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臓器が宙に浮き、身体拡張が当たり前に⁉ 現実はすでにVRに侵食されている

今、最もアツいVRイベントと言える「バーチャルマーケット」をご存知だろうか? これまでに2度開催されてきた、いわば「仮想現実のコミケ」ともいえるイベントから見えてきた「未来」をお届けする。

「バーチャルマーケット」では、VR上で出店ブースを回りながら、気にいったアバターやアイテムなどがあれば、リンク先で実際に購入することもできる。

第2回の動員数は12万5000人を超え、規模的にも現実の有名イベントと遜色ない。もはや“最新ガジェット好き”だけものと決めつけて距離を置いているようでは「遅れてしまう」こと必至な、リアルで熱いイベントなのである!

上の写真は、バーチャル空間上で行われた第2回の開会式の模様。クラウドファンディングに協力した人は、マーケット内の“石碑”に名前が刻まれ、自分が訪れた際に記念写真を取ることも可能だ。なお、第2回開会式の様子はYouTubeで見ることができる。

そんなバーチャルマーケットの第3回が、今秋に開催されることが決定。その発表に合わせて開催されたパネルディスカッションの内容から、VRがどこまで進んでいるのか、どこまで“現実”に役立っているのかを探ってみよう。

宙に浮かぶ臓器をジェスチャーで扱う!? VRの医療活用

杉本真樹氏は患者個別の医療画像をVR化するサービス提供する企業、HoloEyes株式会社取締役COOでもある
杉本真樹氏は患者個別の医療画像をVR化するサービス提供する企業、HoloEyes株式会社取締役COOでもある

VR技術による手術支援、遠隔医療などについて解説したのは、東京大学先端科学技術研究センター客員研究員である杉本真樹氏。

宙に浮いた状態に視覚化された情報を、マウスもキーボードも使わずに空中のジェスチャーで操作する。あらかじめスキャンした骨格や臓器のビジュアルデータを、患者に重ねて見る。こうしたSF映画のような“未来の”技術は、医療現場ではすでに実用化されているのだとか。

肉眼では本来見えないはずの部分までを、“見る”ことができる。CGのガイドラインに合わせることで、新人もベテランの動きが再現できる、ジャスチャー操作のため手が汚染されることもない……。

こうした数々のメリットをもたらす医療データのVR化が、1万円というお手頃価格で利用可能になっていると聞けば、VR医療の現実性がより感じられるだろう。

ヘッドマウントディスプレイをかけると、患者の心臓が空間に浮き上がって見える。これは合成された「イメージ」ではなく、実際の利用者の視点の映像である
ヘッドマウントディスプレイをかけると、患者の心臓が空間に浮き上がって見える。これは合成された「イメージ」ではなく、実際の利用者の視点の映像である

VR技術が心のケアにも生かされている、そんなトピックも見逃せない。

当日は、背中の手術をした患者さんに、本来見えないはずの自分の背中を見せながら説明することで、より強い安心感を与えた事例や、遠隔医療を受けていたものの、テレビ画面相手では現実感を持てずにいた一人暮らしの高齢患者が、VRによって本当の医者に対するものと同等の信頼感を持って、受診ができるようになった事例も紹介された。

また、現実世界では気軽に「練習」できない医療も、VRを使うことでそれが可能になる。そしてスマホを利用する簡易的なヘッドマウントディスプレイであれば100円と、誰にでも手に入る値段であることもポイントだろう。VRは現在進行形で医療発展にも役立っているのだ。

身体能力まで着せ替える、アバターの有効活用

鳴海拓志・東京大学情報理工学系研究科講師
鳴海拓志・東京大学情報理工学系研究科講師

VR世界のアバターは実際の性別、年齢、肌の色の垣根を超えた自分になれるばかりか、人外のモノにだってなれる自由な存在である……。そう聞かされたところで、「コスプレ」以上のメリットが見出せない人も多いだろう。

では、現実世界でも「欲しいと思った能力を、その都度インストールして使うことができる」と聞いたらどうか。そんなSF映画『マトリックス』や『攻殻機動隊』を連想させる研究をしているのが、東京大学情報理工学系研究科講師の鳴海拓志氏である。

驚愕の研究報告「アインシュタインのアバターを使うと、認知課題の成績が上がる」。「天才になりきればいい」という単純な話ではなく、新たな思考の誘発で導かれた結果だ
驚愕の研究報告「アインシュタインのアバターを使うと、認知課題の成績が上がる」。「天才になりきればいい」という単純な話ではなく、新たな思考の誘発で導かれた結果だ

鏡に模したモニターに、実際の表情よりも少し笑顔寄りにした表情を映し、それを見ることで実際に心が楽しくなる。的当てゲームの本番前に、外れた場合も当たった判定がでるように、補正したVR上で練習をしておく。すると、現実世界での的当ての成績が2割良くなる。

こうした事例は、心をうまくVRで演出・誘導することで、身体パフォーマンスが上がるということを示している。自分の気持ち、思考、能力、運動などをTPOにあわせて調整するため、アバターを使い分ける社会がやってくる可能性は十分にあるのだ。

こうした我々の特性は、技術の発展でもたらされたものでなく、もともと“自然に”備わったものであることが大きなポイント。VRは加速度的に我々の現実世界に影響をもたらしていくことは、まず間違いなさそうだ。


宇都宮 雅史

カテゴリ:スキルUP

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