スキルUP

プレイング・マネージャーが部下との対話でやってはいけないこと/倉下忠憲

現代のプレイング・マネージャーには、日頃から部下との繊細なコミュニケーションが求められます。ブログ「R-style」主宰の倉下忠憲さんが、部下との対話でやってはいけないことを解説します。

プレイング・マネージャーの仕事には、コミュニケーションが欠かせません。

意思疎通や意見交換など、さまざまなやりとりがありますが、総じて「部下との情報のやりとりがないところにマネジメントは成立しない」と言ってよいでしょう。

もし、命令を口にするだけで自分の仕事は終わり、などと考えておられるなら、さっさとその認識を改めるべきです。命令するだけのやり方は、企業の力が強く、ある種の強権が働いた時代にのみ成立していた「手法」です。

現代のプレイング・マネージャーには、もっと繊細なコミュニケーションが求められます。

部下からの報告が生命線

ところで、コミュニケーションといっても多種多様です。

日常的な雑談や会話もその一つですし、部下の報告を聞いたり、相談を受けたりするのもその一つです。

そのどれもが重要なのですが、今回は日常的な会話ではなく、より仕事(業務)に近いコミュニケーションに的を絞って考えてみましょう。

日頃の業務では、部下から報告が上がってこなければ、情報は不足します。情報が不足しては、マネージャーとして適切な判断を下すのは難しいでしょう。

だからこそ、企業では「ほうれんそう」(報連相)を欠かすなと口を酸っぱくして言われるわけです。

報告が上がってくるというのは、そこに信頼関係があることを意味します。

少しイメージしてみてください。

自分の上司が、細かいことにぐちぐち文句を言い、ミスを報告したら大声で怒鳴り散らして、職場の全員に知れ渡るようにバカにする。こんな人だったとしたら。そういう人に事細かく相談したいと思うでしょうか。

よほど心ができた人でないかぎり、そうはならないでしょう。

逆に言えば、きちんと報告が上がってくる上司というのは、「この人に報告しても大丈夫」「この人に相談すれば安心だ」と信頼されているということです。

信頼関係が構築されているとき、情報のやりとりが円滑に回り始めます。それが対話です。

コミュニケーションの不正解とは

コミュニケーションには正解はありません。しかし、不正解=バッドパターンはあります。

バッドパターンをやってしまうと、高確率で相手との信頼関係をぶちこわしてしまうやりとり。それを避けるように意識するだけでも、随分と違った結果になるでしょう。

ここでは三つ紹介しておきます。

(1)詰問口調は避ける

原因を究明し、状況を改善するための情報を求める「なぜ?」ではなく、詰問口調で、相手に謝罪を要求する「なぜ?」という問いかけはぜひとも避けたいところです。

謝罪を要求する「なぜ?」を口にされると、決定的に相手に壁を感じてしまいます。怒るならきちんと理を通して注意する、情報を求めるなら冷静に聞き出す。そのような切り分けを意識しましょう。

(2)「なんでも質問してね」と放置する

親切心から出る「困ったら、なんでも質問してね」という言葉ですが、それを言ったきり放置しているのでは、マネジメント能力は低いものです。

本当にわからないときは、わからないことすらわからないものです。仮にそれがわかっても、どう質問していいのかがわからないことは少なくありません。

最初のときほど、積極的に上司からアプローチしていくことが必要です。

(3)部下の意見を即座に否定する

オープンな姿勢を見せようと「自由闊達」な意見交換を求めておきながら、自分から見て間違った意見が出てくると即座に否定するのも、よろしくないパターンです。

ほとんど間違いなく、そんなことを繰り返していたら、相手は何も言わなくなるか、あなたが納得しそうなことを先回りして言うようになります。それでは意見交換にはなりません。

本当に多様な意見を求めるなら、相手の意見にも理があるかもしれない、という姿勢で臨むべきです。

それができないなら、最初からはっきり自分の意見を提示して、それに従うように命令すべきでしょう。「あなたたちの意見を聞きました」という体裁だけ整えるのは、信頼を失うもっと簡単な方法の一つです。

◇ ◇ ◇

今回は、対話における三つのバッドパターンを紹介しました。

本当に残念ながら、この類のコミュニケーションをとる上司は少なからずおられます。

これからマネージャーとなって活躍される皆さんは、同じ徹を踏まないようにしていただきたいものです。


文=倉下 忠憲

カテゴリ:スキルUP

【著者紹介】倉下 忠憲(くらした・ただのり)
1980年、京都生まれ。ブログ「R-style」主宰。コンビニ業界で働きながら、マネジメントや時間・タスク管理についての研究を実地的に進める。その後、執筆業に転身。現在は書籍執筆やメルマガ運営を主とする物書き。著書に『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門 』(星海社新書)、『EVERNOTE「超」仕事術』『Scrap box情報整理術』(C&R研究所)、『ハイブリッド発想術』(技術評論社)などがある。自分で出版を行うセルフパブリッシングも意欲的に取り組んでいる。

【著書紹介】『「やること地獄」を終わらせるタスク管理「超」入門 (星海社新書)』(講談社)

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