超多忙!な相手と「1分」で打ち解けるには? 営業を極めた男が教える雑談ルール

上司や取引先の方などの目上の人と、もっと打ち解けて話ができたら…。そんな悩みは雑談ルールを駆使すれば不思議と解決。営業経験豊富でトップセールスマンの経験も持つ人気研修トレーナーの伊庭正康さんにその極意を聞いた。
忙しい上司に取引先。時間がない中で何とか話がしたい。打ち解けたい。そんなビジネスパーソンの願いは、雑談をうまく活用することが一つの解決策となる。
自ら営業マンとしての経験を持ち、現在は研修会社の代表として営業力強化やリーダーシップをはじめとした研修やコーチングを行っている伊庭正康さんは、「雑談にはルールがある」という。
特に忙しい目上の人と打ち解けるための雑談ルールを聞いた。
特に忙しい目上の人とすぐに打ち解けられる雑談ルール

【1.「教わる」姿勢で聞く】
「友人や同世代だとラクですが、それだけでは視野は狭くなります。あえて、自分とは“遠い世界”の人の話こそ勉強になると考えてみるのがおすすめ。一見するとどうでも良いような雑談であっても、教えてもらう姿勢で聞くと発見は多いもの。
例えば『最近は、ヘラブナ釣りにハマっていてね』という会話であっても、なぜヘラブナなのか、そこには自分の知らない世界があり、ある種の醍醐味があるはず。年上の方との会話は、世界を広げてくれる機会と考え、教わる姿勢で話を聴くのがポイントです」
【2.「過去」に関心を示す】
「年上の方には、昔話を聞くと盛り上がります。昔のことを若者に伝えたいと思っており、実際、聴いてみると勉強になることも多いものです。
例えば『最初はどこに配属されたのですか?』『今とはどんな違いがあるのですか?』などを聞くと、『経理に配属されて、毎日、深夜残業だったよ。今では、ありえないけどね』と返ってくるかもしれません。さらに聞くとビジネスの経験やドラマが見えてくるでしょう。時に説教がましく言う人や、時代錯誤なことを言う人もいますが、説教、時代錯誤といった“雑味”を取り除くと、発見や参考になることは多いものです」
【3.忙しい相手には「結論ファースト」で話す】
「業務中の会話は、何ごとにおいても結論から話すことを心がけると良いです。長々と詳細を説明されると『で、どうすればいいの?』とイラ立ってしまうもの。PREP法で話すとよいでしょう。PREP法とは『Point(結論)→Reason(理由)→Example(例)→Point(結論を繰り返す)』の順番で話す方法です。
例えば、『残業をなくすことに対してどう思う?』と聞かれた時の返答は、
『私は賛成です(結論)。絶対にやる気が上がると思うからです(理由)。実際、早く帰った日の翌日は、朝から“よしやるぞ!”と思いながら出社していますし、そんな声も多く聞きます。なので、私は残業削減には賛成です!(結論)』
このPREPを覚えると、忙しい人との会話がラクになります」
【4.相談する際は「自分なりの答え」も持っておく】
「相談に乗ってもらう際、『どうしたらいいですか?』と自分なりの仮説を持たずに行くことは避けましょう。『で、君はどう思う?』の質問に対し、自分なりの意見を持ってから相談にしに行くようにします。答えが間違えていても問題はありません。考えていないことが問題なのです」
【5.どんな話題でも、会話の締めくくりは「ありがとうございました」】
「雑談でも相談でも、ほとんどの会話の締めくくりは、目上の人との会話は、『ありがとうございました』で締めくくること。どうでも良い『ヘラブナ』の雑談であっても、最後は『勉強なります。ありがとうございます』で終わるのです。ましてや相談に乗ってもらった、説教をされた、してもらった場合であっても、最後は『ありがとうございました』が最後の言葉になると思っておいて間違いありません」

「自分を良く見せようとする」より「自然体」がベター
年上の忙しい相手との会話や雑談においては、全体としてこんなコツがあるそうだ。
「良く見せようとするより、自然体のほうが好かれます。相手はよく見せようとされると、かえって心理的な距離ができてしまい、打ち解けにくくなるもの。そもそも、年下から見ると、3歳、5歳と離れているとずいぶんと目上に見えるものですが、年上から見るとそんなに差があるとは感じていないことが多いものです。
自分の3年先輩と3年後輩を想像してみてください。3年上の先輩は同世代に思えなくても、3年下の後輩は同世代に思えませんか。ですので、自然体のほうがベター。その上で、先ほどの1~5のノウハウに留意して会話をすれば、打ち解けるスピードは断然、速くなります」
いつも忙しそうな年上の相手と打ち解けたい、話がしたい、一歩近づきたい。そんな相手がいるならぜひ実践してみよう。
一ノ瀬 聡子
伊庭 正康(いば まさやす)さん
(株)らしさラボ 代表取締役
1991年リクルートグループ入社。2011年、研修会社「らしさラボ」を設立。「らしさ」を活かし、営業力強化、リーダーシップ、ストレス対策の研修・講演・コーチングを年約200回を実施。そのリピート率は9割を超える人気講師。著者に『レイングマネジャーの基本(かんき出版)』『計算ずくで目標達成する本(すばる舎)』『できるリーダーは、「これ」しかやらない: メンバーが自ら動き出す「任せ方」のコツ(PHP研究所)』他多数。