スキルUP

中高年は特に注意!「資質に合わない仕事」にしがみつくのは時間の無駄/いつでも転職できる⑥

仕事は今よりずっと楽しく、ラクになる! 5万人以上のリストラと6000人を超える次世代リーダーの選抜や育成を行った「人の目利き」である松本利明氏の著書『「いつでも転職できる」を武器にする 市場価値に左右されない「自分軸」の作り方』より、「自分の価値」の組み立て方をご紹介します(第6回)。

向いていることをやることが一番

向いていることを摑むために多動力を駆使して、トライ・アンド・エラーを繰り返す必要は実はないのです。そう、解説した通り、自分の資質を知れば向いていることがわかるからです。

逆に言えば、向いていること=資質があることなので、ラクに速く、楽しみながら、長く続けることができるのです。世の中で成功している方々や有名企業のトップやその候補の方々も、配属され、担った仕事が向いていたので楽しくなり、資質を活かし結果で出世した人ばかりでした。

「好きなこと」は確認が必要です。仕事の内容を理解しないで憧れるのは危険です。

「空を自由に飛びたい」のであれば航空会社のパイロットは向いていません。パイロットは、決められた時間と空港から指示されたルートで、管制塔に確認を取りながら安全飛行で時間通りに目的地に到着することを繰り返す日々が仕事だからです。目的地やルートを勝手に変えることは許されません。大空を自由には飛んでいないのです。

自分の技量で機器を操り操縦するテクニックを求められたのは昔のこと。飛行機を動かしているメインはコンピューター。機器を操るというよりは、コンピューターのオペレーションの知識、正確性、判断力に加え、事故の8割がヒューマンエラーが原因なので言葉のコミュニケーション力を求められるのが今の航空会社のパイロットなのです。

ゆえに、コンピューターオペレーションの技術的なアップデートを行い続け、緊急事態では適正な判断ができ、正しく伝える資質が求められることになります。

飛行機を自ら操り、空を自由に飛ぶなら趣味で飛ぶことです。

また、実際にやって長く続いた好きなことも注意です。「下手の横好き」なのかも知れません。

長く続いているので資質はゼロということはないでしょう。しかし、好きなことで食えるかどうかは、資質の強さ×スキルをあげる環境×その業界の市場特性によります。

バイオリンを弾くのが好きなので、世界的なバイオリニストを目指すとしましょう。目指すには、他人からみると天性と思われるくらい資質が類(たぐい)まれなくらい強いことが前提。世界レベルのスキルが身に付けられる環境に身を置けること。そのプロセスを経て世界的コンテストで優勝するなど、高い壁がこれでもかとあります。

どんなに資質が高くても、近所のバイオリン教室に週1回しか通えなければ、その道は遠ざかります。世界的なプロとして食っていける数少ない椅子に座り続けられなくてはいけない狭き門です。諦めればいいかというと、そうではありません。見方を変えて業界の市場特性を見ると、人に教えるのが得意な資質があれば、町のバイオリンの先生になる道も開かれています。ただし、町の先生の椅子となると世界的バイオリニストほどは稼げません。それでもよければその道もあります。

好きなことを、ライフワークの趣味で楽しむか、仕事にできるかは、その業界の市場特性が一番影響を持ちます。

また、注意するべきは「できること」です。20代でやってみたらすぐできたことであれば資質があるとみていいでしょう。問題ありません。

危ないのは中高年です。資質がないことをできるようにするには「労力×期間×ストレス」がかかります。長期間かけ、めちゃくちゃ苦労した上で、「ちょっとだけ」成長し、「できるようになる」のです。資質がある人の数倍から数十倍は苦労するのです。

対人関係の資質が弱く、苦節20年、45歳で5名のチーム運営ができた「石川さん」がいたとしましょう。周りからみると、マネジメントの伸びしろは薄く、本来の持ち味を活かした方がいいように思うでしょう。ところが石川さん本人は、「マネジメント」が苦労してできるようになってきたので、逆に怖くて手放せなくなる心理が働きます。

苦労した自分の時間と労力を無駄だったとは思いたくないからです。これは、リストラされる人にみられる傾向でした。勇気を出しましょう。資質にあっていないものは捨て、資質にあっているものを上手に拾うべきです。

キーになるのは、情報として知りえた「やってみたい」ことの中から、資質に沿った、向いているものをやってみることです。経験や専門性から考えると外します。

例をだしましょう。私、松本利明の大学時代の専門は工学部の機械工学科でした。

なぜ、私が外資系コンサルタントを目指したのか。大学4年生の時に「外資系コンサルタント」という情報を知ったからです。歯車の機械製図を夜中に書いている時、ある1つの番組が目に飛び込んできました。「金曜プレステージ 東京ソフトウォーズ」(テレビ朝日)という、素人参加型の企画のコンペ番組です。機械製図より面白そうとのめり込みました。

その時の審査員にいた、元マッキンゼーの経営コンサルタントの波頭亮さんの存在を通して外資系コンサルタントを知ったのです。そして、やってみました。審査員の方々にお願いして実際のビジネスレベルで教え、鍛えていただく勉強会を企画し、毎月実施してもらいました。今でいうインターン的にアルバイトをさせてもらうようなものです。

鍛えてもらったスキルをもとに、番組のお題の企画にチャレンジし、生放送でプレゼンしてダメだしやアドバイスをもらうことが、たまらなく刺激的ですぐにどんどんできるようになりました。専門性に関係なく資質がベストマッチだったのでしょう。

人事戦略コンサルタントの目から自分をみると、もし、専門性をベースにメーカーに就職していたら、自分の資質ならよくても大企業の子会社の課長止まりは確実でした。

専門性、経験、欲望が目を濁(にご)らすので、自分の素である資質をもとに、向いていることを仕事にしましょう。

◇ ◇ ◇

【ポイント】多動力がなくても資質がわかれば「向いていること」がわかる

松本 利明

カテゴリ:スキルUP
【著者紹介】松本 利明(まつもと・としあき)
人事・戦略コンサルタント。HRストラテジー代表。日本人材マネジメント協会執行役員。外資系大手コンサルティング会社であるPwC、マーサー、アクセンチュアなどを経て現職。国内外の大企業から中堅企業まで600社以上の働き方と人事の改革に従事。5万人以上のリストラと6000人を超える次世代リーダーの選抜や育成を行った「人の目利き」。人の持ち味に沿った採用・配置を行うことで人材の育成のスピードと確度を2倍以上にするタレント・マネジメントのノウハウが定評。英国BBC、ロイター通信などメディア実績多数。主な著書に『「稼げる男」と「稼げない男」の習慣』(明日香出版社)、『「ラクして速い」が一番すごい』(ダイヤモンド社)、『5秒で伝えるための頭の整理術』(宝島社)など。

【書籍紹介】『「いつでも転職できる」を武器にする 市場価値に左右されない「自分軸」の作り方』(KADOKAWA)

あなたへのオススメ記事

  • 「本当に美味しいチャンス」は、友人や知人が持ってきてくれる!/いつでも転職できる⑤
  • キャリア「アップ」に固執しない! あえて違う分野を目指す「スライド」転職/いつでも転職できる④
  • 「得意技」を身に付けるには『北斗の拳』でなく『ONE PIECE』でいくのが正解!/いつでも転職できる③
  • 実績だけではライバルと差がつかない! あなたの「持ち味」を武器にする/いつでも転職できる②
  • 「電験三種」ってどんな資格? 仕事内容・試験概要・合格率・攻略法を徹底解説!

    「電験三種」ってどんな資格? 仕事内容・試験概要・合格率・攻略法を徹底解説!

  • いざというときもスマートに! 慶事・弔事のビジネスマナー

    いざというときもスマートに! 慶事・弔事のビジネスマナー

  • おいしい英語のトリビア満載! 英語の雑学クイズ

    おいしい英語のトリビア満載! 英語の雑学クイズ

  • 言われてみると…どっちがどっち?? 違いがわかる雑学クイズ

    言われてみると…どっちがどっち?? 違いがわかる雑学クイズ

  • あの英語にそんな意味が! 色・天気の英語雑学クイズ

    あの英語にそんな意味が! 色・天気の英語雑学クイズ

  • オンライン英会話と英会話スクール、比較するとどっちがおすすめ?

    オンライン英会話と英会話スクール、比較するとどっちがおすすめ?

スキルUPの人気記事ランキング

  • 遠回しすぎて伝わらない「嫌味」選手権がネットで盛り上がる

  • CDの「音楽用」と「データ用」、実はどっちでも使えるって本当?/毎日雑学

  • 9月23日から仕事運がUPするのはどの星座? 9/23〜9/29の12星座占い

  • 「クッキー」と「ビスケット」って何が違うの?/違いがわかる雑学クイズ(14)

  • 日本の祭りが存続の危機!? 観客の「マナー違反」が壊すもの

{ カテゴリ別ランキングを見る }

資格・スクール情報

  • 行政書士とは? 仕事内容を詳しく解説

    行政書士って何? どんな仕事をするの? 他の法律系資格との違いは? 行政書士に関する素朴な疑問を解決します。

    行政書士とは? 仕事内容を詳しく解説
ページトップに戻る