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「今すぐ押せ」は完全違法! タイムカード操作はどう防ぐ?/ブラック企業によろしく(3)

「労働法」を知らないことにつけこんで、企業が都合よく労働者を扱っている!?労働者を守りうる知識という「武器」を『ブラック企業によろしく 不当な扱いからあなたを守る49の知識』(笹山尚人著)からご紹介します(第3回)。

ケース3 タイムカードを強制的に押されてしまう!!

私は中学生、高校生を対象とした学習塾の会社で働いています。

3か月ほど前、労基署が査察というんですか、会社に来たことがあります。

それ以来、残業代が高くなりそうになったときには、

「この時間でタイムカードを押せよ」

と上司が言ってくるようになりました。

学習塾の仕事は時期によっては膨大な量になります。とくに夏休みや受験勉強が大詰めの12月から2月にかけてはかなり忙しいです。受験する学校の相談や、模擬試験の採点などがあり、猫の手も借りたいくらいです。

全ての業務を終わらせるためには残業をする必要があります。生徒に合格させたいという気持ちがあるので、テキトーに仕事なんかできません。

結局、タイムカードを1度押して、そのあとまた仕事をすることになります。こんなやり方に疑問を感じるのですが、上司には逆らえません。

会社の残業の予算も月間30時間までだと聞いていますから、仕方ないのかな……。仕事は充実しているし、生徒は可愛いので、辞めたくはありませんが、この状態のまま働き続けるのは正直つらいです。

完全に違法!! 働いた分の賃金がもらえるのは当然

労働時間は原則として、1日の上限が8時間まで、週の上限が40時間までと定められています。また法律では、残業代のルールも定められています。

こうした労働時間は、1分単位で正確に把握することが必要です。そうしないと、上限違反があった場合の残業代がいくらになるのか計算ができないからです。

労働時間の把握は使用者、つまり会社の責任とされています。厚生労働省は、2001年、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」という通知を発しました。過重な長時間労働や残業代未払いがあり、「使用者が労働時間を適切に管理していない状況も見られる」ので、「労働時間の適切な管理」を促進して法の遵守にもっていく、という趣旨です。
※注)現在、この内容は、働き方改革の法改正で、法律になっています。

この通知の中では、労働時間を具体的にどのように把握するかについては、「使用者が、自ら現認して確認し、記録する」か、「タイムカード、ICカード等の客観的な記録を基礎として確認し、記録する」のいずれかの方法を基礎とするとしています。

つまり、タイムカードでの時間把握は、労働時間把握の基礎的な方法といえます。

今回のケースでは、この方法をかいくぐって労働時間把握を怠るものですから、法が許すものではありません。このような労基署の裏をかくような方法については、労基署もわかっていて、タイムカードがあってもそれだけで労働時間を認定するわけではありません。電子メールなど、働いた痕跡が残る場合は多くあるのです。

タイムカードの記録と労働時間の実態が合致しない場合、タイムカードを操作して悪質な労働時間隠し、残業代未払いをしたと受け取られます。

会社にとっては、かえって厳しい対処をとられる原因になります。ですから、この行為は、労働者にとっても使用者にとってもおすすめできるものではありません。

会社として、それを理解するなんらかの機会が持てるとよいと思います。

働く者としては、手帳や日記帳に、労働時間をメモすることをおすすめします。その際、可能であれば、その日具体的にどんな仕事をしたか書き添えておくと、メモの信頼性が高まるのでさらによいでしょう。

◇ ◇ ◇

タイムカードとは別に労働時間をメモする

その日の仕事内容をメモすると信頼性がアップする

笹山 尚人

カテゴリ:スキルUP
【著者紹介】笹山 尚人(ささやま・なおと)
第二東京弁護士会会員。東京法律事務所所属。弁護士登録以来、青年労働者や非正規雇用労働者の権利問題、労働事件や労働運動を中心に扱って事件を担当している。著書に、『人が壊れてゆく職場』『それ、パワハラです』(光文社新書)、『労働法はぼくらの味方!』『パワハラに負けない!』(岩波ジュニア新書)などがある。

【書籍紹介】『ブラック企業によろしく 不当な扱いからあなたを守る49の知識』(KADOKAWA)

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