スキルUP

新米プレイング・マネージャーが読んでおくべきビジネス書/倉下忠憲

現場でマネジメントを実践するためには、日々の部下と関係のなかから、チームをうまく動かすやり方を見つけていくことが重要です。今回は書籍『リーダーになる人の たった1つの習慣』を紹介します。

プレイング・マネージャーになったら、マネジャー向けに書かれた本を読むことで、その仕事の進め方や考え方を学ぶ必要があります。

そこで今回は、福島正伸・著『リーダーになる人の たった1つの習慣』(KADOKAWA/中経出版)を取り上げ、プレイング・マネージャー向けのおすすめ書籍とその「読み方」をお伝えします。

2008年に出版された本書は、いわゆる「物語系ビジネス書」。約180ページと読みやすい仕上がりながら、マネージャーにとって大切なエッセンスが詰まった本です。

内容は、赤字が続くカラオケ店の再建を任された3人の企業家の卵たちが、さまざまな困難に直面しながらも、メンターの助けを借りて成長していく、というストーリーです。

今回はストーリーの中に登場する学びを、3つのポイントに絞ってそれを紹介してみましょう。

仕事を自主的に行なう環境を整える

「人は、権限で動くことはない。もし動いているようなら、動いているふりをしているだけだ。見てなきゃサボるね」(本書より)

マネージャーになると、他の人に命令できるようになります。

でも、その命令で本当に人が動いているのかは注意しておきたいところです。

表面的にはうまくいっているように見えて、自分の目の届かないところではどうなっているかはわかりません。

そして、そのような不確定要素を潰すために、より多くの管理や監視のために時間を使わざるを得なくなってきます。

こうなると、いつまで経っても忙しさは消えませんし、人が育つこともありません。

この点が「働いてもらう」と「働かせる」の大きな違いです。

極言すれば、「働かせている」マネジメントは二流と言えるでしょう。

上司がいなくても、しかるべき仕事を自主的に行なってくれるように環境を整えるのが良いマネージャーですし、またそれが成果を上げるための鍵にもなります。

理論よりも現場を見る

「店は店長がつくっているのではない。スタッフがつくっているんだよ。そして、現場のことは、スタッフが一番よくわかっている。スタッフがやる気にならない限り、店の業績は回復しない」(本書より)

本書はカラオケ店の話ですが、多くの企業で言えることでしょう。

お客さんと接し、空気を感じ、信頼を勝ち取ったり、また失ったりするのは、いずれも現場の最前線にいる人間です。

上司が事務室で息巻いていても、現場の士気が下がっていれば、現実的な数字が生まれることはありません。

その点をわかっていないマネージャーは、きっと自分の仕事にヤキモキしてしまうでしょう。

たいそうな「戦略」の理論を仕入れてきて、それで「成功」が手に入ると思ったら、まったくうまくいかない。そして、それをすべて現場のせいにしてしまう。

悲しいながらよくある話です。

まず人を見ること。そして、人に投資すること。そうしない限り、じりじりと状況は悪化していきます。

人を見て、人に投資することを避ければ、仮に経費は抑えられても、成長は望めません。

効率よりも価値を優先する

「五十嵐さん、効率を考える前に、気をつけておいた方がいいことがある。それはね、効率よりも価値を優先することだ。効率を優先するほど、魅力のない事業になってしまうからね」(本書より)

この点は難しい面があるかもしれません。だいたい上の方からは即物的な数字が求められ、それを達成するには効率化しかない、という局面は多々あります。

それでも、「効率よりも価値を優先する」ことは、頭の片隅に留めておきたいものです。

効率化し、経費を落とせば、たしかに表面的な利益はあがります。

しかし、企業の利益は顧客に価値を提供してこそです。それがなければ、どれだけ効率化しても、利益は生まれません。ものすごく効率的に運営されている、受注がゼロの工場をイメージしてください。あまりにも滑稽でしょう。

効率を優先するあまりに、提供できる価値を失ってしまえば、やがては売り上げにもダメージが発生し、どうしたって挽回できないようになってしまいます。

提供できる価値を作り、その後に効率化できる部分を効率化していく。この順番で考えないと、ビジネスは成立しません。

言い換えれば、ビジネスは「効率化ゲーム」ではないのです。その点は、マネージャーの立場だからこそ意識しておきたいものです。

「応用」の前に「基盤」を固める大事さ

以上、『リーダーになる人の たった1つの習慣』より3つのポイントを紹介しました。

世の中には、マネジメントや戦略について高尚な理論がありますが、それはいずれも、チームがチームとして機能していてはじめて実行できるものばかりです。

逆にいえば、チームが機能していなければ、どのような理論も砂上の楼閣でしかありません。そして、実際の現場では、そのチームが機能していないことが多いのです。

さまざまな「応用」に進んでいく前に、まず「基盤」を固めること。

本書は、そのために何を心がけたらいいのかを教えてくれる良書です。

倉下 忠憲

【著者紹介】倉下 忠憲(くらした・ただのり)
1980年、京都生まれ。ブログ「R-style」主宰。コンビニ業界で働きながら、マネジメントや時間・タスク管理についての研究を実地的に進める。その後、執筆業に転身。現在は書籍執筆やメルマガ運営を主とする物書き。著書に『EVERNOTE「超」仕事術』『Scrap box情報整理術』(C&R研究所)、『ハイブリッド発想術』(技術評論社)などがある。自分で出版を行うセルフパブリッシングも意欲的に取り組んでいる。

【書籍紹介】『リーダーになる人の たった1つの習慣』(KADOKAWA/中経出版)

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