スキルUP

マネージャーが作るべき「プロジェクトノート」とは/倉下忠憲

プレイング・マネージャーが担当する長期の仕事では「プロジェクトノート」を使った管理が有効です。今回はこの「プロジェクトノート」の作り方についてブログ「R-style」 の倉下忠憲さんが解説します。

プレイヤーからプレイング・マネージャーになると、任される仕事の期間や規模が大きくなります。

例えば、数年かかるプロジェクトを任されることもあるかもしれません。

1ヶ月かけて面接を行い採用を決定したり、来期を見据えて今から少しずつ在庫調整を行ったり、3ヶ月で売り場をリニューアルするなど、長いスパンとステップを必要とする仕事を任されるようになります。

こうした長期の仕事に関しては、頭だけで覚えておくのではなく、何かしらのツールを使って情報を管理したいところです。

管理ができていないと、段取りが悪くなったり、ミスが増えたりして、リカバーのための余計な時間が必要となります。ミスが多いマネージャーになってしまうと、部下からの印象も悪くなり、信頼を勝ち取るのも難しくなるでしょう。

そこでおすすめしたいのが、「プロジェクトノート」とよばれるものです。

中長期的な仕事に関しては、必ずこの「プロジェクトノート」を作るように心がけていきましょう。

「プロジェクトノート」には何を書くのか

「プロジェクトノート」と聞くと、いかにも大仰そうなイメージがありますが、そんなことはありません。プロジェクトノートは、ごくシンプルなもので済みます。

記入内容は、主に以下の4点です。

・何をしようとしているのか
・実際に何をしたのか
・どんな結果になったのか
・どんな問題が起きたのか

以下、それぞれ解説していきます。

記入点1. 何をしようとしているのか

まず、実際に行動を起こす前に、そのプロジェクトを達成するためにどんな行動が必要なのかをリストアップします。これが適切に行えれば、その後の段取りもスムーズにいきます。

ただし、やりはじめたばかりでは、いきなり完璧にリストアップするのは難しいでしょう。

まずは自分が思いつく限りの必要な行動を書き出す、という目標で十分です。

また、この作業では、「なぜそれをしようとしているのか?」についても意識を向けておくことが大切です。

たとえば、業務の効率化のために紙の資料の電子化を進めるプロジェクトがあるとします。手順を確認することも大切ですが、「そもそもその資料は保存しておく必要があるのか?」といった少し上の視点からの考えを持つことも必要になります。

もちろん裁量が小さい状況では、そのような疑問を施策に反映させることは難しいでしょうが、少しずつ階段を登っていけば、そうして考える力は必ず役立つようになります。

早め早めから、大局的に考えるトレーニングを積んでおきましょう。

記入点2. 実際に何をしたのか

作業がリストアップできれば、それに実行順をつけたり、メンバーに作業を割り振ったりできるようになります。

自分ひとりで実行する作業であっても、そうした優先順位や割り振りは重要です。

作業の割り振りができないと、「たくさん作業を予定していた日に、経費の精算の日が重なる」といった悲劇が生じます。段取りは大切です。

ただし、リストアップしたらノートの役割が終わりになるわけではありません。プロジェクトノートには、実際にどんな行動を取ったのかについても記録を残していきましょう。

記入点3. どんな結果になったのか

プロジェクトが終了した後に、少し振り返りながら、どんな結果になったのかを書き残したり、あるいはどんな問題が発生し、それにどう対処したのかも記録しておくとよいでしょう。

こうした記録は、存在しなくても支障はありません。なにせ、もうプロジェクトは無事終了しているのです。

でも、だからこそ、意識的に記録を残すことは有効です。なぜなら、そうした記録が、似たプロジェクトの起草に役立つからです。

一般的な仕事において、毎回毎回まったく新しいプロジェクトが発生する、ということは稀でしょう。だいたいは、何かしら似た要素・共通点を持つプロジェクトが繰り返されることになります。

記入点4. どんな問題が起きたのか

プロジェクト終了後に記録する際には、どんな結果になったのかと合わせて、どんな問題が起きたのかも記録しておきましょう。

次のプロジェクトにとりかかるときは、最初に「何をしようとしているのか」を書き出します。そのときに、過去のプロジェクトで発生した問題点が残っていればどうでしょうか。

起こりがちな問題、問題の解決方法、問題を防ぐために必要な行動について、データがそこにあることになります。そうしたデータを用いた方が、より段取りの精度は高まるでしょう。

その意味で、プロジェクトノートは、そのプロジェクトをうまく達成させるためだけでなく、将来的なプロジェクトの成否にも影響を与えるのです。

プロジェクトに関する情報はすべてノートに集める

今回は4点のポイントを挙げました。

紹介したポイント以外にも、そのプロジェクトに関する情報はすべてそのノートに集めるようにすると効率的でしょう。

追加されたタスク、思いついたアイデア、役立ちそうな新聞や雑誌の切り抜きなど、役立ちそうな情報は多種多様です。情報が一カ所に集まっていることで、効率的に使っていけるようになります。

プロジェクトノートは、いわば一種の基地です。プロジェクトを前進させるための、情報ベースです。

その情報ベースを少しずつ育てていく感覚で、ノートに書き込んでいくとよいでしょう。

倉下 忠憲

カテゴリ:スキルUP
【著者紹介】倉下 忠憲(くらした・ただのり)
1980年、京都生まれ。ブログ「R-style」主宰。コンビニ業界で働きながら、マネジメントや時間・タスク管理についての研究を実地的に進める。その後、執筆業に転身。現在は書籍執筆やメルマガ運営を主とする物書き。著書に『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門 』(星海社新書)、『EVERNOTE「超」仕事術』『Scrap box情報整理術』(C&R研究所)、『ハイブリッド発想術』(技術評論社)などがある。自分で出版を行うセルフパブリッシングも意欲的に取り組んでいる。

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