質的なUberの競争優位だと感じています。

つまり、Uberは「膨大なデータ」というBS(バランスシート)には乗らない無形固定資産を使って、新たなビジネスを創造し、さらに採算性を高めているのです。こうしたデータを使ってレバレッジを効かせるような経営が、AIによって可能になっているのです。

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基礎素養としてのプログラミング

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カテゴリ:スキルUP

【著者紹介】石川 聡彦(いしかわ・あきひこ)
株式会社アイデミー代表取締役CEO。
1992年生まれ。東京大学工学部卒。研究・実務でデータ解析に従事した経験を活かし、2017年より、人工知能エンジニアになるために必要な技術を学べるオンライン学習サービス「Aidemy」をリリース。「Aidemy」は正式公開後3ヶ月で会員登録数1万名、100万回以上の演習回数を記録。
さらに、早稲田大学リーディング理工学博士プログラムでは、AIプログラミング実践授業の講師も担当。

【書籍紹介】『人工知能プログラミングのための数学がわかる本』(KADOKAWA)
大人気「10秒で始める人工知能プログラミング学習サービス」の代表者がおくる、人工知能プログラミングに必要な数学を、やさしく学ぶ参考書。AIプログラミングに必要な高校数学・大学数学を、キホンの基本からおさらいするから、ニガテな人でも大丈夫。この1冊で、人工知能の数学がゼロからわかります。

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