スキルUP

プレイング・マネージャーが手帳で管理するべき3つのテーマ/倉下忠憲

数多くの情報を整理・把握しておかねばならないマネージャーにとって、手帳での管理能力は必須です。今回はその手帳の書き方について、ブログ「R-style」の倉下忠憲さんが3つの管理対象を紹介します。

プレイング・マネージャーは、仕事がたくさんあります。

書類を作り、電話をかけ、人と会い、2週間のシフトを調整し、半年の計画を練り、と具体的なものから思考的なものまで、さまざまな仕事をこなさなければなりません。

これらを頭一つで制御するのはとうてい無理です。そこでぜひ使ってみたいのが、「手帳」です。

手帳は、アナログの手帳でも構いませんし、デジタルツールでも構いません。

利便性ではデジタルツールが上ですが、職場環境によってはその選択が難しいこともあるでしょう。単純に、紙とペンを使うのが好きだ、という場合もありそうです。

さて、手帳を使うにあたって大事にしたいのが「管理対象」という考え方です。

この管理対象として最低限押さえておきたいのが、次の3つです。

・スケジュール
・次に取り得る行動
・プロジェクト

今回はこの3つの管理対象について、それぞれ詳しく解説していきます。

管理対象その① スケジュールの備忘と調整

指示をもらうだけのプレイヤーの頃であれば、「その日発生した作業を、その日に終える」や「指示された作業を坦々とこなす」というやり方で済みました。しかし、マネージャーとなったあなたは、そうした計画性のない行動ではいけません。

マネージャーであれば会議や打ち合わせなどの予定が発生してきますし、誰かと会うことも増えます。先々の予定は忘れないよう、スケジューラー(カレンダー)に記録しておかなければなりません。

また、単なる備忘録以外の役割もあります。

マネージャーの立場になると、仕事を「どのタイミングで」実行するのかに関する「裁量」も増えてきます。

当然、たいへん忙しい日に追加で仕事を入れたら大混乱してしまうわけですから、それを避けるような調整(段取り)が必要となるでしょう。

そうした調整を適切に行なうためには、行動予定が一覧できるツールが不可欠です。

手帳で言えば、「カレンダー」のページがそのツールとなりますから、先々まで予定を記入しておきましょう。

管理対象その② 次に取り得る行動のリスト

プレイング・マネージャーになると、こなさなければならない仕事の量がかなり増えるので、「未処理案件」も増えます。

一見、実行力が高い人であれば、そうした「未処理案件」は少ないように思います。

しかし世の中というのは、能力が高い人に多くの仕事が割り振られるように回っています。そのため、よほど調整がうまい人以外は、だいたい大量の「未処理案件」を抱えているものです。

よって、実行力の高低にかかわらず、「未処理案件」を記録しておくことが必要になります。「未処理案件」を記録しておくことで、行動を起こす際に、最適な行動を選択できるようになるというわけです。

「未処理案件」を記録したリストは、一般的に「タスクリスト」や「ToDoリスト」と呼ばれているのですが、大切なのは次の2つのポイントです。

・達成したい状態は何か?
・そのために次に取り得る行動は何か?

まず、「達成したい状態」を書き留めることが必要です。たとえば「新人スタッフのCS力を向上させたい」などがそれに当たるでしょう。発生した課題、割り当てられた目標なども、ここに入ります。

次に、達成したい状態に至るために、自分が取りうる行動は何かを考え、それも一緒に記録します。

その行動は、「研修会を開く」かもしれませんし「ベテランスタッフとペアにする」かもしれません。あるいは、どういう方法がいいのかがわからないので、「上司に相談する」や「ビジネス書を探してみる」ということもあるでしょう。

いっそ、「どうすればいいのかを考える」ということが、次に取り得る行動になることもあります。

なんであれ、「達成したい状態」を意識し、「そのために次に取り得る行動」を考えることが行動を生み出す補助になります。

こうした情報に関しては、仕事をする際に日常的に目にすることがベスト。そこで、手帳というツールがぴったりというわけです。

紙の手帳には「一週間」のページがありますし、自由に使える「メモページ」もあります。

またデジタルツールであれば、「Todoist」のようなタスク管理ツール、ノートツール、アウトライナー、といった選択肢があります。

なんであれ、すぐに参照できる(あるいは常に開いておける)ツールを選び、そこに書き留めることが必要です。

管理対象その③ プロジェクトの情報

「達成したい状態」の規模が大きく、そこに至るために長いスパンを必要とするなら、「次に取り得る行動」を一覧できるリストとは別の記録スペースを作っておきましょう。

そのスペースには、「達成したい状態」に至るために必要な行動やちょっとしたアイデアを、思いついたものからすべて書きつけておきます。いわば、情報のベースキャンプをつくるのです。

もし、こうした情報のベースキャンプの分量が大きくなり、手帳には書ききれなくなったときには、手帳とは別に専用の「プロジェクトノート」をつくってみましょう。

プロジェクトノートは、手帳のような常に開いておくツールでなくても、通常のノートでも構いません。ただしマネージャーたるもの、情報のベースキャンプを持ち歩くという意味で、カバンには常備しておきましょう。

マネジメントには記録が欠かせない

以上、手帳で管理すべき3つの管理対象について説明してきました。

何かをマネジメントする場合には、記録は欠かせません。その中でも、日常の業務で頻繁に参照する情報、あるいは即座に引き出したい情報は、手帳にまとめておくのが良策です。

手帳を使いなれていれば、電話しながらアポイントメントの日付を決めるシチュエーションでも即座に対応できます。必要なときにぱっと情報が引き出せることは、大きな利点があるのです。

スケジュール、次に取り得る行動、プロジェクトの3つの観点から、手帳を有効活用してみてください。


倉下 忠憲

カテゴリ:スキルUP

【著者紹介】倉下 忠憲(くらした・ただのり)
1980年、京都生まれ。ブログ「R-style」主宰。コンビニ業界で働きながら、マネジメントや時間・タスク管理についての研究を実地的に進める。その後、執筆業に転身。現在は書籍執筆やメルマガ運営を主とする物書き。著書に『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門 』(星海社新書)、『EVERNOTE「超」仕事術』『Scrap box情報整理術』(C&R研究所)、『ハイブリッド発想術』(技術評論社)などがある。自分で出版を行うセルフパブリッシングも意欲的に取り組んでいる。

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