スキルUP

組織は「人の数」ではなく「関係性の数」で見る/モチベーション・ドリブン③

せっかく取り組んだ働き方改革が、あなたの会社を壊すかもしれない……。日本の組織変革の第一人者である小笹芳央著『モチベーション・ドリブン 働き方改革で組織が壊れる前に』から、表層的な働き方改革が抱えるリスクとその回避方法をご紹介します(第3回)。

人数ではなく「関係性の数」を見る

次に、組織観について考えてみたい。当社の「モチベーションエンジニアリング」という考え方では、人間観と組織観、この二つを下敷きにしている。

私は、組織を「要素還元できない協働システム」ととらえている。

たとえば、5人のチームだった場合、要素還元的な考え方では、「Aさんがいて、Bさんがいて、Cさん、Dさん、Eさんがいる5人のチーム」と人数を数える。

しかし私は、組織を「協働システム」であるという見方をするため、このチームのことを、関係性の〝線〟で見る。

要素、すなわち個人ではなく、「AさんとBさん」、あるいは「BさんとCさん」を結ぶ関係性の線の数を数え、この場合は、「10本の関係性のあるチーム」ととらえるのだ。

この5人のチームの仕事が増え、人数が5人増えたとき、要素還元的なとらえ方では、「5人だったチームが10人になり、二倍の人数になりました」という数え方をする。

他方、協働システム的にとらえた場合には、10×9÷2=45で、「45本の関係性があるチーム」となる。関係性の線の本数が10本だったのが、4.5倍の45本になったととらえるのだ。

つまり4.5倍、合意形成が難しくなり、意思疎通が難しくなったということだ。

専門的にいうと、「複雑性が増大した集団に変貌した」という見方をする。これが、私たちの考える組織観である。

流行のフラット型組織は成り立たない

近年、「ミドルは不要である」とか、「組織はフラットなほうが良い」といわれることがある。本当であろうか。私たちの考える組織観で検証してみよう。

たとえば、100人の組織があるとする。100人の組織が完全にフラットで、リーダーが一人もいない場合、100×99÷2=4950となり、4950本の関係性の線があることになる。これでは複雑性があまりにも高すぎて何も決められないし、組織として連携して動くことは絶対にできない。

複雑性を縮減するためには、関係性の線の本数を減らす必要がある。

たとえば、100人の組織を10人のチーム10個に分ける。10人のチームのうち一人がリーダーになる。チーム内の関係性は、10×9÷2=45。10チームあるので、45×10=450となる。

各チームのリーダーが集まるリーダー会という上位組織ができ、リーダーは10人なので、リーダー会の関係性も45となる。

10チーム内の関係性450に、リーダー会の関係性45を足すと、495となる。

つまり、フラット時に4950だった関係性は、10分の1の495に減少し、複雑性も10分の1に縮減するということだ。

これなら、組織として意思決定することもできるし、チームや個人が連携して組織として活動することもできる。

関係性に着目した組織観をもっていれば、ミドルのいない組織はあり得ないし、度を越したフラット化が組織力を減退させることがわかるだろう。

組織において関係性の数が増えれば、それだけ複雑性が高まることは、インターネット時代になろうと、AI(人工知能)時代になろうと変わらない普遍的なことだ。

要素還元できない協働システムという組織観では、いかにして組織の複雑性を減縮していくか、関係性の数を整理して減らしていくかが、組織を論じる際に常に重要になるのである。



小笹 芳央

カテゴリ:スキルUP

【著者紹介】小笹 芳央(おざさ・よしひさ)
1961年生まれ、大阪府出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。組織人事コンサルティング室長、ワークス研究所主幹研究員などを経て、2000年株式会社リンクアンドモチベーション設立、同社代表取締役社長就任。2013年代表取締役会長就任。著書多数。

【書籍紹介】『モチベーション・ドリブン 働き方改革で組織が壊れる前に』(KADOKAWA)

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