スキルUP

無駄な作業を削減し、残業ゼロを目指すときの注意点/倉下忠憲

残業ゼロを目指し、無駄な作業をなくそうとしても、どれを削減したらいいか迷うもの。今回はブロガーの倉下忠憲さんが、職場の作業を削減するときの注意点について解説します。

「働き方改革」の旗のもと、残業の抑制がさまざまな業界で進んでいます。残業を減らすために、現場では何が必要でしょうか。

最初に考えるべきは、仕事のうち「無駄な作業」を発見し、減らすことです。

しかし、プレイング・マネージャーの立場からすると、「無駄な作業」をなくそうとしても、「どれを削減したらいいんだろう」と迷うもの。

そこで今回は、プレイング・マネージャーが無駄な作業を削減するときの注意点について解説していきます。

ポイント1:「無駄な作業」と「業務上必要な無駄」を区別する

まずは、残業を減らすために「無駄な作業を、ばっさり切り捨てる」際の注意点について考えてみましょう。

優先順位の低い仕事を切り捨てるといえば、一見簡単そうに見えます。

しかしこれは、ある程度仕事に精通してないと下せない判断です。なぜなら、「優先順位の低い仕事」を、マネージャー自身が見極めなければいけないからです。

たとえば、こんなケースがあります。

・スタッフの休憩時間が無駄だからとギリギリに切り詰めたら、結局疲れが溜まって能率が落ちてしまった……。

・雑談が無駄だからと思ってそれを禁止したら、コミュニケーションが悪くなってミスが増えたり、職場の空気が悪くなって定着率が落ちた……。

これらの例にあるように、一見無駄と思えることを削除した結果、見えない弊害が起きてしまう、ということがあります。

これらはいずれも「優先順位の低い仕事」ではなく、業務上必要な“無駄”だったということです。削るべきは、他のポイントだったというわけですね。

ポイント2:特定の人に集中させると危険

続いては、効率化を追求しすぎた結果、ハイリスクになっているケースにも注意しましょう。

ある業務がすごく得意な人がいたとして、業務の効率化のためにその人ばかりに同じ仕事を振っているとしたら、要注意です。

誰しも人間ですから、何かしらの事情で休んだりいなくなったりすることがあります。すると、その穴が空いてしまったときに、途端に業務全体がストップし、回復までにどうしようもなく時間がかかってしまう、ということが起こります。

事態を回復させるまでの時間が結果的に大損害になることもありますから、「無駄を省くため」「効率化のため」といって、特定の人に集中させすぎることは避けたいものです。

ポイント3:人材教育の時間を無駄扱いしない

単純な生産性指標で測定すれば、「教育」ほど時間を無駄にすることはありません。それ自体が何も生み出さず、生産性の高い人材の手が取られてしまうのですから、削りたくなるのも当然です。

しかし、教育を行わないことには、長期的な組織の安定や発展はありません。残業ゼロを目指すあまり、教育の機会がほとんどなくなり、結果的に人が育たない組織になってしまっては本末転倒です。

残業ゼロを追求しすぎるあまり、人材教育の時間を無駄扱いしないように気をつけましょう。

ポイント4:「すべて完璧」を諦めてみる

残業ゼロは、「すべてを完璧にやりとげる」という考えを捨て去らない限り、達成することはできません。

「あれもやっておこう、これもやっておこう」と諦めきれないと、仕事は後から後から追いかけてきます。

たとえば、翌日の会議のための資料を用意し、それを念入りに確認すること。もちろん重要ですが、全ての会議を完璧にミスなくやろうとすると、準備のためにたくさんの時間が必要になります。こうした「会議のための万全な準備」は、残業のもと。

残業ゼロのためには、こうした「やっておいたほうがいい仕事」も思い切って捨て去る姿勢が必要です。

◇ ◇ ◇

以上、仕事を削減するときの注意点について解説してきました。

マネージャーは、日頃から難しい判断を下さなければなりませんし、それが仕事だと考えるべきです。どんな作業を省き、どんな作業を残すのか。仕事をどう変化させ、どう進めていくのか。その都度、状況にあった判断が求められます。

できるだけ残業をなくしつつ、それでも必要なら負担にならない形で実施する。これを考え続けていくことが、マネージャーのマネージャーたる仕事なのだといえるでしょう。

倉下 忠憲

カテゴリ:スキルUP
【著者紹介】倉下 忠憲(くらした・ただのり)
1980年、京都生まれ。ブログ「R-style」主宰。コンビニ業界で働きながら、マネジメントや時間・タスク管理についての研究を実地的に進める。その後、執筆業に転身。現在は書籍執筆やメルマガ運営を主とする物書き。著書に『EVERNOTE「超」仕事術』『Scrap box情報整理術』(C&R研究所)、『ハイブリッド発想術』(技術評論社)などがある。自分で出版を行うセルフパブリッシングも意欲的に取り組んでいる。

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