“神様ファイル”を見失わない、強力な検索キーワードをつけるワザ/超AI整理法(9)

「いらないものを捨てる」という考え方を捨てよう! 情報洪水時代のバイブル『「超」AI整理法』(野口悠紀雄著)より、「無限にためて瞬時に引き出す」メソッドを公開。超メモ帳、音声入力などAIを活用して「仕事と生活を発展させる」方法をご紹介します(第9回)。
効率的なキーワードを作って「超」メモ帳を管理する
【「重要重要重要」は本文には現れない】
「超」メモ帳に保存するファイルが増えてくると、目的のファイルを探し出すのが難しくなってきます。キーワード検索だけでは不十分と感じるときもあります。
そうなる理由は、キーワードが本文中にある言葉と同じになる可能性があることです。そうなると、キーワードが指定していないファイルであっても、本文中にその言葉があれば引き出してしまうのです。
「超」メモ帳の基本方針は、「何でも書いて、何でも残す」ということです。そうするのは、残しておいたところで邪魔になるわけではないからなのですが、この方針をとる場合の唯一の問題は、残しておいた文書の本文中にある言葉が、意図していなかったのにキーワードとなってしまって検索で引き出されてしまうことです。
そこで、この問題を克服して検索の効率を高めるために、「本文中にはまず現れないと考えられるキーワード」を作ることにします。これは、検索のためのキーワードとしてのみ機能することになります。これを用いて全体のファイルを統括するのです。
グーグルドキュメントには、「スターをつける」という機能があります。まず、これを用いることが考えられます。
ところで、それと同じことは、次のようにしてもできます。
それは、重要と思われるファイルには、「重要重要重要」というキーワードをつけることです。本文中に「重要」という言葉は頻繁に登場するでしょうが、これが3つ重なることは滅多にないでしょう。したがって、これは、強力な検索用キーワードとして機能することになります。
このキーワードの書き込みや検索ウインドウでの書き込みは音声入力でできるので、スターをつけてそれを参照するよりも簡単に実行できます。
これと同じようなものは、他にも作れます。
例えば、頻繁には参照しないが、いつまでもとっておきたいファイル(これは、『「超」整理法』において「神様ファイル」と名付けたものです)には、「保存保存保存」とつけます。「保存」というだけのキーワードを使うと、この言葉がファイルの本文中に多数ある可能性が高いため検索用のキーワードとしてはうまく機能しませんが、「保存保存保存」なら、神様ファイルだけを効率的にピックアップするでしょう。
なお、時間が経つと、「保存保存保存」をつけたファイルの数が多くなってきます。ここから絞り込むには、他のキーワードとのand 検索を行います。ファイルの数が多くなってくると、頻繁には参照しない記録メモの類いが見失われてしまうことがあります。「保存保存保存」というキーワードをつけておけば、「神様ファイル」を見失うことはありません。

野口 悠紀雄
この連載をもっと読む
【著者紹介】野口 悠紀雄(のぐち・ゆきお)
1940年東京生まれ。63年東京大学工学部卒業、64年大蔵省入省、72年エール大学Ph.D.(経済学博士号)を取得。2017年9月より早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問。一橋大学名誉教授。専攻はファイナンス理論、日本経済論。主な著書に『バブルの経済学』(日本経済新聞社、吉野作造賞)、『「超」整理法』(中公新書)など多数
【著書紹介】『「超」AI整理法 無限にためて瞬時に引き出す』(KADOKAWA)