スキルUP

知っておきたい「タスク管理」の3つの基本理論/倉下忠憲

タスク管理システムには、仕事の扱い方や分け方ごとに、いくつかの種類があります。今回はタスク管理に詳しいブロガーの倉下忠憲さんが、海外著者の著作をもとに、中心的なタスク管理理論を3つ紹介していきます。

あなたが買い物に行くとき、買い物メモをつくることはありますか。

買い物に行く前に必要なものをメモにリストアップし、そのメモを見ながら買い物して回る。

終わったらそのメモはお役御免。

こうした行為は、純然たるタスク管理ではありますが、それは「1回きり」のタスク管理です。

では、次の場合はどうでしょうか。

何か不足なものに気がついたら、そのタイミングで「次に買う物リスト」に書き込んでおく。

買い物に行く前にそのリストを参照しながら買い物メモを作り、実際の買い物で買えなかったものについては、再び「次に買う物リスト」に書き込んでおく。

こうした行いは、1回だけの「買い物」にフォーカスしているわけではありません。

むしろ継続的な「買い物活動」に焦点を当てています。

継続的に発生する仕事に対処するのがタスク管理

仕事でも同じでないでしょうか。

今からの2時間、あるいは今日1日をなんとか乗り切るための方法も有用ですが、それ以上に、継続的に発生する「やること」に対処していけないと、なかなか「仕事活動」は回りません。

タスク管理システムとは、まさにそのような活動を支援するための存在です。

1回きりではなく、継続的な活動を支援するためのツールとメソッドの組み合わせが、タスク管理システムです。

さて、こうしたタスク管理システムにはさまざまな種類があります。

そこで今回は、有名なタスク管理システムを3つ紹介していきます。

GTD(Getting Things Done)

一つ目は、GTD(Getting Things Done)。

デビッド・アレンが提唱するGTD(Getting Things Done)は、「タスク管理」という概念を爆発的に広めた立役者と言えるかもしれません。

一時期のライフハック・ブームとも強く関係していますし、今でも何らかの形でこのメソッドの影響を受けたシステムを使っている方は多くいます。

GTDは、簡単に言えば、つれづれなるままに頭の中に浮かんでくる「気になること」を、脳の外のツールに押し出してしまい、平静な心(水のような心)を持ってタスクにあたろう、ということを体現するための方法論です。

やること自体もそう難しいものではなく、まずinboxという「気になること」の受け皿を準備し、そこに思いついたことをどしどしと何でも書き留めていきます。

その後、それらを一つひとつ確認し、しかるべきリストに移動させ、実行の段になったらそのリストから「次にすること」を見つけ出す、というシステマティックなものになっています。

GTDは非常に抽象度のある方法論・考え方なので、デジタル・アナログのツールを問わずに実行できるのが魅力でしょう。

GTDを意識したタスク管理ツールもたくさん作られています。

ただし、自分が作ったさまざまなリストを週に一度再確認する「レビュー」という作業が、なかなか身につかずに挫折してしまう人も少なくありません。少しだけ慣れが必要なメソッドではあります。

詳しい解説については、『全面改訂版 はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』(デビッド・アレン著)をご覧ください。

マニャーナの法則

二つ目のマニャーナの法則は、1日という時間の枠を念頭においたタスク管理システムです。

GTDのようにたくさんのリストを作るのと比べ、「今日1日やること」だけを書き込んだリストを毎日作り、それを作業のお供にしながらタスクを進めていきます。

このマニャーナの法則の一番の特徴が、「リストをクローズする」という考え方です。

最初に「今日1日やること」を作ったら、それ以降はそのリストに項目を追加することを基本的にはしない。つまり、リストへの入り口を完全にシャットダウンしてしまうわけです。

もちろん、会社に勤めている場合には、このような運用は現実的ではないでしょう。あれやこれやと、場当たり的に作業が追加されるのは珍しい風景ではありません。

しかし、その状態を「当たり前」として放置していたのでは、いつまでたっても改善はされないでしょう。

後からいくらでも作業が追加される状態では、私たちはずっと「タスクに追われている」状態におかれてしまいます。これは精神的にもよろしくありませんし、また重要度の高い作業が後回しにされてしまうという実際的な問題も生じます。

暫定的であれ「今日はここまで」というラインを引くことで、精神的にも実際的にも良い状況を作り出そうと試みることは有効でしょう。

このメソッドについては、『仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則 完全版』(マーク・フォースター著)で詳しく解説されています。

ポモドーロ・テクニック

三つ目のポモドーロ・テクニックは、集中可能時間の人間的限界にフォーカスしたタスク管理システムです。

簡単に言えば、「25分の実行+5分の休憩」をワンセットにして作業を進めていくものです。

この「25分の実行+5分の休憩」を1ポモドーロと呼び、1日のなかで何ポモドーロ実行できているのかを計測(トラッキング)することで、進捗と自分の状態を管理します。

仕事によっては、たくさん作業時間が取れたとしても、集中できなければたいした成果が出せない場合があるでしょう。

単純な作業時間ではなく、集中して作業した時間にフォーカスを当てるのが、このポモドーロ・テクニックの特徴です。

『どんな仕事も「25分+5分」で結果が出る ポモドーロ・テクニック入門』(フランチェスコ・シリロ著)が参考になります。

◇ ◇ ◇

以上、代表的とも言える三つのタスク管理システムを紹介してみました。

ここで触れたのはごく基礎的な部分だけで、実際はもっとさまざまな要素を含んでいます。

もし本格的に学びたい場合は、紹介した本に直接あたってみてください。

また、これら以外のタスク管理システムやそれらを構成するツールやメソッドについては、拙著『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門』にまとめてあります。

「タスク管理」という分野を学んでいきたい場合は、ぜひともご覧下さい。


倉下 忠憲

カテゴリ:スキルUP

【著者紹介】倉下 忠憲(くらした・ただのり)
1980年、京都生まれ。ブログ「R-style」主宰。コンビニ業界で働きながら、マネジメントや時間・タスク管理についての研究を実地的に進める。その後、執筆業に転身。現在は書籍執筆やメルマガ運営を主とする物書き。著書に『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門 』(星海社新書)、『EVERNOTE「超」仕事術』『Scrap box情報整理術』(C&R研究所)、『ハイブリッド発想術』(技術評論社)などがある。自分で出版を行うセルフパブリッシングも意欲的に取り組んでいる。

【書籍紹介】
『全面改訂版 はじめてのGTD ストレスフリーの整理術』
(二見書房)
『仕事に追われない仕事術 マニャーナの法則 完全版』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)
『どんな仕事も「25分+5分」で結果が出る ポモドーロ・テクニック入門』(CCCメディアハウス)

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