スキルUP

残業ゼロはプレイング・マネージャーの“仕組み化”で実現できる/倉下忠憲

「働き方改革」で求められる残業ゼロのためには、プレイング・マネージャーの働きが不可欠。今回はブロガーの倉下忠憲さんが、残業ゼロの仕組み化について解説します。

「働き方改革」の旗のもと、残業の抑制がさまざまな業界で進んでいます。

とは言え、「残業をなくしましょう」と朝礼で声を掛けているだけで残業がなくなることはまずありません。

特に、それまで当たり前にように残業が発生していた場合はなおさらです。

たとえば、残業時間を「余計なカロリー」だと考えてみましょう。すると、残業の抑制はダイエット活動ということになります。朝起きて「体重を減らそう」と決意するだけで体重が減るならば、世の中のダイエット法はすべてゴミ箱直行でしょう。

決意があっても、日常の習慣が変わらない限りは、体重は増え続けていきます。残業も同じです。「残業しないように気をつける」だけでは、まずうまくいきません。

習慣的に残業が発生しているなら、その習慣にメスを入れるための「仕組み」が必須となります。

ここでは、現場とマネジメントの両方がわかるプレイング・マネージャーを想定しながら、マネージャーとして意識的に「残業をなくす」ことを目標に動き、その動きを支えるための仕組みを構築する考え方についてまとめていきます。

残業の抑制は「仕事の進め方」の変更を生む

まず、二つ押さえておきたいポイントがあります。

一つめは、残業の抑制は、多かれ少なかれ「仕事の進め方」の変更を生むということです。

それまでとまったく同じ仕事の進め方をしているにもかかわらず、残業がなくなった、というのはまずありえません。日常の食事や運動量が変わっていないのに、体重が減った、というのがまずないのと同じです。

そして人は、だいたいどんな人でも「慣れたやり方」を好みます。つまり、残業の抑制に向かって進んでいく途中では、だいたい軋轢(あつれき)が起きます。

ある程度の反発を見込んでいなければ、仕組み化は挫折するでしょう。

導入の成果は即座には現れない

二つめは、仕組み化の導入の成果は即座には現れないということです。導入の成果はじわじわと浸透し、ある地点から急に成果が出てくるような形になることがふつうです。

それは、新しい仕組みに慣れるために時間が必要なのと、当初は不信感があってなかなか十全に力を発揮してもらえないことが関係します。なんにせよ、忍耐強く取り組んでいく心構えが必要です。

仕組み化に必要な情報を持つ人々

残業を減らす心構えができたら、あとは実際の「仕組み化」です。

とは言え、残念ながらすべての職場環境に通用する絶対的な「仕組み」の方程式はありません。絶対的な「仕組み」があると信じ、現場の状況を無視して導入しようとすること自体が、大いなる無駄であり、残業の源です。

必要なのは、まず現場を見ることで、そこから改善のアイデアをひねり出すこと。これもマネージャーの仕事の一つです。

また、どれだけ職場環境が多様であっても、目指したい方向性は共通しています。

・より少ない時間で、これまでと同等の成果をあげられるようにする
・業務の維持・発展において不要な作業を減らしていく

これは、「健康的な食事と適度な運動をすれば体重は減らせます」くらいに当然な話に聞こえるでしょう。しかし、自分の職場で実践しようと思えば、「実際、仕事はどんなふうに動いているのか」を知る必要があります。

それを一番よく知っているのは、プレイヤーであり、また半分マネージャーであるプレイング・マネージャーということです。

「非効率」を減らしていこう

以上を踏まえた上で、「仕組み」として取り組みたいのが、以下の二つのです。

・非効率な作業を見つける
・非効率な作業を改善する方法を考える

効率性を上げるもっとも簡単な方法が、非効率な作業から非効率性を剥ぎ取ることです。非効率な作業を発見し、別の形に置き換えていくこと自体を業務の一つにしてしまえばよいのです。

たとえば、非効率だと思える作業、ミスをしやすい環境、滞ることが多い業務といったものを、プレイング・マネージャー自身で見つけ出します。あるいは部下に報告してもらうのです。

見つけ出した上で、どうすればそこから非効率性をはぎ取れるかを考えます。「メールを一斉送信する代わりに、ファイル共有を使ったり、社内wikiを整備したりするのはどうか」のようなかたちで、無駄と改善点を出していくわけです。

大切なのは、常に「無駄なことではないか? もっと効率的にできないか?」を考える視点を持ち、それを実際の業務に反映していくことです。

こうして徐々に仕事の進め方を変えていけば、次第に効果は上がってきます。

残業ゼロの近道は、地道な状況改善

以上、意識的に「残業をなくす」ことを目標に動き、さらに、その動きを支えるためのシステムを構築する考え方についてお話ししてきました。

「仕事の進め方」をまったく変えないままに、厳しい残業削減目標だけを設定しても、結局は「見えない残業」が発生するだけです。残業ゼロが求められる昨今だからこそ、着実な状況改善を進めていきましょう。

倉下 忠憲

【著者紹介】倉下 忠憲(くらした・ただのり)
1980年、京都生まれ。ブログ「R-style」主宰。コンビニ業界で働きながら、マネジメントや時間・タスク管理についての研究を実地的に進める。その後、執筆業に転身。現在は書籍執筆やメルマガ運営を主とする物書き。著書に『EVERNOTE「超」仕事術』『Scrap box情報整理術』(C&R研究所)、『ハイブリッド発想術』(技術評論社)などがある。自分で出版を行うセルフパブリッシングも意欲的に取り組んでいる。

★ビジネスに役立つヒントが満載「スキルUP」記事一覧はこちら
カテゴリ:スキルUP

関連記事

  • プレイング・マネージャーの思考力を倍増させるノート術/倉下忠憲
  • マネージャーが作るべき「プロジェクトノート」とは/倉下忠憲
  • たったひとつの冴えたマネジメント法をお探しのあなたへ/倉下忠憲
  • 良きプレイング・マネージャーはどうやって部下を育てるのか?/倉下忠憲
  • NEW
    パパ、ママ、すごい!って言われる 子どもに話したくなる雑学クイズ

    パパ、ママ、すごい!って言われる 子どもに話したくなる雑学クイズ

  • 今すぐ使える! 短い英語クイズ(後編)

    今すぐ使える! 短い英語クイズ(後編)

  • 社会人なら知っておきたい! 「経済学の名著」クイズ

    社会人なら知っておきたい! 「経済学の名著」クイズ

  • 今すぐ使える! 短い英語クイズ(前編)

    今すぐ使える! 短い英語クイズ(前編)

  • 解けば解くほど頭がよくなるクイズ 推理力、論理力、想像力を磨こう!

    解けば解くほど頭がよくなるクイズ 推理力、論理力、想像力を磨こう!

  • 通学派vsオンライン派 英会話の勉強を始めるならどっち?

    通学派vsオンライン派 英会話の勉強を始めるならどっち?

スキルUPの人気記事ランキング

  • 「年を取る」ことは「成長する」こと/「老後の不安」の9割は無駄①

  • 物事に取り組む時は「80%の力」でいい/「老後の不安」の9割は無駄②

  • 「あんなことがしたい」「ここに行きたい」という夢をもつ/「老後の不安」の9割は無駄③

  • 借金玉氏に聞く、発達障害でも「食える人」と「食えない人」の差とは?【前編】

  • 定年後の目標を立てるコツ/「老後の不安」の9割は無駄④

{ カテゴリ別ランキングを見る }

ページトップに戻る