スキルUP

キーワードは「自分上手になる」。『人生、このままでいいの?』/けいろー

自分が望む人生を送れているかを考えるには、自分自身に問いを重ねていくことが必要です。今回は自分と向き合うことのできる書籍『人生、このままでいいの?』をけいろーさんが紹介します。

突然ですが、質問です。

――あなたは、自分に素直に生きることができていますか?

もし、この問いに対して躊躇することなく頷けるなら、ここで回れ右していただいて構いません。本記事で紹介する本は、すでに「素直に生きる」ことができている人には不要かと思われますので。

ですが、もし首を横に振る人がいらっしゃったとしたら。また頷けるとしても、少し迷うようなことがありましたら――。毎日を楽しく生きるための手助けとして、本書が役立つかもしれません。

周囲の目を気にして自ら主張ができない人、なんとなく流されるままモヤモヤと日々を過ごしている人、自分を押し殺して何かに堪え忍んでいる人。

今回取り上げるのは、そんな人にとって指針となりうるかもしれない1冊『人生、このままでいいの?』(河田真誠著、CCCメディアハウス)です。

「答え」ではなく「問い」を徹底的に掘り下げる

「あなたに必要なものは『答え』ではなく『問い』だ」と断言する本書は、徹底して読者に「問い掛ける」1冊となっています。

人生を豊かにするための具体的なハウツーをストレートに示すのではなく、とにもかくにも読者に質問しまくる。多くのビジネス書のように、著者が導き出した「答え」を方法論としてまとめ上げた内容ではありません。

「答え」ではなく、読者に向けた「問い」をひたすら積み上げていく。それがこの、『人生、そのままでいいの?』という本です。

そんな本書は、ビジネス書としては少し異色と言えるかもしれません。一口に言えば「自分自身への質問の仕方」を紐解いた本であり、自己分析のハウツー本のような印象も受けます。書店では「就職」ジャンルの棚に並んでいてもおかしくないように感じました。

キーワードは、「自分上手になる」。

いつも無思考に他人の話を鵜呑みにするのではなく、周囲の意見や多数派に流されるばかりでもなく。毎日を楽しく過ごすために大切なのは、判断基準を「自分」に置く。つまり「自分に素直に生きる」ことであると、筆者は説いています。

「自分らしく生きる」と聞くと、若干の胡散臭さを感じる人もいるかもしれません。しかし、本書は何も「『自分らしさ』とは、こういうものだ!」と筆者の目線から押し付けるような内容ではありません。

なぜなら筆者は、読者に対して「問い掛ける」だけだからです。

そこに書かれているのは、読者へ向けた11の質問。よく見るQ&A形式のように「答え」を示すのではなく、個々の「Q」=「質問」の内容をそれぞれ掘り下げることで、読者の一人ひとりに「考える」ことを推奨するような構成になっています。どの「問い」にも明確な正解はなく、読者の数だけ「答え」がある。

本書の目的は、そうやって各々が「自問」することによって、自ずから「自分らしい生き方」に気づくことにあります。この本を手にした読者が向き合うのは、その筆者ではなく、自分自身。徹底的に自分と向き合い、あれこれと考えながら読むことのできる本書は、きっと読んだ人に多くの気づきをもたらしてくれるはずです。

感情をロジカルに分析して「なぜ」を掘り下げる

ところで先ほど、本書の印象を「自己分析のハウツー本」のようだと書きました。

たしかに本書は自己分析的な要素を含んでいますし、実際に学生が読んでも参考になるはずです。また、自分をより良い方向へと導くための本であると考えれば、自己啓発的な一面もあると言えるでしょう。

しかし、この本の特徴はそれだけではありません。「問い」の重要性を説き、「質問」を重ねることで読者各々に「答え」を導き出させようとする構成。そこには、感情論ではない論理的な考え方が垣間見えるのです。

先にも書いたように、本書は、書き手の目線で一方的に「答え」を示すことはしていません。順を追って「問う」ことで、常に読者の一人ひとりに「考えさせる」余白を設けています。しかも単に自問させるのではなく、「なぜ」を掘り下げ、問題点を整理したうえで解決策を探っていく。

つまり、1冊を通して論理的思考の基礎を踏まえた構成になっており、説得力があるんですよね。

しばしば感情論が先行してしまったり、妥当性や普遍性が感じられなかったりすることもある「自己啓発」のジャンルの本の中でも、本書はロジカルであるように感じられました。

自分に『いいね!』する?

たとえば、本文で提示される11の質問のひとつに、「今の自分に『いいね!』できるだろうか?」というものがあります。これは、日常の中でふと立ち止まり、「心から納得のいく人生を送れているかどうか」を見つめ直すための質問です。

正直なところ、「『いいね!』できているかどうか」という質問は漠然としすぎているように感じますし、そもそも「幸せ」の基準は人それぞれ。もし「いいね!」できていないとしても、その解決策もケースバイケース。そう考えると、あまり意味のある質問ではないように思えてきます。

そこで筆者は、「なぜ、自分に『いいね!』できないのか」という質問を重ねて問い掛けています。より具体的な問いを重ねていくことで、「いいね!」できない理由を掘り下げて明らかにしていこうというわけです。

しかも、ただ問い掛けるだけではなく、「『いいね!』できないのには、もしかしたらこういう理由があるのでは?」と、考えうるケースも例示しています。

そのうえで、もし「何が幸せかがわからない」から「いいね!」できないのならばこうしてみる、もし「過程を楽しめていない」から「いいね!」できないのならばこうしてみる、というように、解決策(の一例)もあわせて提案。「問い」に答えるのが難しい人のために、考え方のヒントを示している格好ですね。

懇切丁寧に説明して「答え」を示してしまえば、読者から「考える」機会を奪ってしまう。かと言って何も説明しなければ、自分では理由がわかっていない読者が迷ってしまう。

本書はその中間でバランスを取るべく、小さな「問い」でもって読者を手助けする構成になっています。

同時に、一人ひとりが自ずから「答え」にたどり着けるように配置された「問い」のある文章は、読者を自然と論理的思考に導くような構成となっているようにも読めました。

自分上手になるための「愛の選択」

感情を素直に表明することの大切さ。欲求に忠実になるために「捨てる」ことのススメ。未来へのワクワク感の育て方。義務感を好奇心へと変えるための心構え。悩みを前向きに捉えるための思考法。自己中心的ではない、でもわがままに幸せに生きるための考え方。

本書の11の質問に答えていくことで明らかになるのは、このような「自分上手になる」ための考え方です。

人生とは、取捨選択の積み重ね。場面場面に即したより良い選択をするための考え方を、「問い」によってひとつひとつ紐解いていきます。

11もの多彩な切り口で物事を考えていく本書ですが、その中にも垣間見える筆者の主張を一言でまとめるなら、「自分上手になるためには、愛の選択をすることが大切」である、という部分にあると言えそうです。

「○○するべき」という、周囲の人間の声や社会の価値観に強いられて選ぶ「怖れの選択」ではなく、「○○したい」という、自分の内側からこみ上げてきた素直な感情に由来する「愛の選択」をすること。

これはシンプルで大切な考え方はありますが、それゆえに実践するのは難しいもの。大勢の人間が暮らし、十人十色の価値観をすり合わせ、それをルールとして明文化し、うまくバランスを取ることで成り立っている社会。そんな環境においては、どうしても周囲の目を気にしてしまいがちです。

もちろんルールは守るべきものですし、自己中心的すぎるのもよくありません。その点は筆者もはっきりと断りを入れています。大切なのは、自己中に生きるのではなく、自分を大切にして物事を考えること。

筆者も繰り返し書いていますが、周囲の声は「ヒント」であっても、「答え」ではありません。ヒントはあくまでも答えを導くための判断材料に過ぎず、自身の意思を無視して周囲の声ばかりを聞いていたら、疲れてくるのも当然です。

そういう意味では、本書もまた「ヒント」のひとつに過ぎません。しかし、そこには押し付けるような「答え」はなく、一人ひとりに思考を促すような「問い」が並んでいます。

自分を基準に思考し、納得の行く「答え」を探すにあたって、本書はきっと多くの人の力になるはずです。

けいろー

【著者紹介】けいろー
フリーライター。ネットカルチャーを愛するゆとり世代。新卒入社したメーカーを退職後、趣味で始めたブログ「ぐるりみち。」経由で仕事をもらえるようになり、ノリと勢いで独立。本、グルメ、街歩き、旅行、ネット、アニメなどに関心あり。執筆実績として『HATSUNE MIKU EXPO 2016 Japan Tour』公式パンフレットなど。バーチャルな存在になりたい。

【書籍紹介】
『人生、このままでいいの?』

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