スキルUP

プレイングマネージャーのままな人、マネージャーになる人の違い/倉下忠憲

プレイング・マネージャーにはなれても、マネージャーにはなれない人には共通点があります。今回は倉下 忠憲さんが、マネージャーになるのに必要な3つのポイントを解説します。

日本企業の多くでは、最初はプレイヤーとして現場に投入され、その中で優秀な人がプレイング・マネージャーに取り上げられ、マネジメントの経験を積みながら少しずつ専業としてのマネージャーへの階段を登っていく、という流れになっています。

しかし、そうした組織はたいていピラミッド構造であり、上に行くほど役職の数は少なくなります。そうなると、「プレイング・マネージャーにはなったものの、マネージャーにはなれない」という場合も出てきます。

では、どのような人がマネージャーになり、どのような人がプレイング・マネージャーのままで留まるのでしょうか。今回は3つの特徴を挙げてみます。

広い視野を持つ

まず重要な点は、視点の広さです。以下の3つの視点が広くなければ、マネージャーは務まりません。

・一人のことではなく、チームのことが見えているか
・短期のことではなく、長期のことが見えているか
・単独のことではなく、相互的な影響のことが見えているか

こうした考えを持てる人ほど、マネージャーに向いています。逆にこの視野が広くなければ、なかなか専業としてのマネージャーはやっていけないでしょうし、仮に任されたとしても期待される成果は出せないでしょう。

この点に関しては、ある程度の訓練が役立ちます。日常的に広い視野を持っている人の話を聞く、あるいは著名な経営者の本を読むなどが有効です。

どのような視野で、どのようなスパンで、どのような思考法で物事に取り組んでいたのかに触れる。そうすれば、似たような思考法を自らに取り込むことができそうです。

他人の成果に関心を持つ

次に重要なのが、他人の成果に関してです。

いつまでたっても「自分が成果をあげる」ことにしか関心を持たない人は、プレイング・マネージャーからステップアップすることはできません。なにしろそこには、「プレイヤー魂」が強く残っているのですから、仕方がないでしょう。

マネージャーの仕事とは、「他の人に成果をあげてもらえるようにする」ことです。どれだけその人が優秀で、他人の3倍の成果をあげられるとしても、30人のチームをうまく機能させて得られる成果には敵わないでしょう。

逆に言えば、「自分の成果」に拘っている限り、「自分があげられる以上の成果」はあげられないことになります。

スタートしたばかりのベンチャーで、人手がまったく足りない状況ならば、プレイング・マネージャーにも、成果への貪欲さが求められるかもしれませんが、そうでないならば、自分が褒められるようなことに関心を持つのではなく、共に働いている人が褒められるようなことに関心を持つことが必要です。

システムに興味を持つ

最後に重要なのが、システム(制度)についてです。これは、ここまでに書いてきた2つのポイントとも関係しています。

自分ではなく、他の人に成果をあげてもらえるようにすること。そして、広い視野を持つこと。この2つを合わせて考えると、システム作りが重要なことに思い至ります。

たとえば、私が人に仕事を教えるのが得意だとしても、それだけでは「私が教えられる人」の数以上に広がることはありません。

しかし、その教え方をもとにマニュアルを作ればどうなるでしょうか。私以外の人にもそれができるようになり、教えたい情報は広く、長く伝わっていきます。これがシステム化です。

逆に言うと、システム化ができない限り、仕事は常に個人技に留まります。その人がいれば成立し、いなければ成立しない。そのような状況です。これはあまり広い視野とは言えないでしょう。

成果を長期的に、かつ大きくあげていくためには、システム作りは欠かせないポイントであり、その考え方ができないと、より重要なポストは任されそうにありません。

まとめ

以上、マネージャーを目指す上での3つのポイントを紹介してみました。

とは言え、最後に確認しておきたいことがあります。それは、「マネージャーが偉くて、プレイヤーが劣っている」というわけではないことです。

組織の構造的に、どうしてもマネージャーが偉い立場にはなってしまいますが、すべての人がマネージャーに適正があるわけではありません。人にはそれぞれ特性があり、個性があり、特徴があります。

中には「自分が成果をあげること」に強いこだわりを持つ人もいるでしょうし、だからこそプレイヤーとして大きな成果をあげることも考えられます。それを無理矢理変えてしまうのは、あまり良いことではありません。

そもそも有能なプレイヤーとマネージャーのどちらが企業に「貢献」しているかなど、測量できるものではないのです。いろいろな適正があり、いろいろな役割があります。

それを踏まえた上でなお、マネージャーを目指すなら、今回紹介したようなポイントを意識してみてください。


倉下 忠憲

カテゴリ:スキルUP

【著者紹介】倉下 忠憲(くらした・ただのり)
1980年、京都生まれ。ブログ「R-style」主宰。コンビニ業界で働きながら、マネジメントや時間・タスク管理についての研究を実地的に進める。その後、執筆業に転身。現在は書籍執筆やメルマガ運営を主とする物書き。著書に『EVERNOTE「超」仕事術』『Scrap box情報整理術』(C&R研究所)、『ハイブリッド発想術』(技術評論社)などがある。自分で出版を行うセルフパブリッシングも意欲的に取り組んでいる。

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