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お客様を商品開発に巻き込むメリットとは?/すごいお店の秘密⑤

なぜ、繁盛する店と、繁盛しない店があるのでしょうか? いい商品や、美味しい料理を提供しさえすれば店は繁盛するはず……。はたして、それは本当でしょうか?『8割のお客様をリピーターに変える「すごいお店」の秘密』(高井洋子著)から、儲かるお店の最強メソッドをご紹介します(第5回)。

徳島を代表する「イルローザ」のお菓子

徳島でもっとも有名な菓子製造販売の会社「イルローザ」の取り組みも間違いなく参考になります。


「マンマローザ」というお菓子を知っている人も多いのではないでしょうか?

「マンマ」とはイタリア語でお母さんという意味があります。お母さんのふくよかさ、温かさをイメージしたぽってりとしたカタチが印象的なお菓子です。

以前から徳島県の知人の手土産が、必ずこの「マンマローザ」だったので、私にとってとてもなじみのあるお菓子でした。

イルローザの息子さんがビジネスモデル塾に来られた時には、「あのマンマローザの常務さんが来てくれたんだ!」とうれしく思ったものです。


ところで、2006年に映画化された『バルトの楽園』を観られたことがありますか?

第一次世界大戦中の徳島県鳴門市の板東俘虜(ばんどうふりょ)収容所が舞台です。松平健さんが演じた収容所所長で会津若松出身の松江豊寿(とよひさ)が主人公。その松江所長が、捕虜となったドイツ兵を「捕虜は犯罪者ではない。祖国愛から国を守るために戦い、敗れた人たちである」と大切に扱い、弱者をいたわる「武士の情け」を示したという、実際にあった出来事を描いた映画です。

収容所では、捕虜が新聞を発行したり、ビールを飲んだりすることも許されていました。地域住民との交流によりドイツのパンづくりも伝授されたといいます。

また感動的なのは、捕虜による楽団が日本で初めてベートーベンの「交響曲第九番(第九)」を演奏したのもこの収容所だという事実です。

捕虜から解放されたドイツ兵たちは、その後故郷に戻った後もこの板東の思い出を語り継いだといいますから、それはそれは素晴らしい対応だったのでしょう。

今でもその頃の生活の様子を鳴門市のドイツ館で見ることができます。興味がある人はぜひ!


イルローザの話に戻ります。

この板東俘虜収容所のドイツ兵との交流の中で、酪農(らくのう)の技術やノウハウがこの地に根付いたのは、のちの徳島の産業に大きく影響したといわれています。

イルローザは地元の新鮮な乳製品をふんだんに使って美味しいお菓子づくりをすることができました。


また、徳島県は面積の約8割を山地が占め、瀬戸内式気候に属しながらも太平洋からの影響も受けるという特殊な気候。そのため、鳴門金時(なるときんとき)(さつまいも)をはじめとする名産品がたくさん採れます。

そうした地のモノを使ったお菓子などもイルローザの特徴になっています。

顧客を巻き込む店の戦略

この県民から愛されるイルローザの取り組みが、それこそ顧客を巻き込んでいるのです。


どう巻きこんでいるかって?


一番すごいのは「商品開発を顧客と共に行っている」ところです。題して、顧客と共に作る『朝食プリン』企画です!


時間のない朝に食事をしないで学校や会社へ出かけてしまう人も少なくないといいます。そこで、イルローザは朝食の代わりにさっと食べてもらうプリンを企画しました。「朝、ぶどう糖を摂取することで勉強や仕事に集中してもらいたい」とい
う思いからです!


ですが、「本当にお客様がそれを望んでくださるのか?」「そもそも朝食にどんなプリンが食べたいのか?」という点ははっきりわかりませんでした。

そこで店側の押し付けにならないために、約60人のお客様を商品開発員として募集したのです。

何回も何回も試作を重ね、顧客と共に「鳴門金時ポタージュ生プリン」を開発。

その他にも地元の味噌(みそ)製造店「志まや」とのコラボで「御膳味噌プリン」、北佐古店限定の「とろふわ豆乳生プリン」を作り上げました。


もうおわかりでしょう。


そう!

この60人のお客様がどんどん宣伝をしてくれているのです。自分が関わった商品が実際に商品化されたらうれしいですものね!


これからもイルローザは、顧客のみなさんと第2弾、第3弾と朝食プリンを作り上げ、定番商品を決めていくそうです。

何だか楽しい企画になっていくと思いませんか?


あなたの会社が顧客と一緒に作り上げられるものはないでしょうか?

よく考えてみてください!

◇ ◇ ◇

お客様が商品開発に直接参加してくれれば
自然に宣伝も行ってくれる



高井 洋子

カテゴリ:スキルUP

【著者紹介】高井 洋子(たかい・ようこ)
株式会社Carity最高顧問。経営者として任された家具の販売会社を3年で事業拡大し、立ち上げから3年でグループ年商70億円を達成。その後、2012年に優秀なブレーンと共に経営コンサルタント会社「Carity」を設立、代表取締役社長に就任。 全国の中小企業の経営者を対象にした「ビジネスモデル塾」は約6年ですでに54期を開催、全国から800社以上の経営者・経営幹部・独立希望者が集う講座となっている。 活動を日本だけに留まらず世界に広げるため、2017年に株式会社Carityの代表取締役を辞任。自らもシンガポールにてビジネス展開を図っている。世の中のビジネスモデルを分析し、どのように儲けているかを検証するのが趣味。著書に『400円のマグカップで4000万円のモノを売る方法』『すぐに1億円 小さな会社のビジネスモデル超入門』(共にダイヤモンド社)がある。

【書籍紹介】『8割のお客様をリピーターに変える「すごいお店」の秘密』(KADOKAWA)
3年でゼロから年商70億円の著者が教える儲かる店の最強メソッド! 「顧客成長」の仕組みがわかれば、お客様があなたの店を儲かる店にしてくれる! 誰をターゲットにするかで、店(会社)のウリは変わります。つまりターゲットとする人のどんな感情を満たすかがカギとなるのです。そのカギさえつかめば、ほとんどのお客様をがっちりリピーターにとり込んで離さない繁盛店=「すごい店」を誰でもつくれます。カギのつかみ方・使い方をお教えします!

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