スキルUP

企業の通信簿「決算書」。これが読めれば会社の健全度がわかる!/池上彰の経済③

日々のテレビや新聞、ネットに踊る「経済」や「政治」のニュース。そこに登場する「コトバとその意味」をあなたは理解していますか? 経済や政治の情報を正しく読み解くために最低限必要なポイントを、『イラスト図解 社会人として必要な経済と政治のことが5時間でざっと学べる』(池上彰著)からお伝えします(第3回)。

決算書は企業にとっての〝通信簿〞

「決算」とは、企業が一年ごとに収入と支出を計算し、利益(または損失)を算出することです。日本では原則として、企業は毎年「決算書」を作ることが義務づけられています。決算書は、言ってみれば企業の通信簿のようなものでしょう。

上場企業は年に一度の決算のほか、半年に一度の中間決算や三カ月に一度の四半期決算を発表しなければなりません。上場企業は決算書を作り、「今期はここまで努力した結果、こうなった。でも、まだこれだけの課題がある」という情報をオープンにします。そして、「どうぞうちの会社に投資してください」と、投資家に向けてアピールするわけです。

日本では四月から新年度が始まりますから、それに合わせて三月に決算をまとめる企業が多くなっています。三月に決算を行うと、株主総会に向けて準備するのに二カ月くらいかかりますから、六月下旬に一斉に株主総会が開かれるようになっているのです。

一定期間の儲けを表す「損益計算書」

ひと口に決算書といっても、実際には大きく「損益計算書」「貸借(たいしゃく)対照表」「キャッシュフロー計算書」という三つの書類に分かれます。これらは「財務三表(さんぴょう)」とも呼ばれています。

損益計算書は、会計の期間中にどれだけ儲けたのかを表すもの。この書類は上から見ていきます(下図)。

一番上が「売上高」。ここから売上原価を引いたものが「売上総利益」で、一般には「粗利(あらり) 」とも呼ばれています。売上総利益から販売費および一般管理費を差し引いたものが「営業利益」です。販売費および一般管理費とは、人件費や広告宣伝費、旅費交通費などの費用を意味します。

営業利益に、営業外収益と営業外費用を足したり引いたりして算出するのが「経常利益」です。営業外収益とは、定期預金の利息などで、営業外費用とは、借入金の利息などです。つまり、経常利益は会社の本業の儲けに、資金運用を加味したものということです。

経常利益に特別利益と特別損失を足し引きしたものが「税引前当期利益」です。会社の本業とは関係ないところで突発的に発生した損益を加味したものです。そして、税引前当期利益から法人税(国税)や法人事業税(地方税)などを差し引いたものが「当期純利益」です。

損益計算書を見て、最終的な当期純利益が黒字になっていればいいというわけではありません。たとえば、営業利益はマイナスになっているものの、資産を売却したことによって、なんとかトータルとして黒字にしているケースがあるからです。

損益計算書をよく読めば、本業で稼ぐ力を持っていて利益が上がっているのか、資産を切り売りしてつじつまを合わせている会社なのかがわかるので、有望な企業を見極められるのです。

企業の財務状況を示す「貸借対照表」

貸借対照表は決算日時点での企業の財務状況を表した書類です。貸借対照表は左と右に分かれ、左側は「資産の部」といってお金の運用先を示し、右側はお金の調達方法を示します(下図)。

 

右側のお金の調達方法は、「負債の部」と「純資産の部」の二ブロックに分けられます。主に、負債の部は金融機関からの借入れ、純資産の部は株式を発行して得た資本金や自社の稼ぎによる利益金となっています。他人から調達したお金か、自分で調達したお金か、という違いです。

企業が調達したお金と、その運用先のお金は必ず同額になります。表でいうと、右側と左側の金額は同額となり、左右でバランスがとれているので、貸借対照表は「バランスシート」とも呼ばれます。

現金の出入りをチェックする「キャッシュフロー計算書」

「黒字倒産」という言葉を一度は耳にしたことがあるかもしれません。決算では黒字だった企業がなぜか倒産してしまう、これはどういうことでしょうか。

企業が商品やサービスを提供したとき、代金をその都度現金で回収していたら事務が煩雑(はんざつ)になってしまい、現実的ではありません。そのため、通常は「掛け取引」をしています。商品やサービスを提供したときの代金の回収を、一定期間経てから行う取引のことです。

たとえば、二カ月後に五〇〇万円の入金が予定されていても、手元に現金がなくて、一カ月後に大きな支払いが控えていたら、数字上は黒字でも資金が足りなくなってしまいます。そこで、一定期間にどれくらいの現金が入り、いくらの現金が出ていくのかにも注意を払う必要があります。それを表したのがキャッシュフロー計算書です。現金のやりくりを見れば、企業の健全度がわかるのです。

このように、決算書が読めるようになると、株の投資をするときなど、その企業が有望かどうかが見えてきます。企業の決算のニュースを見たときにチェックしてみるといいかもしれませんね。


池上 彰

カテゴリ:スキルUP
【著者紹介】池上 彰(いけがみ・あきら)
ジャーナリスト、名城大学教授、東京工業大学特命教授。愛知学院大学、立教大学などでも講義を担当する。慶應義塾大学経済学部卒業後、NHK入局。記者として数多くの事件や社会問題を取材する。その後、94年4月からの11年間、NHKテレビ番組「週刊こどもニュース」のお父さん役として活躍。2005年にNHKを退局、フリージャーナリストに。現在も、執筆・取材活動を中心に、各種メディアで精力的に活動している。

【書籍紹介】『イラスト図解 社会人として必要な経済と政治のことが5時間でざっと学べる』(KADOKAWA)

★2019年7月12日(金)~7月25日(木)電子書籍ストアにて「図解・マンガでスキルアップフェア」を開催中! 詳しくはこちら
※フェア実施期間については、電子書店によって異なる場合があります

あなたへのオススメ記事

  • 「職探しをあきらめた人」は失業者ではない! 失業率の仕組みを解説/池上彰の経済⑤
  • 会社が倒産したらどうなる? 会社更生法と民事再生法の違いは?/池上彰の経済④
  • 景気がいい、悪いって、誰がどうやって決めているの?/池上彰の経済②
  • 経済の基本! 需要と供給の関係でモノの値段は決まる/池上彰の経済①
  • 「電験三種」ってどんな資格? 仕事内容・試験概要・合格率・攻略法を徹底解説!

    「電験三種」ってどんな資格? 仕事内容・試験概要・合格率・攻略法を徹底解説!

  • あの英語にそんな意味が! 色・天気の英語雑学クイズ

    あの英語にそんな意味が! 色・天気の英語雑学クイズ

  • そうだったのか! 知って驚く 人体にまつわる雑学クイズ

    そうだったのか! 知って驚く 人体にまつわる雑学クイズ

  • パパ、ママ、すごい!って言われる 子どもに話したくなる雑学クイズ

    パパ、ママ、すごい!って言われる 子どもに話したくなる雑学クイズ

  • 今すぐ使える! 短い英語クイズ(後編)

    今すぐ使える! 短い英語クイズ(後編)

  • オンライン英会話と英会話スクール、比較するとどっちがおすすめ?

    オンライン英会話と英会話スクール、比較するとどっちがおすすめ?

スキルUPの人気記事ランキング

  • 「死ねよ」よりキツい「信頼してたのに」…どう応える?/新人営業女子・えりた(5)

  • 社内メールの「お疲れ様です」は不要! 1行目から用件を書く/時短術大全

  • ハサミの切れ味を復活させる5つの方法! そもそも切れなくなる原因は?/毎日雑学

  • 台風もキラキラネームの時代に突入!? 実は面白い「台風の名前」

  • コワモテのお客様に「死ねよ」と言われ、無言で逃げた日/新人営業女子・えりた(4)

{ カテゴリ別ランキングを見る }

ページトップに戻る