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“10年後の自分”を支える「知的生活」習慣化のコツ/堀正岳

あなたの知的生活は「設計」できる! 『知的生活の設計―――「10年後の自分」を支える83の戦略』(堀正岳著)で、ちょっとした習慣を続けるだけで知的生活を実現できる方法を学びましょう。今回は第1回目です。

知的生活は長期戦です。何カ月も、ときには何年も続く毎日の情報の刺激のなかから知的な積み上げは少しずつ形作られていきます。一見これはとてもつらそうな生き方に見えますが、知的生活のよしあしが運や才能だけで決まらないのは心強いことでもあります。

好きなこと、興味のあるものに向かってどれだけ日常の習慣として取り組めるかが重要なのですから、むしろ日々の調子を整え、長い目で知的積み上げが可能となる生活の習慣に注目すればいいわけです。

本連載ではそんな知的生活を支援する習慣や、テクニックや、ツールについてみてゆくことにしましょう。

知的生活のパターンを意識する

毎日のように仕事をし、帰宅してから知的生活のための活動をするという二重生活をしていると、やがて定番のパターンが見えてくるようになります。

それはたとえば何時までに帰宅すればその日の読書の目標を達成できる可能性が高くなるといった傾向や、何時までに原稿に取り掛かることができれば2000 字のブログ記事を書き上げることができるといった、日々の小さな成功と失敗の分かれ目となるパターンです。

大事なのは「もっと努力すれば」「もっとやる気があるなら」もっと読書や知的活動を積めるのにと自分を責めるのではなく、与えられた時間のなかで最適化されたパターンはどこにあるのかと探すことです。

たとえば私の場合、夜には原稿執筆などの作業を入れることが多いので、「読書をペースよく進めたいならば朝一番や、昼休みや、移動の時間といったタイミングで1日の目標の半分ほどを稼いでいなければ、夜にいくらやる気を出しても達成できないことのほうが多い」というパターンを過去の記録から把握しています。

あるいは1本のブログ記事を書くには記事の執筆と推敲と写真の選定を含めて平均で90 分がかかり、その日のネタが決まっていなければそれに平均で20 ~ 40 分を追加しなければいけないといったことも過去の経験からわかります。

まずはこうした毎日の活動について時計とストップウォッチをもって毎日計測してみることから始めてみることをおすすめします。1カ月のあいだ、読書を開始した時間と継続した時間を測定してみれば、満足のいく日と不満な日のそれぞれについてありがちなパターンが見えてくることでしょう。ほかにも計測できる習慣として:

1. 食事の時間と量:何時までに夕食をとればその後の時間が十分にとれる傾向にあったでしょうか? 食事の内容とその後の眠気に関係はあったか? といった傾向を調べます。

2. 就寝時間と睡眠時間:Apple Watch やMisfit Rayなどといったウェアラブルデバイスを利用して、就寝時間と睡眠の質を計測することで、何時までに眠ると最も疲れがとれるか、逆に何時以降まで夜更かしをすると危険か、夜に飲酒をしたりした場合の次の日の疲れの残り方といったパターンを調べられます。

3. 感情のモニタリング:家族と喧嘩をしたり、職場でストレスがあったりすると個人の知的生活も如実に影響をうけます。不安や苛立ちといったものを「感じるべきではない」と覆い隠すのではなく、手帳などに打ち明けて書き留めることでその存在を認めたうえで、意識的に休息や日常を取り戻すための時間を割り当てましょう。

もちろんこうしたパターンはその日の忙しさ、体調のよしあしだけでなく、夏か冬かといった季節の違いによっても変わります。日々の成功や失敗に一喜一憂するのではなく、まるで自分を観察対象であるかのように、知的生活の記録を取り続けることで成功のパターンを増やしていきましょう。

時間節約の習慣

どうしても私たちは時間の使い方には欲張りになりがちです。短い時間のなかに様々なものを詰め込み、時間が足りないと嘆くのは誰もが体験した悩みでしょう。

日々の習慣として重要なのはさらに細かい部分で時間を1分、2分といったように回収してゆくパターンをどれだけ取り入れることができるかです。

たとえばiPhoneを利用している方ならば、すぐに実践できるのが毎日の知的生活の時間帯での「通知ゼロ」の設定です。iOSの「おやすみモード」の時間帯は通常深夜に設定してあると思いますが、これを思い切って20 時といった早い時間から設定し、それ以降は一切の通知や着信も知らせないようにしてしまいます。この設定だけで、「よけいなメールやアプリの通知が何百回、何千回も集中力を途切れさせて、その都度復帰に数分がかかる」という時間のムダをなくすことができます。

ほかにも、後述するように手作業で行っていた活動を自動化したり、プログラミングやガジェットを利用して作業の軽減をしたりすることも、時間節約の視点で導入する習慣です。

たとえ1日に3 回、あわせて9 分程度の節約でも1 年でみれば約55時間の節約になりますし、これは慣れれば慣れるほどもっと多くの、もっと器用な節約の仕方を学べるものでもあります。

たとえ短い時間でも、常に近道を探す習慣を身につけることで、手に入るのは日に数ページの読書や、吟味することができた考えや、必要だった睡眠や、ほっと一息をつくことができる時間です。

長い目でみて同じ生活のパターンを繰り返すならば、そこには一瞬も必要のない時間のムダがあってはいけないのです。

常に武器をそろえておく

木を切り倒すのに忙しすぎるために、のこぎりの歯を研ぐ時間を惜しみ、かえって時間を失っている木こりの逸話をみなさんは聞いたことがあると思いますが、知的生活においても全体の5%ほどの時間は新分野の開拓や、新しいスキルの習得に当てておくと長期的なリターンが大きくなります。

これまで文字のブログしか書いたことがない人が動画編集を学ぶことで数年先にコンテンツの幅を広げることができたり、ふだんは挑戦しない本のジャンルを手にとって見ることによって新しい境地が開けたりといったように、投資のための時間は素敵な偶然を呼び込んでくれます。

たとえば私の場合、書斎に関連する文具やガジェット、知的生産に関係しそうなウェブサービス、アプリについては自分のアンテナに引っ掛かったものを必ず一通りは試すことにしています。すでに定番のツールを使っていたとしても、新しい視点で試すことはできないか、ツールが可能にしてくれる死角はないかをチェックするわけです。

そうすることでたとえばEvernoteとも出会いましたが、万が一Evernoteがなくなった場合でも致命的なダメージを受けないように常に移行手段についても目を配るようにしています。

新しいガジェットについても、新しいタイプの知的生活を可能にしてくれないか、いま苦労している部分をラクにしてくれないかという視点で試します。

よい戦士は武器の手入れを怠りません。ましてや、私たちは長い目でみた知的生活というくわだてに乗り出しているのです。勝ち筋のパターンを意識し、ムダを省いて、最適な武器を探すことは、長い目でみた勝率を、才能のあるなしにかかわらず高めてくれるのです。

 
 



著:堀 正岳

カテゴリ:スキルUP

【著者紹介】堀 正岳(ほり・まさたけ)
研究者・ブロガー。北極における気候変動を研究するかたわら、ライフハック、IT、文具などをテーマとしたブログ「Lifehacking.jp」を運営。知的生産、仕事術、ソーシャルメディアなどについて著書多数。理学博士。

【書籍紹介】『知的生活の設計―――「10年後の自分」を支える83の戦略』(KADOKAWA)
今日から始めることが「10年後の自分」を支える。
「趣味」「読書」「情報発信+情報整理」「書斎」「アプリ・ツール」「お金」まで……。毎日のちょっとした習慣を積み上げれば、誰でも知的生活を実現できる!

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