スキルUP

絶対に「定時で帰る」職場をつくるための考え方/倉下忠憲

残業をなくすために必要なものの一つは、「絶対に定時に帰る」という強い意識です。今回はブロガーの倉下忠憲さんが、「絶対に定時に帰る」を達成するための段取りについて解説します。

「働き方改革」の旗のもと、残業の抑制がさまざまな業界で進んでいます。

残業を減らすために、現場では何が必要でしょうか。

まず確実に言えることは、「残業をなくしましょう」と声かけしているだけで残業がなくなることはないということです。残業はなくそうと決めない限り、なくなることはありません。

残業をなくすために必要なものの一つは、「絶対に定時に帰る」という強い意識です。

今回は「絶対に定時に帰る」を達成するための段取りについて解説します。

「パーキンソンの法則」に見る、時間の無駄遣いが発生する仕組み

最初に、「パーキンソンの法則」をご紹介します。

これはイギリスの政治学者シリル・ノースコート・パーキンソンが提唱した法則なのですが、その第一法則は以下のようになっています。

「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」

パーキンソンは、官僚機構の観察からこの法則を導き出したようですが、一般の仕事にもこの法則は実によく適合します。

30分の持ち時間があったとき、20分ほどで完成する内容であっても、どうでもいい細かい作業にこだわったり、多少のんびりしてとりかかることで、結局30分かかってしまう、ということは珍しくありません。

また、効率が重視されない会議においては、議題の決定を最速で行なうことよりも、その時間を目一杯使うことが当たり前になっていることがよくあります。

同じことは、特定の業務だけでなく、仕事全般にも言えます。

いざとなれば残業すればいいと考えていたら、いつまでたっても、効率化は進みません。残業の時間を満たすまで仕事の量は膨張してしまうのです。

この法則からも、残業をなくすために「定時に帰る」と強く決意することが有効であるということがおわかりになるかと思います。

「定時に帰る」と決めれば、「このままでは、定時では帰れない」→「作業が多すぎる」→「どうしたらいい?」と発想が導かれ、そこから効率化のための仕組みが活き始めます。

決意の次は仕組みづくり

ここで注意点があります。それは、決意だけで仕組みを変えなければ意味がないということです。最悪なのが、「定時に帰る」と決めるだけで、仕組みを一切整えないことです。

仕事の進め方や業務内容が変わっていないのに、残業がなくなることはありません。精神論だけでは片付かないのです。となると、持ち帰って仕事をするか、手抜きしてクオリティーを落とすしか方法はありません。

誰も望んでいない結果になっているにもかかわらず、数字上は残業がなくなり目標が達成されたかのように見えます。こういう「名ばかり残業ゼロ」を達成して喜んでいたのでは、マネージャーとして下の下です。

実際は多少無理矢理であっても、「定時に帰る」と決めてしまうことがスタートになります。

そして、その到達点に向けてどう仕事を調整していけばいいのかを考えていくのが、次の一歩です。

定時に帰るためにできる手段

ではここからは、定時に帰るためにできる手段を具体的に紹介していきます。「定時に帰る」ことを達成するための手段として、

・優先順位の低い仕事を、ばっさり切り捨てる
・事務作業に関わる効率を上げる
・ミスやトラブルなどによる+αの作業時間を抑制する

などが挙げられると思います。他にも、

・頭がよく働く時間帯に難しい仕事を振っておく
・簡易のミーティングや小まめな情報のやりとりで、遅れにすぐ対処できるようにする

といった細かいテクニックも一定の効果はあるでしょう。

区切りを細かく、定時に帰る

なかでも、「区切りを細かく入れる」ことは、定時で帰るために簡単に実行できる有効なノウハウです。

パーキンソンの第一法則を思い出してください。「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」。これを念頭におけば、「完成のために与えられた時間」を小さくすれば、膨張を抑制できることがわかります。

それは締切を前に倒すというのではなく、作業を大きな一つの固まりとして捉えるのではなく、分割して細かく捉える、ということです。

わかりやすく説明すれば、1時間で3つの作業をこなすのではなく、20分で1つの作業をこなすことを3つ設定するのです。

1時間で3つの作業だと、感覚的に時間がたくさんあるように感じられてしまうので、膨張率が高まります。区切りを細かくし、箱のサイズを小さくしておけば、膨張を抑えられるというわけです。

◇ ◇ ◇

以上、「絶対に定時に帰る」を達成するための段取りについて、その考え方や具体例を紹介しました。

「パーキンソンの法則」を念頭におきながら、区切りを細かくしつつ、定時に帰るためにできる様々な手段を試してみてください。

倉下 忠憲

カテゴリ:スキルUP
【著者紹介】倉下 忠憲(くらした・ただのり)
1980年、京都生まれ。ブログ「R-style」主宰。コンビニ業界で働きながら、マネジメントや時間・タスク管理についての研究を実地的に進める。その後、執筆業に転身。現在は書籍執筆やメルマガ運営を主とする物書き。著書に『EVERNOTE「超」仕事術』『Scrap box情報整理術』(C&R研究所)、『ハイブリッド発想術』(技術評論社)などがある。自分で出版を行うセルフパブリッシングも意欲的に取り組んでいる。

【書籍紹介】『リーダーになる人の たった1つの習慣』(KADOKAWA/中経出版)

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