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「日本最高のマーケッター」の失敗から学ぶ、仕事の極意とは?/タロログ

USJでの活躍で知られる、マーケッターの森岡毅氏。今回は、森岡氏が仕事の極意に至るまでの経緯をつづった新刊『苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」』を紹介します。

今回ご紹介するのは、日本を代表するマーケッター・森岡毅氏の『苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」』(ダイヤモンド社)です。

日本最高のマーケッター・森岡毅氏の経歴

日本を代表すると言いつつも、森岡氏のことを存じ上げなかった勉強不足の私なのですが、まずは氏の経歴を紹介します。

神戸大学経営学部を卒業後、P&Gジャパンマーケティングに入社。
27歳でブランドマネージャーに就任後、ウエラジャパンの副代表に就任。

2010年にはUSJにヘッドハンティング、2011年にはハロウィンイベントを日本で初めて大規模に仕掛け、大成功。USJの年間730万人まで落ち込んでいた来場者数は、1460万人まで復活。

……という、「日本最高のマーケッター」との呼び声も高い、スーパービジネスマンです。

この本は、森岡氏の娘が就活するにあたり、面と向かって伝えづらい内容を書いたという”虎の巻”をもとに作られています。

自分の進むべき道とは?

第1章は「やりたいことがわからなくて悩む君へ」という内容から始まります。

“やりたいことがわからないのはなぜだと思う? 自分がどんな仕事に就きたいのか、それがわからなくて悩んでいる人は極めて多い。実は社会人になってもその悩みが続く人の方が多いのだ。”(P.20)

人はいつまでたっても悩むんですよね。私自身、悩みがなくなる時はないですし、おそらくみなさんもそうだと思います。

おそらく「何者かになりたい」とか「普通で終わりたくない」と考えていると思いますが、でも何をしていいかわからない。

こういったとき、本書はもう少し踏み込んだ説明がされています。

“成功は必ず人の強みによって生み出されるものであって、決して弱みからは生まれない”(P.32)

“内定を取るために別人格を演じるのは不幸の始まりだ”(P.45)

就活のことが出てくるあたりが、まさに就活中の娘に書いたんだろうなと感じられます。

私を含め多くの人が悩んでしまう理由は、学校教育が終わる(もしくは終わりに近い)タイミングで、急に「あとは自分で考えろ」という状況に放り出されるためだと思っています。

本当に専門的なことを学んでいた学生以外は、どんな業種のどんな会社を受けるかを自由に選択することになり、そしてなんとなく受かりそうなところや待遇の良さそうな会社へ自分を偽って面接し、受かった会社に入社する。

しかし、自分を偽るというのは、自分のためにならないのはもちろんですが、人材獲得に大金を出している会社としても望ましいことではありません。

“不正解とは、自分にとって決定的に向いていない仕事についてしまうことである。”(P.43)

自分を偽ることをやめるだけで、20代の仕事に関する悩みの多くは解決できるのです。

スーパービジネスマンの失敗とは

素晴らしい経歴を持っている森岡氏ですが、第5章では森岡氏の失敗について書かれています。

基本的にビジネス書は失敗しかけても、それをどうやって成功させたかについて書かれているのですが、この本は珍しく本当の失敗話が書かれています。

ここで話されている失敗話は3つですが、特に興味深かったのは、森岡氏がブランドマネージャーに就任した際に「負けプロジェクト」に巻き込まれた際の話です。

森岡氏は、米国の消費者調査で良いスコアをとった商品のプロジェクトマネージャーに就任させられます。しかし森岡氏はそのプロジェクトが進む前から「うまく行くわけがない」と考えていました。

しかし、この案件を止める事ができないんですね。

私自身は大手企業の社員として働いた事がないのでわかりませんが、森岡氏自身はこのように書かれています。

“君もいつか巻き込まれるかもしれない。大きな会社では、こういう誰も信じていないのに絶望的な結果を見るまで誰も止める事ができないプロジェクトが、実はいくつもある。”(P.232)

華やかな部分しか目にすることの少ないビジネスの話で、こういった失敗話はとても貴重です。

では、森岡氏はどのようにこの状況を巻き返したのか?

結果は……大きな損失を生んでしまいました。

そう、意外にも成功させることができなかったのです。

そして、首の皮一枚でクビを免れた森岡氏ですが、このプロジェクトを通じて、

“出した答えは、無力なサラリーマンである以上は「後ろ向きな仕事」は避けられない”(P.240)

と理解した上で、

“会社にとって数多くいる消耗品のような「人材」ではなく、辞められたら本当に困る「人財」として組織に認識されること。”(P.241)

という結論を出します。

会社という、どうしようも出来ない組織の圧力に潰されそうになった際に腐るのではなく、それを次のモチベーションに変えることができるのは、さすがと言わざるをえません。

現代の働き方を考えることのできる良書

私自身、年間70冊ほどの本を読みますが、ここ数年で読んだ中でダントツNo. 1の本でした。

悩んでいる子供に伝えるために書いたからでしょうが、自分の成功より失敗を多く書いてくれた点も非常に共感しやすく読みやすかったです。

冒頭に、“子供達のために書きためたもの”(p.6)という説明があるのですが、これは仕事をしている人であれば新人・ベテラン、独身・既婚者、男性、女性問わず、仕事に打ち込んでいる人であれば必読の1冊でしょう。

これまでのビジネス書とは少し異なった解釈が書かれている、現代の働き方を教えてくれる名著です。


タロログ

カテゴリ:スキルUP

【著者紹介】タロウ
実は零細会社の社長。最近は底辺YouTuberとして積極的に底辺コンテンツを生み出している。漫画は年間100冊ぐらい読むが、ビジネス書は年間10冊ぐらいしか読まないので、ビジネス書をちゃんとレビューできるか不安。暖かい目で見守ってください。
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【書籍紹介】『苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」』(ダイヤモンド社)

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